5・アカシックレコード
じいちゃんの表情は深刻そうで、俺がしたことの事の重大さを自覚する。
俺が夢で開けてしまった扉はヤバいものだったらしい。
「真理の扉は普通の人間が開けれるものでもないし、見つけれるものでもない。万が一見つけたとしても、開けたら大抵は耐え切れずに魂ごと吹き飛ぶか、魂が壊れて精神異常を起こすかの二択だわ。俺でも耐えられるかわからん。」
(そんな扉がなんで普通に置いてあったんだよ…。
あんなの俺にここを開けろって言ってたようなもんだろ)
自分が魂ごと消えていたかも知れない事態に今更ながら肝が冷える。
(…そもそもあのビルみたいな場所はなんだ?)
「俺が夢で見た扉が沢山あった場所って」
「それはアカシックレコードだな」
じいちゃんは俺が言葉を終える前に被せてはっきりと言った。
アカシックレコード…俺が中学二年生だったら大喜びしそうな響きだ。残念ながら俺は既に卒業しているので気にもしていない。……うん。
宇宙のデータバンクとかなんとか昔、父さんが熱く語ってたような。
その時はまーたなんか言ってるなぁと横流しに聞いていたから、あまり内容を覚えてない。ちゃんと聞いておけばよかった。
「アカシックレコードっていうのはな」
俺が頭を捻らせているのに気付いたのか、じいちゃんはアカシックレコードの説明をしてくれた。
「宇宙のデータバンク、魂の図書館ともいわれているが、人間が理解できないような事から一人一人の過去、現在、未来の全ての記録、それに伴った感情、思考までも…とにかく何から何まであるらしい。」
「らしい?」
「詳しいことは俺にもわからん。そういうことに詳しいやつからそう聞いただけだ。なにせあそこに行けるやつは割といるが、意識のある状態で入れるやつはそうそういないからな。」
(つまり、俺みたいに夢で無意識に入るやつがほとんどってことか)
「悠人もそうだが、たまにいるだろ?すごい勘のいいやつとか予想がすごく当たるやつとか。何故かトラブルを無意識に避けれるやつとか。」
確かにそういう鋭いやつはたまにいる。
(そうか、そういうことか)
「そういう奴は大体、無意識の時にアカシックレコードで見たものを感覚的に覚えてんだよ」
「へぇ…そんな理由が…。偶然だと思ってた」
「偶然なんかこの世にはない。どんなものにも理由がある。必然だ。俺は死んで強くそう思うぞ。」
じいちゃんの言葉が胸に深く刺さった気がする。
じゃあこうやって俺が今ここにいるのも必然なのか。
瓶の中身が空になったのか、じいちゃんは勝手にカウンターの上にあったキープボトルを開けてグラスに注いで飲んでいた。ネームプレートに哲馬ってじいちゃんの名前が書いてあるから自分のボトルなのだろう。
じいちゃんは生きてる時から酒好きで家にはいつもビールケースがストックされていたなぁ。
死んでも大好きな酒をじいちゃんが飲めていたことに、自然と自分の口角が少し緩む。
さっき、じいちゃんは意識のある状態で入れるやつはそうそういないって言っていた。
「アカシックレコードに意識のある状態で入れる人もいる、ってことだよね?」
「……ああ」
もしこの世が偶然ではなく必然なら、
俺が真理の扉を開けてしまったのにも何か理由があるはずだ。
次回更新予定:5月24日 18:30 間に合わない場合は次の日の同時刻を予定しています。
まだまだ未熟な文なので、気付いたらその都度編集していきます。
大筋の話には変更はないので見守って頂けると嬉しいです。




