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1945年8月1日 昭和天皇へ謁見

この作品はフィクションです、実在の人物や団体などとは関係ありません

【現在のクレジット残額:908,123,180ゼニ 1億2000万ゼニデイリーボーナス込み】

【ゲーム内で関わった人数:約123,900人】


1945年8月1日、午前10時00分。


帝都の空は、今日も容赦のない盛夏の陽光に焼き尽くされていた。

畑俊六元帥、阿南惟幾陸相、田中静壱大将の3人が乗った黒塗りの軍用車は、前夜の宿営地である日比谷の第一生命ビルを出発し、内堀通りを抜けて皇居の「坂下門」へと滑り込んだ。


車が停車すると、門の前で直立不動の姿勢で待機していた近衛師団長・森赳中将が合流する。前夜の近衛の暴発を無血で収束させた当事者たちだ。4人はそれぞれの手に、未来の書物や機械を包んだ重厚な風呂敷包みや大きな荷物をしっかりと抱え、固い足取りで砂利を踏みしめながら皇居の奥へと歩を進めた。


本来、天皇陛下の御前への出頭や宮殿への立ち入りには、侍従武官や近衛衛兵による厳重極まる身体検査が義務付けられている。特に銃器や不審な持ち込み物のチェックは例外なく徹底されるのが宮中の絶対的なルールだった。


だが、重々しい管理門の前には、すでに一人の文官が厳しい表情で直立していた。内大臣・木戸幸一である。

検閲を行おうと一歩前に出た侍従武官の前に、木戸内大臣がすっと片手を挙げて立ちはだかった。


「そこまででよい。――此度の一件は宮中重大案件につき、内大臣たる私の責任においてすべて検閲済である。衛兵は下がりなさい」


「は、ハッ!」


内大臣の直々の命令と、そのただならぬ威圧感に気圧され、衛兵たちは一斉に直立不動の敬礼を捧げて道を譲った。畑元帥が持つ、未来の禁書とも言える歴史データや精密機械の数々は、一切の検査をされることなく、完全にノーチェックで宮城の最深部へとパスされた。


◇◇◇

地下防空壕の光

◇◇◇


午前10時30分。皇居内・御文庫附属室。


度重なる空襲を避けるため、昭和天皇の仮の執務室として使われている地下防空壕「御文庫附属室おぶんこふぞくしつ」の空気は、ひんやりと冷たく、そして重苦しく張り詰めていた。

簡素な作戦机を囲むようにして、昭和天皇、木戸内大臣、そして4人の将官が静かに着席する。


昭和天皇のすぐ手元には、昨日浩平が木戸内大臣を通じて送った、連絡用の黒いAndroidタブレット端末が置かれていた。天皇陛下がその未来の端末の中身に触れられたかどうかは定かではなかったが、それを皇国の命運を左右する「未来への鍵」として、極めて大事そうに手元に留め置かれているのが見て取れた。


それにしても、地下の室内は暗かった。

天井から吊り下げられた当時の白熱電球が放つ光量は、現代の基準から見れば驚くほど暗く、机の上の文字を読むのにも目を細めねばならないほどだった。


現代の自宅のモニター前でその薄暗い光景を見ていた浩平は、キーボードをパチパチと叩いた。


「歴史的な会議なのに、こんなに暗くちゃ本を読むのも一苦労だな。よし、まずは環境改善だ」


浩平は画面上の操作で、昭和天皇の手元にあったタブレットのオブジェクトを一度インベントリ空間へと回収。テキストエディターを開き、文字を入力した。


『陛下、室内が大変暗うございます。少し未来の明るい照明設備をここに配置してもよろしいでしょうか? ――監視者 浩平』


保存された文字画面を開いたまま、浩平は再びタブレットを昭和天皇の目の前の机の上へと転送した。


フッ。


目の前で一瞬だけ明滅し、文字が書き換わった画面をご覧になった昭和天皇は、驚くことなく、静かに深く頷かれた。未来の技師からの提案に、同意の意思を示されたのだ。


「よし、許可が下りたな」


浩平は即座にショップ画面から、現代の屋外工事や災害時に使われる頑強な『200W電球相当・バッテリー内蔵LED投光器(眩しさ防止用の専用フード付き)』を3個購入(15,000ゼニ×3=45,000ゼニ)。電源を最大出力でオンにした状態のまま、地下室の壁際の棚の上や、机の空きスペースへとピンポイントでデプロイした。


【総支出:45,000ゼニ】


ピカァアアアアンッッ!!!!


