劣等亜竜と2度目
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あの後私とおじさんは本来の目的を達成すべく、平原へ向かっていったのだが…その結果がこれである。
「全く!なにをしてるんですか!?」
「はい…」
「はい、じゃありません!昨日もこんなことありましたよね!」
「…はい」
「2度目ですよ!?2度目!」
「いやアニカちゃん、俺は一回目…」
「黙ってください」
「はい…」
ハハハ、怒られてやんの。
「そこ!ニヤニヤしない!」
「はいっ!」
そう私達は昨日のように…「俺は初めてだ!」…うるさいっ!っと気を取り直してあの後草原で薬草を摘んでいると突然森の方向から沢山のホーンラビットがとびだしてきて、それを追うように1匹の劣等亜竜が出てきたのだ。劣等亜竜はホーンラビットより大きく食い出がありそうなわたしたちを発見すると狙いを切り替えすぐに襲いかかってきた。
すぐにおじさんに目配せをし(意味が伝わったかはわからない)私はすぐに後ろに下がりつつ、「簡易武器創造」で鉄でできた大きめの針を数本取り出すと劣等亜竜の翼部分の皮膜に向かって投げた。残念ながら当たったものの威力が足らなかったのか穴を開けることはできなかったが、注意を引くことに成功した。そしていつ後ろに回ったのかおじさんが飛び上がり、私を狙って下に降りてきていた劣等亜竜の頭を大剣で串刺しにしたと言うわけだ。
これだけなら良かったものの、ここからが酷くまず劣等亜竜の下にいた私は上から降ってくる血で汚れ、押しつぶされそうになりなんとか避けるとその血の匂いと劣等亜竜の死体を喰らい進化しようという魔物達が私(私に付着した血)を狙って押し寄せてきたのだ。
流石に多過ぎたためせっかく仕留めた劣等亜竜を放置し私とおじさんはこの街まで逃げてきたと言うわけだ。
つまりおじさんは彼自身が汚れて怒られているのでなく、私がことの顛末を説明した際に、私を囮にしたこととAランク冒険者なら余裕で倒せる魔物の群れをその場のノリで逃げ出し街の近くまで流れてきたことに怒られているのだった。
(大体おかしいんだよ。この世界。素の身体能力は前の世界と同レベルかちょっと上なのに明らかに人外みたいな人たちがいる。その力がこの世界の魔力と人によって輝きが違うキラキラにあるんだろうけど。やっぱりこの世界のことをもっと学ばなきゃ)
「…ツキさん。サツキさん!」
「はいっ!」
「ちゃんと聞いてくださいね?」
(目がマジだ)
「はいっ!」
アニカさんはこれ見よがしにため息をつき呆れたように言った。
「それならしょうがないとはなりませんが…まず2人には冒険者組合の掃除をしてもらいましょうか」
「はい…」
「しゃあねえな」
「しゃあねえ、じゃないですよ?」
「はいっ!」
アニカさんはまたため息をつくと何かを考えながら小声で言った。
「それにしても何故こんなところに劣等亜竜が?本来もっと森の奥にいてもっと魔力の多い魔物を狩るからホーンラビットなど狩らないはず…そこまで飢えていた?森の奥で何かが起きてる?ギルマスに報告しないと…」
「え?」
「ん?どうしました?」
「いや、なにも」
「そうですか…何か気づいたら言ってくださいね」
私はさっきの一言を聞いてしまって思った。
(フラグかな?)
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「さあこれからだ。君は私のアソビ相手になれるかな?」
劣等亜竜=インフェリアワイバーンです。
インフェリアは劣ったみたいな意味です。「Inferior」
これから下位種にはこれつけます。
次回も本編




