第28話、護衛と防衛
「それでは、我々の計画を話そう。
計画と言っても、この島を出て、入り口に戻るだけだ。
冒険者さんに依頼したいのは道中の護衛だ」
「護衛の件は分かりました。
この島を出る方法はどうするんですか?」
「事前に作っておいたイカダがあるからそれに乗っていく。
冒険者さんの乗るスペースもあるはずだ。他に質問はあるか?」
「大丈夫です」
「それでは出発するとしよう」
ミミたちと調査隊はキャンプを出発した。
調査隊の陣形は、中央に負傷者と荷物を載せた荷車を配置し、その周囲を調査員たちが取り囲んで押し進めるというものだった。
ミミとマキナはその左右に立ち、周囲を警戒していた。
道中、横から飛び出したモンスターにはそれぞれが対処し、前後に出現したモンスターは協力して排除した。
「ひとまずはこの陣形で問題なさそうだね。意外と楽勝かも」
「ミミ、こういうクエストは後半ほど大変なのがお約束なんだから、気を抜いちゃ駄目だよ」
島の端までたどり着いた一行は、イカダに乗り、対岸へと渡った。
「これから出口に向かって進むわけだが、1つ頼みがある。
今の人員では、階段の上まで荷車を運ぶのが難しい。
だから、階段の前で荷物を整理する時間をくれないか?
護衛を頼みたいのは、荷物整理が終わるまでだ。
そのあと、報酬も渡そう」
「分かりました」
一行は危なげなく階段前まで到着し、荷物整理を始めた。
そこで問題が起きる。最初に気づいたのはミミだった。
「マキナ、何か甘い匂いがしない?」
「……本当だ、荷物のほうから香ってくる感じがするね」
そんなことを話していると、調査隊のほうから悲鳴が上がる。
「モンスター誘引剤の瓶が割れています!」
「なんだって!?冒険者さん、モンスターが寄ってくるぞ!
誘引剤の効果は5分だ!それだけ耐えてくれ!」
その言葉とほぼ同時に、ダンジョンの通路にモンスターの姿が見え始めた。
「ようやく本番だ。楽しくなってきたね」
「マキナ、私は攻撃が得意だから前に出るよ」
「オッケー。私は後ろからデバフとダメージゾーンを撒くよ。
ゾーンには踏み込まないようにね。
あと、さっき拾ったポーション、使っちゃっていいと思うよ」
「そうだね。じゃあ飲んじゃおう」
ミミは敏捷ポーションを飲み、変身した。
「体が軽い!ジャンプ力も上がった気がする!」
2人は戦闘を開始した。
「ムーンジャンプ!……スタンプ!」
ミミのコンボが炸裂し、周囲のモンスターはポリゴンの欠片へと変わる。
「リジェネサークル!ミミ、次は右!」
モンスターは複数方向から湧いていた。
後方のマキナが指示を出し、モンスターの多い方向へとミミを誘導する。
ミミはその指示に従い、跳躍とスタンプ、時折ムーンジャンプを交えて攻撃を加えていく。
今回は敏捷ポーションの効果によって、ムーンジャンプを使わなくても十分なダメージを与えられる高さまで跳躍できた。
モンスターを荷車に近づかせることなく、5分間の猛攻をしのいだ。
残ったモンスターを倒し終えた2人に、調査員が話しかけてくる。
「冒険者さん、ありがとう。皆も荷物も無事だったよ。
ちょうど準備も終わったから、報酬を渡そう。こっちだ」
ミミたちがついていくと、いくつかの袋と解体された荷車が置いてあった。
「この袋と木材が今回の報酬だ。荷車は階段を上れそうになかったから、解体させてもらった。
袋の中には、私たちが探索中に得たドロップ品や宝箱の中身が入っている。
そして、この木材は頑丈だからいい建材になるはずだ」
「こんなにたくさん貰っていいんですか?」
「ああ、我々に必要なものは確保してあるし、負傷者もいる。
全部は持ち帰れないんだ。君たちに託すから、有効活用してくれ」
そう言った後、調査員たちは階段を登っていった。
調査員たちが去ったあと、ミミは報酬の袋を開いた。
「おお~!大量だ~!」
「すごい、これ全部拾うとしたら何時間かかるんだろう……。
さすが隠しエリアのクエストだね」
袋の中には大量の素材が詰まっていた。
「これからこの素材をどうするか決めなくちゃ。
ちょうどダンジョンの入り口近くにいるし、クランハウスに戻って一緒に考えよう」
ミミとマキナはアイテム類をインベントリにしまい、クランハウスへと戻った。




