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第10話、妖精と蜂

 一人取り残されたミミはこれからどうしようか考える。


「さっき、マキナは状態異常があれば攻撃を当てやすいって言ってたよね。

 1回だけ試してみようかな……」


 スキルスロットにはまだ先ほどの「パラライズボール(ゼンマイ)」がセットされている。

 ミミは草原の花畑に向かった。

 目的は草原蝶へジャンプ攻撃を当てること。

 花畑に到着してすぐ、蜜を吸う蝶へとスキルを使う。


「パラライズボール!そしてムーンジャンプ!」


 パラライズボールが蝶に当たり、その動きを止める。

 ミミは止まった蝶に向け、ムーンジャンプによる攻撃を放った。

 攻撃は当然命中し、蝶をポリゴンへと変えた。

 

「リベンジ完了!動かれなければこっちのものだよ」


 

 戦闘を終えたミミに、知らない声が語りかけてくる。


「そこのデカ妖精!うちの蝶たちをいじめるな!」


 ミミは周囲を見渡す。だが、誰もいない。

 しかし声だけが聞こえる。


「キョロキョロしないで!あたしはあんたの足元よ!」


 その声に従って足元を見ると、10センチほどの小さな人影が花の上に立っていた。



 ミミはその場でしゃがみ込み、人影を観察した。

 擬態のためか、全体的に植物を思わせる色の装備で身を固めている。

 特に胴体と腰の装備はミミが着用しているものと同じもののように見えた。


「あの〜。私、妖精じゃないんだけど……」


「騙されないわよ!その服、妖精が着るものじゃない!」


「その服?もしかして……」

 

 ここでミミはある可能性に思い至った。

 今着ている「妖精の軽鎧」が、イベント発生の引き金になった可能性だ。

 そう仮定すると、目の前にいる小人は妖精なのだろう。

 ミミは詳しく話を聞くため、妖精に向き合った。



「こんにちは、妖精さん。私はミミ。

 さっきは蝶を攻撃してごめんね」


「反省したようね。でもまだ許してないわよ。

 私が今から言うことをやったら許してあげる」


「どんなことをすればいいの?」


「このあたりに出てくる蜂を倒して。

 あいつらが蜜を取っていくせいで蝶たちの取り分が減ってるのよ」

 

 クエスト:花畑の縄張り争い

 目標:草原蜂の巣を壊す。

 報酬:スキルの巻物


「スキルを貰えるならやってみようかな。

 蝶も倒した罪滅ぼしもしないとだし」

 

 ミミはクエストを受注した。

  

「蜂はいつもあっちから来るわ。巣でもあるんじゃないかしら。

 とにかく、これ以上あいつらが来ないようにして!」


 ミミは妖精の指し示す方向へと進んでいった。


 

 途中で蜂が襲いかかってくるも、パラライズボールとムーンジャンプのコンボで確実に仕留めていく。


「巣があるなら、蜂はそこから来るはず。

 だったら蜂の飛んでくる方向に進めば巣を見つけられるよね」

 

 蜂の飛来方向を確認しながら進んでいくと、大きな巣があった。


「あれがクエストの目標だね。さっさと壊しちゃおう。

 ムーンジャンプ!」


 ミミは全力のジャンプ攻撃を蜂の巣に向けて放つ。

 その攻撃は命中し、巣を破壊した。


「よし、クエスト完了……あれ?」


 巣は完全に破壊されていた。しかし、その中から蜂が這い出してくる。

 その数、4体。

 本来は巣のHP減少に伴って段階的に出てくるはずだった蜂が、一撃で巣が壊されたことでまとめて出てきたのだ。

 

「嘘!?聞いてないよ!」


 大事な巣を壊されたのだから、蜂は当然大怒りだ。

 ミミは戦う覚悟を決め、ハンマーを握りしめた。

 

 そこからは泥沼の戦いだった。

 ムーンジャンプは避けられて当たらず、パラライズボールで1匹を麻痺させても残りの3体が一斉に襲いかかってくるのでほとんど意味がない。

 スタンプ以外のスキルに頼れなくなったミミは、がむしゃらにハンマーを振り回した。

 そうして、ズタボロになりながらも4体の蜂に勝利した。



「はぁ、疲れた〜。でもスキルを使わない戦いの練習にはなったかな……」


 地面に座って休んでいたミミの前にスキル獲得ウィンドウが現れた。


 パッシブスキル「孤軍奮闘」

 同時に敵対している相手の数が多いほど、ステータスが上昇する

 取得条件:パーティーを組んでいない時、同時に3体以上の相手と戦って勝利する


「おお、新しいスキルだ!ソロでしか取れないスキルもあるんだね」


 スキルの内容を一通り確認したミミは、もう少しだけ休んでから花畑に戻った。

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