「うおっ!?」

「な、なんだこの光は……!?」


次の瞬間、薄暗かった地下室は、まるで真昼の近代的な図書館かオフィスのような、透き通った白い光によって隅々まで完全に満たされた。影の一片すら残さない強烈な、しかしフードによって目に優しい光に、阿南陸相、田中大将、森中将、そして木戸内大臣までもが総立ちになり、目を丸くして周囲を見回した。


唯一、広島や呉での奇跡を何度も見ていた畑元帥だけが、落ち着いた様子で着席したまま、その白い光の光源を見つめていた。畑元帥は昭和天皇へ向けて、静かに拝礼した。


「……陛下。すでに天の監視者殿と、直接のご連絡を取られておられましたか」


昭和天皇は、棚の上で静かに光る未来の灯火を見つめながら、穏やかな声で返答された。


「うむ。少しだがね。浩平殿がどのような想いで我々に手を伸ばしてくれているのか、朕は少し理解できたように思う」


その言葉を合図に、歴史を書き換えるための第一部――未来の情報の開陳が始まった。


◇◇◇

失われた帝国

◇◇◇


畑元帥は深く頭を下げると、持参した風呂敷の結び目を丁寧に解き、その中から厚みのある絢爛な装丁の本を取り出した。浩平が現代から送った『新訂原色植物大図鑑』の全集である。畑はそれを、両手で恭しく昭和天皇の前へと献上した。


植物学者としても知られる昭和天皇は、その見事なカラー印刷で刷られた未来の図鑑を受け取ると、慈しむように数ページをめくられた。そこには、当時の日本の印刷技術では不可能な、有り得ないレベルの鮮明さで植物の細胞や美しい花弁の色彩が再現されていた。


天皇陛下はしばらくの間、熱心にその頁を見つめられていたが、やがてそっと本を閉じ、小さく寂しげな感想を漏らされた。


「……素晴らしい本だ。平和な時代であれば、朕はこうした学術本をいつまでも読んでいただろう。だが……今の時世を鑑みると、学問を語ることすら、飢える民に対して贅沢に思えてしまうな」


「陛下……」


木戸内大臣が胸を痛めたように声を詰まらせる。


畑元帥は静かに頭を上げ、続いてもう一冊の重厚な本を差し出した。


『現代の日本/世界地図』である。


「陛下。続いて、こちらをご覧いただきたく存じます。これが……82年後の未来における、我が国の姿にございます」


昭和天皇がその地図を開いた瞬間、室内の空気は完全に氷結した。

世界地図の東アジアの部分をめくられた天皇陛下の指先が、目に見えて小刻みに震え始める。


そこには、大東亜戦争で日本軍が多大な血を流して占領した東南アジアの島々は勿論、数十年かけて近代化を進めてきた「満洲国」、日韓併合以来の「韓国」、そして「台湾」、さらには日本の領土であったはずの「樺太」までもが、すべて日本の朱色(領土)から完全に離れ、まったく別の色で表記されていた。


満洲だった場所は『中華人民共和国』という見慣れぬ国家に変わり、台湾は曖昧ながらも大陸とは異なる色で表記され、樺太は完全に『ロシア』の領土となっていた。かつて日本軍が昭南市と名付けた地には、『シンガポール』という独立国の名が刻まれている。


そして何より、地図の最上部に書かれた国名の表記は、誰もが命を捧げてきた『大日本帝国』ではなく――ただの【日本国】へと変わっていた。


「……帝国、ではないのだな。我が国は、これほどまでに小さく、すべてを失うのか」


昭和天皇はその地図を凝視したまま、深く震撼され、そのお心に隠しきれない暗い影を落とされた。

天皇は顔を上げられると、周囲を取り囲む4人の将官に向けて静かに尋ねられた。


「お前たちは、この本をすでに見たか?」


「いえ……我らはまだ、中身までは拝見しておりません」


阿南陸相が代表して答える。昭和天皇は無言で、その未来の地図を作戦机の中央へと押し出された。


畑元帥、阿南陸相、田中大将、森中将の4人は、そこで初めて、自分たちが戦った結末である「未来の日本の領土」をその目に焼き付けることとなった。


「な……ッ! 朝鮮も、台湾も……満洲もない……!?」


森中将が絶句し、机に両手を突いた。

田中大将は言葉を失い、ただただ北方領土や樺太の境界線を睨みつけたまま動かなくなった。阿南陸相は、文字通り血の気が引いた顔で「大日本帝国」の文字が消え去った極東の小さな島国を見つめ、嗚咽を堪えるように奥歯を激しく噛み締めていた。誰もが、胸を引き裂かれるような絶望的な現実に打ちのめされていた。


