第29話、仕分けと露店
クランハウスに戻ったミミたちは早速クエスト報酬を応接机に並べた。
「まずは建材から考えようか。
直近の使い道はないし、倉庫行きかな」
「それが良いね。
クランハウスの増築に必要とは聞いてるけど、この規模じゃ必要ないし、売るほどお金に困ってるわけでもないしね」
木材をキャビネットにしまい、ダンジョン収集アイテムの話に移る。
「さて、本命の収集アイテム詰め合わせだけど……先に確認しよう。
ミミ、これから鍛冶とかクラフト系に手を出す気はある?
具体的には、アイテムを作って売ってみたい?」
「今はまだ探索と戦闘で手一杯だから、クラフトに手を出すつもりはないよ」
「分かった。じゃあ、レアアイテムと予備を残してあとは売っちゃおうか」
「売るっていうのは酒場前の広場で店を出すってこと?
良いね、やってみたい!」
「NPCに売るのも手だけどね。今回は店を出そうか。
でも、市場調査とかもあるから……明日また集まろう。
ミミはそれまでにアイテムを種類ごとに分けてリストを作っておいて」
「任せて!」
マキナはクランハウスを出て、酒場前広場へと歩いていった。
残されたミミは、黙々と仕分け作業を始めた。
仕分けするだけならアイテムを全てインベントリに入れれば自動で分類される仕様だ。
後はそれを数えて表にすればマキナからの依頼は達成できる。
しかし、ミミはアイテムひとつひとつを確認したかったので、あえて手で仕分けていた。
「素材が違うとできるアイテムの性能が変わるんだ~。
おっ、この水晶綺麗だね~。インテリアとして置いておくのもよさそう」
素材をより分けていくミミの目に、ひとつのアイテムが留まった。
見た目は全体的に銀色で、ところどころに虹色が混じっているインゴットだ。
「この金属、ほかの素材よりキラキラしてる……。
あっ、実際にそういうエフェクトが出てるのか。
じゃあレアアイテムってことかな?」
ミミはウィンドウを開き、アイテムの詳細を確認してみた。
鍛冶素材「古代の軽合金」
この素材を使って作った装備は、非常に軽くなる。
また、速度に関するプラス効果が1つ以上付与される。
「装備が軽くなる効果もあるんだね~。動きに影響しないのは結構いいかも。
持ってみると確かに軽い!インゴットなのに指だけで持てるよ!
鍛冶をするときのためにとっておこうかな」
ミミはしばらくそのインゴットを眺めてからキャビネットにしまい、ほかのアイテムの仕分けに戻った。
「よし、リスト完成!あとは明日の出店について軽く調べておこうかな」
その日はアイテムのリストをマキナに送り、ヘルプ画面から露店について調べたあと、ログアウトした。
翌日、ミミとマキナはクランハウスで合流した。
軽く挨拶をしてから、素材の販売について話し始める。
「まずは私から話すね。昨日のアイテム詰め合わせの中身はクラフトか鍛冶の素材だったよ。
ポーション類とかの消耗品は1つも入ってなかった。
内容は昨日送ったリストの通りだね」
「まとめてくれてありがとう。
こっちは市場を回って、ダンジョン産素材の価格はだいたい調べてきたよ。
レアアイテムはピックアップしたから、まずはそれをキャビネットに入れるところからだね」
「マキナも市場調査ありがとう。じゃあ、作業を始めよう」
それから、ミミたちはレア素材や数の少ない素材をキャビネットに入れた。
残りをインベントリに入れ、酒場前広場へと出発した。
「祭りの前に来た時より賑わってるね~」
「このゲームもサービス開始から時間が経ったからね。余ったアイテムも増えてきてるんだよ
それに合わせて人も増えてるから、いろいろ露店が出てるんだよ」
酒場前広場には多くのプレイヤーが露店を開いていた。
だいたいのプレイヤーは簡素な机と椅子のみのスペースで露店を開いている。
気合の入った露店は陳列用の商品棚を設置して呼び込みをしていた。
中には調理器具を置いて料理をふるまっているプレイヤーもいる。
「私たちは出店する側だから、あのテントで手続きすればいいんだよね。
マキナ、頑張っていっぱい売ろうね」
「もちろん、全力で行くよ。
それと、VRMMOの露店は商品を売るだけじゃないってことを教えてあげるよ」
「それ、どういうこと?」
「実際に売るときになってから教えてあげるよ」
2人はそう話しながらテントへと進んでいった。




