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6・情報の代償

「意識をもったまま入れる人間って、母さん達が本を集めてた霊能者とか?」


 カウンター席でグラスを傾け、ゴクゴクと飲む若い姿のじいちゃん。

 じいちゃんは酒を見つめたまま、俺の質問に答えてくれる。


「まぁ本物の中には使ってるやつもいるが、ほんの一握りだな。本当にリスクを分かっていて、力のコントロールもできるやつはかなり少ない上に、そういうやつは人前には出ない。能力を狙って自分の都合よく利用しようとする輩もいるから気付かれないように黙って過ごしてるだろうな」


 (それもそうか。目立っていいことはないもんな)


 そんな超能力みたいなものがあったら特にだろう。権力者に搾取されて平凡なんてものは二度と手に入らないのが目に見えている。

 結局、動物も人間も弱肉強食だ。


 (ッ…!)


 頭にズキッと鈍痛が響く。


 (こんな状況、そりゃ頭も痛くなるか…)


 痛みを誤魔化すように俺はじいちゃんに話し続ける。


「でもそんな漫画の能力みたいなのを意識して使えるなんて、ほとんど人生チートじゃん」

「そう上手くはいかん」


 俺が少し羨ましそうにしていると、じいちゃんはそれを諌めるように言葉を続ける。


「力には常に代償が伴う。情報を貰うためにはその分の情報料が必要だ。」


 じいちゃんの声は重く、その法則の重要性を物語っていた。

 重い雰囲気に一瞬躊躇するが、俺は好奇心には勝てず、その法則の内容を聞く。


「その情報料ってどうやって払うの」

「クウォンタム。現世ではオーラだとかチャクラだとか波動ともいわれてるが、要は人間の目には見えないエネルギーのことだ」


 じいちゃんは重く落ち着いた声で続ける。


「クウォンタムは失ったら二度と戻ってこないわけじゃない。常に変化しているし、その量も個人によって違う。状況にもよるが、情報料として払っても早いやつなら数時間で回復するだろう。だが、一回で大量のクウォンタムを払ったらどうなるか、想像つくだろう?」


 アカシックレコードは図書館なんて優しいものではなかった。


「死ぬのか」

「そうだ。…だから、そんな気軽に使えるもんじゃない。使用するたびに自分の命が脅かされるような能力なんてほとんどギャンブルだ。アカシックレコード自体わからないことが多すぎる。得たい情報に対しての支払いも毎回違ってわからねぇからな。」


 金額のわからない料理屋で自分の所持金もわからずに食事をするようなものだ。しかも払えなかったら死ぬなんて。そんな高リスクの能力、使うのが怖すぎる。


 (…待てよ?俺、無意識で入って見てるって)


「つまり俺みたいな無意識なやつもそのエネルギーを知らないうちに払ってるってこと?!」


 焦る俺を見て、じいちゃんは「安心しろ」と言った。


「アカシックレコードは無意識の人間に対してだけほとんど情報料を取らないらしい」


 (何そのルール 助かるけど…でも、なんで?)


「なんで?」

「なんでだろうな」


 じいちゃんはそう口を動かしながら胸ポケットから煙草を出し、火をつけてふかす。


 (ほとんど記憶としては残っていないから…?

 それともアカシックレコードにとっても何か利点があるのか?)


  一気にいろんな情報を知りすぎて頭がより一層痛くなってきた。わからないことが多すぎる。

 でも、ここでじいちゃんに色々聞き続けても解決しない。

 

 (とにかく今は自分の体に戻る方法を見つけないと…)


 痛み続ける頭を抑え、少しでも痛みを和らげる為に体勢を変えようと一旦椅子を降りる。


「わからないことだらけだけど、早く体に戻らないと」


 頭痛がさっきよりも強く酷くなっていく。トンカチで殴られてる気分だ。


「まだ死ぬのは嫌だか…ら」


 (あれ 目の前が揺れて……頭が 痛い…)


「ッ悠人!」


 俺の意識は、そのまま暗闇へと落ちていった。

次回更新予定:5月25日 18:30


閲覧ありがとうございます。

定期的に文章の見直し、編集等行うことがありますが大筋の話には変更はないので見て頂けると嬉しいです。

よろしくお願いします。

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