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異端を狩る者の詩は誰も歌わない  作者: 大嶋コウジ
ワールド弐の七:シェラ編:エルフの学校
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白い校舎

 魔族はたいてい少数でまとまって暮らしているが、緑目エルフ族は比較的人数が多く、一万名程度は存在していた。なお、赤目エルフ族は三千名程度と言われている。


 レイラは発展した街中を歩きながら、少し感心していた。ウルサリオン族の街ほどではないが、大きな建物が並んでいる。道も石畳で舗装されていて歩きやすい。この地域は湿気が低いのか、キノコも少ない。


(緑目さんは商業で発展したんだっけ?赤目さんの方はどうなんだろうなぁ)


 レイラがそんなことを考えていると、やがて校舎が見えてきた。


「着いたよ、レイラ」


「あ~、着いちゃったかぁ……」


 エルフ族の学校は、街中を抜けた先の小高い丘にあった。転校することになったレイラは面倒なことになったなと考えていたが、その校舎を見るとテンションが上がった。


「おぉ、真っ白だぁっ!」


 緑目エルフ族の好みなのか、門から校舎まで白一色だった。装飾も同じように施されていて、何気ない門にまで細かな意匠が凝らされている。


 エルフ族のシンボルとも言える巨木も、校舎の向こう側に見えた。太い幹と大きく広がる枝葉が、門の前に立つレイラの位置からでもよく見える。


 道中でのシェラの説明によれば、彼らは教育への意識も高く、学校を建ててから数十年が経っているという。

 幼少時からおおよそ20歳程度までの子供が一つの校舎に通っているため、学校というより学園に近い。長寿の彼らにとって、20歳は幼児に近かった。


(小さい子もいるなぁ。しっかし、ここもかぁ……)


 レイラとシェラが門をくぐると、やはり生徒たちは物珍しそうにレイラをちらちら見ていた。


(まぁ、魔導学校でも同じだったけど……。う~ん、何だろう、この違和感。みんな妙に大人しい?)


 レイラが不思議に思っていると、見知った顔ぶれがレイラたちの前に現れた。


「どういう風の吹き回しだ?この学校に通うことにしたのか。変な奴らだ」


「メサルチム……」


 魔導学校にもいた緑目エルフ族の学生だった。魔導学校のときとは異なり、いるのはリーダー格のメサルチムとボテンの二人だけだ。ボテンは、いきなりシェラに突っかかってきた。


「大体、あのときお前の動きが鈍かったせいで、メサルチム様がわざわざ魔法を使う羽目になったのだ」


 どうやらボテンは、レイラを捕まえたときのことを話しているようだった。確かにあのとき、レイラは誰かに睡眠魔法をかけられた。それがメサルチムだったのだと分かった。


 喧嘩を売られたシェラも黙っていなかった。


「ふんっ!お前たちなどいなくても私一人で出来たのだっ!」


 メサルチムはシェラよりも冷静に見えた。どこか冷めていて、自分を巻き込むなとでも言いたげだった。


「私は指示に従っただけだ。それより、お前は赤目なのか?緑目なのか?それが知りたい」


 メサルチムは核心を突くようにそう聞いた。レイラも、その答えが気になった。


「……じ、自分は……」


「答えられないか。まぁ、どちらでもいい。私はもうここにはうんざりなんだ。勝手にやってくれ」


 メサルチムの真意がレイラには分からなかった。


(ここって学校のこと?うんざりってどういう意味だろう?)


 その問いに、シェラの表情がわずかに強張った。やがて彼は下を向き、メサルチムはボテンと一緒に校舎へ入っていった。何か考え込んでいるのか、シェラはその場で動きを止めてしまう。レイラは心配になって声をかけた。


「シェラ?」


「あ、あぁ……」


「学校に入るんでしょ?」


「そ、そうだ……」


 ここに来てから、シェラはどうも歯切れが悪い。レイラはそんな彼が少し心配になってきていた。


(大丈夫かなぁ、この子は……。本当に赤だか緑だか分からない。なんか、どっちにもなりきれてない感じ?)


 とりあえず二人は校舎に入った。


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