訳あり家族
ユーリお兄様と私、そしてもう1人の兄は家族。
しかし種族が違うため、もちろん血はつながっていない。
それでも兄、妹として家族として暮らしているのは契約のもと私を守るためである。
そもそも魔族は家族というものが一般的ではない。
一定の数の魔族を保つため、誰かが死ぬとまったく違う個体となってどこかで生まれる。
そのため父や母は存在しない。
この世に生まれたときから生きていく知識が備わっており、1人で生きていかねばならないことを理解するのだ。
群れをなす種族はいるものの、それはそうすることでしか生きられないからだ。
強いものが全て。
弱い者は群れるか、誰かの配下につくしかない。
私も生まれた瞬間にこの世界を理解し、そして絶望した。
私は淫魔として不良品であった。
淫魔は自分に惚れた者の精気を奪うと奪った相手と同様の力をつける。
なので強い者から奪えば奪うほど自らも強くなっていく種族だ。
しかし私の場合、精気を奪っても自分の力にはならない。
弱いままなのである。
弱い淫魔というのは奴隷としてとても価値があり、高く取引される。
もし、奴隷になったらなにをされるか想像しただけでおぞましい。
淫魔といえど好みもあれば、嫌なこともあるし、そもそも私は性欲が薄い。
そんなことになるくらいならばと死のうとした。
しかし魔界で自らを殺めるときは魔王様に自殺する理由などを書類に書き、申請しなければならない。
私は直ぐさま申請し、あとは受理されるのを待つだけだった。
しかし《自殺を認める》そんな内容を期待していた私の元に届いたのは魔王城への召喚義務状であった。