◇◇◇

安堵の未来へ

◇◇◇


室内に沈痛な絶望が広がる中、畑元帥は最後に、最も重要な一冊を昭和天皇の前へと差し出した。

未来の皇室の歩みを克明に記した禁断のネタバレ本――『令和の皇室百科』である。


「陛下。最後に、こちらをお読みください」


昭和天皇は、先ほどの地図による衝撃を抱えたまま、その頁をめくられた。

だが、その本を読み進めるうちに、陛下の御尊顔に明らかな変化が現れ始めた。天皇陛下は、先ほどの植物図鑑や地図の時よりも、遥かに強い集中力で、一言一句を貪るようにしてその未来の記録を読み続けられた。


二十分、三十分という沈黙の時間が流れる。

誰もが息を潜めて陛下を見守る中、頁をめくる昭和天皇の顔に、やがて、本当に微かではあったが、救われたような穏やかな笑顔と、深いほっとした表情が浮かび上がった。


そこに描かれていたのは、大日本帝国という軍事大国が滅び去った後も、皇室が途絶えることなく国民の象徴として存続し、新時代の「日本国」の民たちから、心からの親しみと敬愛を込めて迎えられている、この上なく平和で美しい未来の光景だった。

領土は小さくなった。軍隊もなくなった。だが、国民は飢えから脱し、皇室と共に平和な世界を確かに歩んでいる。その動かぬ証拠データが、そこにはあった。


モニターの前で、天皇陛下が絶望の淵から救われたような表情を浮かべられたのを確認した浩平は、キーボードを叩く手を止め、深く息を吐き出した。


「よし、未来の日本の姿は受け入れてもらえたな。……さて、次は本番だ。例の歴史の結末を記録したDVDを観てもらうわけだけど、さすがにあの小さな9.5インチのポータブル画面じゃ、この部屋の全員で見るには小さすぎるよな」


浩平はゲームのショップ画面を開き、新たな大型デバイスの物色を始めた。


「せっかくだから、ここで最高の上映環境を用意してやろう。50インチのブルーレイプレイヤー内蔵型液晶テレビ……これなら、この地下室の全員の脳裏に、あの『終戦の現実』を完璧な映像として叩き込めるはずだ」


日本の命運を決める本当の御前会議が、いよいよその核心へと突き進もうとしていた。


【現在のクレジット残額:908,078,180ゼニ】

【ゲーム内で関わった人数:約123,900人】


◇◇◇

正午の御前御食

◇◇◇


1945年8月1日、午前11時50分。


地下の御文庫附属室に集まった一同が、未来の地図と皇室の行く末にそれぞれの衝撃を受けている中、現代の自室にいる浩平は時計の針を気にしていた。


「そろそろ正午か。歴史の結末を記録したあの映像を見せる前に、一度腹を落ち着かせてもらった方がいいな」


浩平はゲーム内のショップ画面を開き、上映用の機材を揃えにかかった。選んだのは、ブルーレイプレイヤーが内蔵された50インチの大型液晶テレビ(100,000ゼニ)と、例の『終戦特集:太平洋戦争の終わり』のDVD(800ゼニ)だ。

ゲーム内のインベントリ画面の中で、テレビの電源プラグを前日から満充電のままにしておいた2000Wh特大ポータブル電源へと接続し、右側のディスクスロットに静かにディスクを挿入する。映像がいつでも再生できる「一時停止」の状態で待機させたところで、浩平はふと手を止めた。


「このまま転送すれば映るけど……机の上にポンとテレビを置くのは流石に邪魔だよな。かといって、床に直置きするのは陛下に対してなんとなく失礼だし、見下ろさないといけないし。……仕方ない、テレビ台も買うか」


