5/5
初対面
目の前には玉座に座った魔王様。
その前に跪く私。
「楽にしてよい」
そう言われても恐れ多くて顔を見ることができない。しかし魔王様はそんなことはどうでもいいのかなにも言わなかった。
「淫魔よ。そちは何故自ら命をたつ? 」
静かに静かに音が響く。
私は震えた小さな声で自分がどれだけ弱いか、淫魔としての機能がないこと、そしてそれによって遠くない未来に訪れるであろうことを語った。
こんな弱い自分では生きるのが辛いのだと、生きていても意味がないのだと、生きていけないのだと。
なにも言わず、魔王様は私の支離滅裂であろう話を聞いていた。
話終わってどれくらい時間がたっただろうか。
話しているうちにどうせもうすぐ死ぬのだからと開き直った私は魔王様と見つめあっていた。
この世に存在するには美しすぎる存在。漆黒のサラサラとした髪の毛、夜空を思わせる瞳、鼻も口もこれ以上に整ったものはない。そして何より魔族の支配者としてのオーラが凄まじかった。死ぬ覚悟がなかったら一生見ることができなかっただろう。
そんな神秘的とさえ思える姿を惚けて見ていた私に魔王様はにやっと笑った。




