第16話、マキナのチャレンジ
自分の番が終わり、観客席に戻ったミミはひとり呟く。
「まさに会心の出来だったね。これ以上ないくらいうまく決まったよ。
掲示板にも名前が載ったし、実は結構すごいんじゃない?」
自分の攻撃を振り返っていると、次の参加者の番が回ってきた。
リングにはマキナが立っていた。なぜか武器を持っていない。
「次はマキナの番か。頑張れー!」
マキナはミミの声が聞こえたのか、少しだけミミに手を振ってから、カカシに向き直った。
選んだのはカカシ3体を30秒攻撃するルールだ。
マキナが本気で組んだビルドを知らないミミはそれに期待してしまう。
リング上のマキナは迷うことなくカカシに近づき、スキルを使用した。
「トリプルタッチ!」
そのままカカシたちをビンタする。
ビンタされたカカシから、状態異常を示すエフェクトが表示される。
マキナはそれを確認するより早く、さらにスキルを発動させた。
「リジェネサークル!」
観客席から疑問の声が上がる。なぜ今回復スキルなのかと。
しかもマキナはそこからさらに自分に回復スキルを使う。
「セルフヒール!セルフヒール!リジェネサークル!」
マキナは制限時間ギリギリまで回復スキルを使い続けた。
残り数秒というタイミングで、マキナは再びカカシに近づいた。
最後の1秒、ようやく攻撃スキルを発動した。
「リベンジタッチ!」
すかさず全てのカカシにビンタを当て、そのまま制限時間となった。
ミミが掲示板を確認すると、ちょうどマキナの名前が表示されたところだった。
観客席に戻ってきたマキナにミミは問いかける。
「マキナ、さっきは何をやってたの?
最初と最後以外は回復しかしてなかったよね」
「ふっふっふ……あれは回復ではないんだよね……
逆に自分にダメージを与えていたんだよ」
「えっ?自分にダメージ?ますます意味が分からないよ」
「まあ、分かりやすいように順を追って話すよ。
ゼンマイさんのスキルで攻撃力が下がってるのは知ってるよね?」
「それはまあ……」
「実はね、このゲーム、攻撃力がマイナスになるとアクティブスキルのダメージと回復が逆になるの。
必中スキルは対策されてたけど、設置型や自己回復ならダメージが入るんだよね」
「それを利用してカカシに攻撃してたんだね。
でも自己回復は何のために使ったの?」
「それはもちろん、自傷のためだよ。
最後に使ったリベンジタッチは攻撃を受けるほどダメージが上がるの。
しかも、攻撃力関係なくダメージを出せるからこのビルドでも使えるんだ」
「そうだったんだ。とにかく、ランクインおめでとう!」
「まだ話せることはあるけど……とりあえずありがとう、ミミもおめでとう!」
その日は、2人でほかの参加者を応援して過ごした。
以下、マキナのスキルとざっくり説明です。
(ゼンマイ)とあるスキルは常時攻撃力減少効果と「取得条件:特定のスキルトレーナーから購入する」が付いていますが長くなるので割愛してます。
アクティブスキル
「トリプルタッチ(ゼンマイ)」
3秒間、触った対象に毒、バインド、出血を与える。耐性無視
「リジェネサークル(ゼンマイ)」
円状のフィールドを展開し、上にいる対象を回復し続ける
「セルフヒール」
自身のHPを回復する
取得条件:ギルドのスキルトレーナーから購入する。
「リベンジタッチ(ゼンマイ)」
3秒間、触った相手にダメージを与える
直近1分の被ダメージに応じて与ダメージ上昇
パッシブスキル
「状態異常強化」
状態異常の効果を強化する
「回復感応」
周囲で回復が起こった時、自身のHPを回復する
「状態異常相互補完」
同じ相手に複数の状態異常を付与すると、それぞれの効果が上昇する
「九死に一生」
一度に受けるダメージの上限が最大HPの7割になる




