第26話、森のダンジョン
2人は森を進みながら話す。
「それで、行くあてはあるの?」
「もちろん。今日はダンジョンに行くよ。場所はわかってるから安心してね」
「ダンジョンって……どんなところ?」
「モンスターと宝箱が配置されてる場所で、フィールドを凝縮して閉じ込めたような場所だよ。
珍しい素材とか消費アイテムを手に入れるために行くことが多いね。
私たちの場合は武者修行だけど」
「フィールドを凝縮かあ……面白そうだね」
ミミとマキナはダンジョンへと到着した。見た目はただの洞窟だ。
崖にぽっかりと開いた穴に入っていくと、外とはまったく違う光景が広がっていた。
「おお~!ファンタジー!」
ダンジョンの中は大きなドーム状になっていた。
高い位置にある入り口から、全体を一望できる構造になっていた。
眼下に広がるのは複雑な通路とそこを徘徊するモンスターたち。
遠くには滝や湖のようなスポットも見える。
壁や天井にはコケや蔦が絡まって光を発しているので、暗さは問題にならなさそうだ。
ダンジョンの入り口には脇の階段から行けるようだ。
「ダンジョンって聞いてたからてっきり狭い洞窟を進んでいくのかと思ってた。
あちこちに植物があるし、すごく開けた場所になってるんだね~」
「昔はそういうのもあったんだけど、閉塞感が続くからって人気がなくなったらしいよ。
今どきはこういう天井の高いタイプが流行りだね」
「進まなきゃいけないのはわかってるけど……もうちょっとだけ見ていていいかな?」
「大丈夫だよ。構造もざっと把握しておきたいし、しばらくここにいようか」
2人はスクリーンショットを撮ったり、メモを取ったりとしばらくの間ダンジョンを見下ろしていた。
「よし、私はそろそろ満足かな。マキナはどう?」
「こっちも準備OK。それじゃあ進もうか」
2人は一緒に階段を下りて、ダンジョンへと入っていった。
「通路も結構広いね~。ダンジョンはどう進めばいいの?」
「とにかく、道に沿って地図を作りながら行くのが鉄板だよ。
今回は自動記入で作ろうか。ミミ、設定のやり方は知ってる?」
「それは大丈夫。この前出会った人に教えてもらったからね」
「私以外のプレイヤーとも交流があるのか……MMOプレイヤーとして成長してきたね」
「成長ってちょっと大げさな表現だね。ただ知り合いを増やしただけだよ」
「MMOの醍醐味は他のプレイヤーと遊べることにあるんだよ。
知り合いを増やすってことは遊び方を増やすってことなの。
だからそれは立派な成長って言えるんだよ」
2人は道中でモンスターを倒しながら進んでいった。
分かれ道でどちらに進むか相談したり、行き止まりにぶつかって引き返したりしながら歩いていると、2人の目の前に宝箱が現れた。
「初宝箱だ!早く開けよう!」
「よしきた!先にモンスターがいないか確認して……OK、開けよう!」
ミミが宝箱を開けると、その中には金属の鉱石らしきものが入っていた。
「これ、ただの金属だよね。何に使うんだろう?」
「クラフト素材だよ。装備や消費アイテムを作るときに使うんだよ。
主に鍛冶をするプレイヤー向けのアイテムだね。
新しく装備を作る予定がないなら、売りに出しちゃうのがいいかな」
その後、2人は探索を続けた。無数のモンスターを倒し、いくつかの宝箱を開けることができた。
「おお、これはポーションだね。種類は……敏捷ポーション。
体が動かしやすくなって、動きも素早くなるって書いてある!」
「今回は救命ポーションだ。
体力がなくなったときギリギリで踏みとどまって一定時間無敵になるみたいだね」
そうして探索を続けていると、2人の目の前に湖が現れた。
「ここは上から見えた湖みたいだね」
「いい景色だね~。ダンジョンの中の光景と合わさって神秘的に見えるよ。
ちょっとここで休憩していかない?」
「賛成。モンスターがいると思うと神経を使うから、適度な休憩は大切だよ」
2人はしばらくの間、ゆっくりと過ごした。