ショップを検索すると、テレビ台のラインナップは1万ゼニの安物から30万ゼニの高級品まで幅広く存在していた。このテレビ一式は、用が済んだからといって回収するのではなく、このまま昭和天皇の仮執務室へと進呈する予定だ。ならば、あまりに貧相なプラスチック製などは避けたい。


「それにしても、テレビ本体が10万ゼニなのに、木製のテレビ台が同じ10万ゼニっていうのは、何か価格のバランスがおかしい気がするけどな……」


消費者の視点で小さく愚痴をこぼしつつも、浩平はしっかりとした造りの、ナチュラルウッド製のテレビ台(100,000ゼニ)を購入した。


「よし、上映機材のセットは完了。だけど、やっぱり空腹のままであの凄惨な原爆の映像を観せるのは酷だ。もうお昼だし、まずはご飯を差し上げよう」


そう決めた浩平は、昭和天皇の手元にあった連絡用のタブレット端末を一度画面上からインベントリに引き揚げた。文字入力機能を開き、丁寧な文章をタイピングしていく。


『陛下、この後、未来の映写記録をお見せいたしますが、間もなくお昼ご飯の時刻となります。よろしければ、未来の温かいお弁当をお送りしてもよろしいでしょうか? ――監視者 浩平』


浩平は発光する画面に文字を表示させたまま、再びタブレットを昭和天皇のお手元へと戻した。


一瞬にして画面が戻り、そこに連なる「未来の弁当」という文字をご覧になった昭和天皇は、少しだけ驚かれたような表情を浮かべられたが、すぐに優しく微笑んで静かに頷かれた。


「監視者殿が、我らのために食事を用意してくれるそうだ。ありがたく受け入れよう」


モニターの前の浩平は、すぐにメニューの選定に入った。


「確か、この場でうなぎが好物なのは、昭和天皇と田中大将の二人だったよな。だけど、全員がただのうな丼っていうのも芸がないし、おかずが単調すぎる。何かこう、色々入ってて見栄えの良いものはないかな」


ゲーム内ショップのグルメカテゴリを物色していると、まさにうってつけの品が見つかった。宮内庁御用達といった格調高いブランドではないものの、現代でも名高い老舗の高級仕出し弁当だ。


【うなぎ御飯弁当:5,000ゼニ】

煮物: がんもどき、里芋、竹の子、椎茸、ふき、花麩、木の葉豆腐、有頭海老、こんにゃく

アワビ料理: 蒸しアワビ磯煮

肉料理: 牛焼肉

洋物: カニグラタン

野菜料理: 生姜風味の和風マリネ

口変り: 中華しゅうまい、中華クラゲ、栗甘露煮、紅鮭昆布巻き、味噌漬け、しば漬け

うなぎ御飯: 鰻蒲焼(小)、タレ御飯


「これなら肉も魚もアワビも入ってるし、メインのうなぎ御飯もある。文句なしだ」


浩平は一折5,000ゼニの高級御膳を6人前購入(30,000ゼニ)。部屋の外には侍従武官や衛兵たちが控えていたが、これは一国の命運を決める極秘会議だ。余計な混乱を避けるため、今回は室内の6人の前のみ提供した。


◇◇◇

毒見なき御前御食

◇◇◇


宮中の絶対のしきたりにおいて、天皇陛下が召し上がる食事に「事前の毒見」がないことは、通常であれば絶対に許されないである。ましてや、空中から突如として現れた正体不明の料理など、侍従武官が居合わせれば命に代えても遠ざけるべき対象だった。


しかし、前夜に届けられた「伊豆繁」の素晴らしい鰻の味、そして何よりも手紙の誠実な文面によって、昭和天皇は天の監視者である浩平を完全に信頼されていた。

作戦机の上に、何もない空間から突如として、ほんのりと温かい湯気を立てる6折の美しい木目の重箱が出現した。


「……! またしても、突如として空中から……」


木戸内大臣が息を呑む中、昭和天皇は穏やかな声で全員を諭された。


「木戸、皆も怯えることはない。これは監視者殿からの、我らへの心尽くしの食事だ。毒見など必要ない。皆で頂こうではないか」


陛下のその一言によって、張り詰めていた地下室の緊張が一気に和らいだ。

阿南陸相も、田中大将も、森中将も、朝からの極度の緊張と前夜からの疲労で、実は腹が減りきっていた。全員が恭しく重箱の蓋を開けると、そこには、戦時下の日本では逆立ちしても拝めないような、色鮮やかで豪華絢爛なおかずの数々が整然と並んでいた。


