第27話、クランの今後と調査隊
「そういえば、地図の自動記入を教えてくれた人ってどんな人なの?」
湖に足を浸しながら休憩しているミミに、マキナが話しかけてきた。
「アンバーさんって人だよ。森で偶然出会って、一緒にクエストをしたんだ~。
武器を上手く使い分けて、器用に戦ってたね。
『防衛者の足甲』はそのクエストで手に入れたんだよ。
あと、入りたいとは言ってなかったけど、クランについて興味がありそうだったかな」
「そうか……これはまだ先の話なんだけど……。
ミミはクランメンバーを増やす予定はある?」
「うーん。今は無いけど、続けていれば増やす時も来るかもしれないね」
マキナはいつになく真剣で、少し不安をにじませた声で話を続けた。
「メンバーを増やしていくと、メンバー間のいざこざも増えると思う。
今はミミがクランリーダーだから、問題が起きたときに最終的な判断をしなきゃいけないのはミミだって、理解しておいて。
問題が起きた時は、私も説得に協力するから、遠慮なく呼んでね」
「……分かった。私、あんまり信頼されてないかな?」
「ごめん、そう言ったつもりはなかったんだけど……。
大人数を率いた経験も、クランを運営した経験もないから、気をつけてって言おうとしただけ。
昔、いろいろあったから神経質になってるのかも。
ちょっと泳いで頭を冷やしてくる……」
「マキナ、待って!泳ぐなら競争しようよ!私、泳ぎには自信があるんだよ!」
雰囲気をほぐそうとしたミミの言葉はマキナの心に届いたようで、彼女は少しだけ表情をやわらげた。
「……いいアイデアだね。ややこしいことは忘れて、全力で相手をしよう!」
「じゃあ真ん中の島の木が少ないところがゴールだよ。よーい、ドン!」
2人は湖へと飛び込み、泳ぎ始めた。
「やった!勝った!」
「マキナ速いよ~。……ここ、何だろう。道みたいに見えない?」
「確かにそう見える。一周するのに3分もかからなさそうな小さな島だったはずなんだけどな……。
まあ、進めるなら進んでみようか」
2人は森の中へと入っていった。
「明らかに見た目より広いね。もしかして隠しエリアってやつかな?」
「その可能性が高そうだね。もしかしたらレアなイベントとかあるかも」
そうして進んでいくと、キャンプのようなものが見えてきた。
中央には焚火があり、その周りを囲むように粗末な小屋が立っている。
住民たちはミミたちを見るなり、急いで近づいてきた。
その足取りはふらついている。衰弱した人のように見えた。
「あんたたち、もしかして冒険者か?」
「そうですけど……あなたたちは?」
「おお、良かった。これで助かるぞ!
私たちはこのダンジョンの調査隊だ。護衛が傷を負ってしまって、立ち往生していたのだ。
君たちには救援と地上までの護衛を頼みたい。
正式な書類はないが、地上に戻ったら報酬を渡すと約束しよう」
ミミたちの前にクエスト受注のウィンドウが現れた。
クエスト:調査隊の救援と護衛
目標:ダンジョン調査隊が地上に出るまで協力する
報酬:クラフト素材、その他
ミミとマキナはうなずき合い、クエストを受注した。
「これはありがたい。では初めに、HPポーションと食料を提供してほしい。
ポーションは護衛の傷を癒すため、食料は地上まで歩く体力をつけるために必要なんだ」
「分かりました!HPポーションはここにあるので使ってください。
食料は……マキナ、持ってる?」
「どうしよう、私も持ってないよ」
「大丈夫、この紙を見てくれ。
付近のモンスターの食べられる部位が書いてあるから、倒して持ってきてほしい。
調理はこちらでやるから安心してくれ」
「察するに、クエストアイテムがドロップするようになるってことか。
分かりました。早めに持ってきますね」
「頼んだぞ、冒険者さん」
それから2人は森でモンスターを狩り、大量の食料を手に入れて戻った。
「これはありがたい。君、食料をみんなに配ってきてくれ。
さて、冒険者さん。これからは脱出計画の話をしよう」
調査員はそう言い、机の上に地図を広げた。




