第18話、クランハウス
「では、クランハウスの鍵をお渡ししますね」
受付NPCはそう言いながら、ミミに1つの鍵を手渡した。
「その鍵を持ってクランエリアに入ると、クラン専用の拠点『クランハウス』に行くことができます。
最初は小さいですが、様々な方法で拡張することが可能です」
「へえ〜、最初からクランハウスがついてくるんだ〜」
「クランの運営には、様々な知識が必要です。
クランハウスに冊子を用意してありますので、ぜひご活用ください。
これにて説明は終了です。良い冒険者生活を」
「ありがとうございます」
「ミミ、クラン作成おめでとう」
「ありがとう。簡単な手続きをしただけだけどね。
今、マキナをメンバー登録するからちょっと待ってね」
ミミたちはマキナをメンバー登録した後、クランエリアへと足を運んだ。
「クランハウスってどんな感じなんだろう」
そのままクランハウスの中に入る。
「おお〜、コンパクトでいい感じ!」
「最低限必要なものは揃っていそうだね。装飾はそれから揃えていけばいいかな」
クランハウスの中は、家具こそ少ないものの、それなりに整っていた。
壁と床は温かみのある色合いの木でできている。
壁際には暖炉とキャビネット、中央には応接机と椅子があった。
2人は応接テーブルに腰掛け、今後の動きを相談することにした。
「さて、クランはできたわけだけど、これからどうする?」
「そうだね……今日はクランハウスを整える日にしようかな。
この前商店街を見て回った時、家具も売ってたんだよね。
それを選んで設置しよう。お金も割引券もあるから大体は買えるはずだよ」
「今の時期はイベント中だから限定の家具もあるかも。
いいタイミングだと思うよ」
2人は商店街へと向かった。
イベント中ということもあり、商店街も普段とは違う様子だ。
あちこちに花が飾られ、セールを宣伝する文言が並んでいる。
店員たちも店頭に出て呼び込みをするなど、忙しそうにしていた。
「前に来た時より賑やかだね〜」
商店街の様子を眺めつつ、2人は家具屋へ入った。
中にはインテリアが所狭しと並んでいる。
壁には様々な壁紙のサンプルが少しずつ貼られており、離れて見ると壁全体がモザイクアートのようにも見えた。
「まずは全体の雰囲気決めだね。
こういうのは壁紙から選ぶのがよさそうかな。
私は暖炉を生かして石造りかレンガの壁にしたいと思ってる。
特徴的なインテリアに合わせるのが無難だよね」
「私は、クランハウスをリラックスできる場所にしたいから、今の木の壁でいいと思ってる。
……意見が割れちゃったよ……」
「こういう時は専門家に意見を聞こう。
店主さん、クランハウスのおすすめの壁紙はありますか?」
話を振られた店主は少し考えてから口を開いた。
「意見が割れているようだな。
壁紙は場所ごとに使い分けられるから、暖炉のそばだけ石造りにするのはどうだろうか。
個人的には、限定販売の花咲き壁紙がおすすめだよ。」
「マキナ、店主さんの案でいいかな?」
「いいと思うよ。じゃあ、家具を探そう」
ミミとマキナは家具屋を隅々まで回り、理想のクランハウスのためのインテリアを買い集めた。
その後、2人はクランハウスに戻り、家具を設置しながら話す。
「お金足りてよかったね〜」
「そうだね。セールと割引があるとはいえ、いっぱい買いすぎたかも」
「理想のクランハウスを作るためには安い出費だよ。よ~し、完成!」
クランハウスの中は、初めて訪れた時とは様変わりしていた。
入り口から見て右側にある暖炉のそばの壁には、石の壁紙が貼られ、落ち着いた雰囲気を醸し出していた。
周りには雰囲気に合った小物、ソファー、キャビネット、安楽椅子が設置されている。
キャビネットの中には共用のアイテムや余った家具などを入れておく予定だ。
左側には、木の壁を背景に応接セットが置かれている。
応接机の上にはジュースやお菓子が置かれており、気軽にくつろげるようになっていた。
ちなみに、ジュースとお菓子は無限に湧き出る仕様だ。
そして、奥の壁は仕切りに遮られて入り口からは見えないようになっている。
奥に進むと、一面が花で覆われた壁が目に入るだろう。花咲き壁紙が貼られているからだ。
ここにはライトとハンモックが設置されていた。
1人でゆっくりしたり、気分転換をするために使う予定だ。
「マキナ、1日お疲れ。まだ狭いけど、やっとクランとして動き始めた感じがするね」
「最初の1歩は順調に踏み出せたみたいでよかったよ。ミミ、クランリーダーとして、これから頑張ってね」
「もちろん頑張るよ。それじゃあ、クラン結成を祝して乾杯!」
2人は応接机のジュースで小さな祝杯を挙げた。