「これは……アワビに、牛肉、それにカニまで……」


森中将が感嘆の声を漏らす。

田中大将は、ふっくらと焼き上げられた小ぶりの鰻蒲焼が乗ったタレ御飯を口に運んだ瞬間、その濃厚な旨味に震え、隣の阿南陸相と顔を見合わせて深く感じ入っていた。配給の制限に慣れきった舌に、現代の老舗が誇る完璧な味付けの煮物やグラタンが、優しく染み渡っていく。


誰もがそのあまりの美味しさに無言で箸を進めていたが、半分ほどを食べ進められた頃、昭和天皇が静かに箸を置かれ、虚空に向けてぽつりと口を開かれた。


「――監視者殿。この料理は、本当に、言葉にできぬほどに美味しい。だが……」


昭和天皇の御尊顔に、ふっと寂しげな、そして胸を痛めたような影が差した。


「我が愛する日本の民が、連日の空襲に追われ、今日の水や米にも困って飢えている最中、朕たちだけがこのような豪勢な食事を口にすることは、どうしても心が痛むのだ。監視者殿、あなたの厚意には深く感謝するが、今後は……我らには、より簡素な食事を用意していただければ幸いだ」


御身の安全よりも、常に一国の民の飢えを我がことのように憂われる、元首としてのあまりにも深く慈悲深いお言葉。

その言葉を耳にした阿南陸相と田中大将は、胸を突かれたように箸を止め、床の上に深く平伏して涙を流した。木戸内大臣もまた、陛下の御心の深さに涙を拭っていた。


モニターの前でその言葉を受け止めた浩平も、胸が締め付けられるような感覚を覚えていた。


「……分かりました、陛下。あなたのその優しさに応えるためにも、俺は今日、東京の全員を腹いっぱいにしてみせますから」


浩平は静かに誓い、キーボードを叩いて食事の終了を待った。


◇◇◇

黙示録の始まり

◇◇◇


午後12時45分。


食事が大方に終わり、木内大臣の手によって空になった重箱が片付けられた、まさにその時だった。


机から約2メートルほど離れた正面の床の上に、前触れもなく、見事なナチュラルウッド製の重厚なテレビ台が出現した。そしてその上には、当時の人間が見たこともない、横幅1メートルを越える漆黒の巨大な薄型の板――50インチの液晶テレビが、ポータブル電源と共に静かに鎮座していた。


「なっ……今度は、一体何が……」


森中将が目を凝らす。


次の瞬間、テレビ画面から映像が再生されました。


ピピッ。


液晶テレビの画面が、地下室の白いLEDの光に負けないほどの圧倒的な輝度で発光した。同時に、臨場感のある重低音がスピーカーから響き渡り、画面中央に『終戦特集:太平洋戦争の終わり』という不気味な明朝体の文字が浮かび上がった。


何回も見た畑元帥を除く、昭和天皇、木戸内大臣、阿南陸相、田中大将、森中将の5人の目が、その巨大な「未来の映写機」の画面へと完全に吸い寄せられる。


昭和20年8月、この国にこれから訪れるはずだった絶対的な地獄の記録。そして、それを乗り越えた先に待つ、青空の下の平和な新時代の姿。

歴史のタイムラインを根底から書き換えるための、究極のネタバレドキュメンタリーが、いま、宮城の最深部で静かにその幕を上げた。


【現在のクレジット残額:907,847,380ゼニ】

【ゲーム内で関わった人数:約123,900人】

ここまで書いてしまったらもういう事はありません(笑)

昭和天皇の人物像は史実と違う所もあるでしょうけど、SFフィクション小説として楽しんでいただければ幸いです

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― 新着の感想 ―
テレビセットを残しておく意図はなんでしょう。何かの案がありそうで楽しみです。 そしてやるんですね。東京でも大配給作戦を……!
昭和天皇と料理といえば、恐れ多くも春帆楼のフグ料理エピソードを思い出します。 状況故に美味しく食べられないのが残念ですが、事態に片がついたらこっそり召し上がって欲しいですね。
感想一覧
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