第17話、クラン勧誘とラビットフット
「もしかして……ミミさんですか?」
翌日、マキナを待っていたミミはプレイヤーのひとりに話しかけられた。
「はい、そうですけど……?」
「昨日のチャレンジ、拝見しました。素晴らしかったです。
一撃にすべてをかける姿勢が目に焼き付きました」
ミミは照れながら答える。
「本当ですか?ありがとうございます」
見知らぬ男は、プレイヤーカードをミミに渡しながら続けた。
プレイヤーカードとは、本人の情報を簡潔にまとめた名刺のようなものだ。
「それでですね……僕は今回、ミミさんをクラン『一撃入魂』にお誘いするため来ました。
名前の通り、一撃の最大ダメージを追い求めるクランです」
「なるほど……でも、入るかどうかはまだちょっと……」
「すぐに決めなくとも大丈夫です。
気が向いたらご連絡ください。
見学なども受け付けていますので、お気軽にどうぞ」
「分かりました……」
男はそう言うと、どこかへと歩いていった。
男と入れ違うようにしてマキナがやってきた。
その顔は妙にニヤついている。
「ミミ、ナンパでもされてたの?」
「違うよ!というか見てたの?」
「見てたっていうか、話し終わるまで待ってただけだよ。
それで、どんな話をしたの?」
「クランに入らないかって誘われただけ」
「そうか、もうそんな時期か……」
「時期ってなんのこと?」
「プレイヤーが集まり始める時期だよ。
スキオンで言うところのクランがたくさん作られるってこと。
ミミはチャレンジでいい活躍をしたから抱き込もうとしてるのかもね」
「実力を認めてもらえるのはうれしいけど……断るのもちょっと気が引けるな。
マキナ、何か勧誘を止めてもらえる方法は無いかな」
「方法はいろいろあるけど……一番簡単なのはクランに入っちゃうことかな。
そうすればもうクランに入ってますって断れるでしょ」
「クランに入る……誰かと一緒にプレイするってことだよね……」
「そうなるね。一緒に探してみる?」
「私は……クランに所属するのは悪くないけど、やることは自分で決めたいかも……そうだ!
マキナ、私たちのクランを作ってみない?」
「おお、そう来たか〜。いいよ、作ろう」
「私が言うのもなんだけど、そんなにあっさり決めていいの?」
「知らない人と組むより、知り合いと作るほうが楽しめそうだからね。
あと、いざというときはサポートするって約束したから」
「ありがとう、マキナ!よし、これから作りに行こう!」
「それで、どうやって作るかはわかる?」
「わかんないけど……とりあえず、ヘルプを見てみよう」
2人はヘルプ画面を探して、ギルド会館で手続きをするという文言を見つけた。
そのままギルド会館へと向かった。
歩きながらクランについて相談する。
「クランを作る時はいろいろ決めなきゃいけないけど……
とりあえずは名前だね。
第一印象に関わるし、変えられないから。
参考までに、さっき勧誘してきたクランの名前はなんて言うの?」
「『一撃入魂』だよ。一撃の最大ダメージを追い求めてるんだって」
「やりたいことが現れてるいい名前だね。
うちはどんな感じでいきたい?」
「特に共通の目標は無しでいいかな。
とにかく楽しむことが目的だから、それぞれがやりたいことをやる感じで」
「それだったら目標を名前にしなくてもいいね。
私はミミの判断を信じるよ」
「うーん、目的じゃない名前……ミミとマキナ……閃いた!」
「いい名前を期待してるよ」
ギルド会館に着いた2人は受付NPCに話しかけ、クラン設立の手続きを始める。
ミミはウィンドウのクラン名の欄に『ラビットフット』と入力した。
「リーダーの特徴をよく表してると思うよ。
どんな由来なの?」
「前に、マキナが私のことをウサギみたいって言ってたでしょ。
そこから連想して、メンバーに幸運なことがありますようにって名付けたんだ」
「私は変身した時の足を指してるのかと思ったよ」
「それもいいね。じゃあダブルミーニングってことでいこう」
ミミは細かな設定を終え、ウィンドウの確定ボタンを押した。
「クラン『ラビットフット』、設立完了です。これから頑張ってくださいね」
受付NPCの声とともにクラン『ラビットフット』が誕生した。




