第15話、福袋とミミのチャレンジ
ミミたちは酒場の中に入った。
屋台の代わりに、服を着たマネキンや何が入っているかわからない袋が置かれている。
「中では装備を売ってるんだ~。あれ見て!福袋だって!」
ミミが指さした先には一枚のポスター。そこには装備福袋と書いてあった。
1人につき1回、ランダムな装備を購入することができるようだ。
しかも、祭りが終わるまで開封できないらしい。
「祭りが終わるまで開けられないの?どんな意味があるんだろう……?」
「うーん、私も分からないな……まあ、安いし買っちゃおう」
2人は福袋を買ってから酒場を出て、チャレンジイベントの会場へと向かった。
チャレンジイベントの会場である出口前広場にも、普段とは違った光景が広がっていた。
広場の中央には特設リングが設置されていた。
リングの周りには観客席が並んでいた。多くのプレイヤーがチャレンジに挑む参加者を応援している。
観客席の背後にあるのは掲示板だ。各カテゴリの成績上位者を表示している。
周りの建物の壁にはチャレンジのルールや応援の文言が書かれた垂れ幕がかかっていた。
「こんなにプレイヤーが集まってるのは初めて見たかも」
「そうだね。初めてのイベントだからみんな盛り上がってるみたいだね」
「マキナ、あそこに受付って書いてある。一緒に行こうよ」
2人は受付へ向かい、参加登録を済ませた。出番は約30分後だった。
それまでの時間が空いた2人は、他のプレイヤーの挑戦を観戦することにした。
「口から炎を吐き出し続けてる。肺活量が凄いね」
「今の人、制限時間ギリギリに自爆スキルを使ったよ。本気で攻略しに来てるんだ」
「おお、あの人剣さばきが凄い!スキルも混ぜてるのに、1回も止まらずにカカシを切り続けてる!」
「自己バフをいっぱい使ってる。武器と魔法を併用しているのもあって玄人感凄いな~」
2人で観戦を楽しんでいるとミミの目の前にウィンドウが現れた。
出場が近くなったので、待機室に移動できるようになったらしい。
「おっと、もう待機室に行く時間だ。マキナ、頑張ってね」
「うん、ミミもね。お互い頑張ろう」
ミミはウィンドウを操作し、待機室へと移動した。
待機室の壁の一面はモニターになっており、会場の様子を見ることができるようだ。
「観戦もしたいけど……念のためスキルの確認をしておこう」
ミミは装備しているスキルの一覧を開いた。
装備中
アクティブスキル
「スタンプ」
「ムーンジャンプ」
「兎霊憑依」
パッシブスキル
「空中攻撃マスター」
「先制の一撃」
「コンボマスター」
「うん、装備忘れはなさそうだね。今回は一撃に賭けるビルドだから絶対外さないようにしないと。
今回は準備に30秒、初ダメージから3秒で終了……ジャンプ攻撃の後にもう一度くらい攻撃できるかな」
しばらくするとモニターの画面がカウントダウンに変わる。
数字がゼロになった瞬間、ミミはリングの中に立っていた。
視界の端にあるタイマーと、リングに設置された準備時間のタイマーがカウントダウンを始める。
「変身!」
その言葉と共にミミの体が変化を始める。観客席にどよめきが広がる。
ミミは周囲のどよめきを気にすることなく、変身を終えると壁際まで下がった。
そしてまっすぐにカカシへ向かって走り始めた。
「ムーンジャンプ!」
カカシにぶつかる直前、全身の関節を使って、両足で力強く跳び上がった。
ミミは空中で体勢を立て直し、妖精の軽鎧の能力で着地地点を調整。
最後は落下の勢いを増すように、真下に向けて加速した。
「スタンプ!」
ミミは猛スピードで落下しながら、タイミングを合わせてスタンプを発動させた。
攻撃は寸分たがわずカカシの脳天に直撃し、ミミの腕に強烈な反動を伝えてくる。
攻撃後、着地したミミは制限時間いっぱいまでスキルを使わずに攻撃を繰り出し、自分の番を終えた。
制限時間が終わり、顔を上げる。視線の先には掲示板。
そこにはミミの名前が表示されていた。




