表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【異世界転移】をやってみた《3》 ―パンドラの箱―  作者: とり
 本編の説明不足をおぎなうショートストーリー
69/71

s2:象牙の匣(はこ)


   ※注意です。


   〇このものがたりは、『とり』の書いた長編小説ちょうへんしょうせつ『【異世界転移】をやってみた 《3》 ―パンドラのはこ―』の番外ばんがい編です。

   〇ショート・ストーリーです。内容ないようは、妖精ようせい女性じょせいセレンが、パンドラのはこを手に入れるはなしです。

   〇以上いじょうの点に抵抗のあるかたは、まないことをおすすめします。





 金色の木漏れ日が、森をつらぬいている。

 四方八方しほうはっぽうから降りそそぐ太陽たいよう熱線ねっせんは、シチリ島を愛おしむように、またはいつくしむように。この地の醜怪しゅうかい密林みつりんを、神々しいまばゆさで包んでいた。

(こんな所にんでいたのね)

 セレンは上空じょうくうから、結界の解けた小島こじまり立つ。

 ――ユノがマーリンのもとを去って、すぐのことである。

 普段は魔女まじょ・マーリンの魔法まほうによって、自然美に彩られた森だが(そしてそのためにセレンも、このしまの存在を見落みおとしていたが)魔法がほころんだいまは、実験台となった人間が植物しょくぶつに埋めこまれた――もしくは、植物そのものになってしまったかのような、不気味ぶきみな造形をした木や草にちている。

 セレン――妖精ようせい女族長おんなぞくちょうは、ながみどりかみをゆらして、あたりに視線をめぐらせた。

 同族を探す。

 は二〇はたち前後と若いが、実年齢じつねんれいは百をかるく超えるこの光妖精アールヴは、同胞なかま気配けはいを感じてここに来たのだった。

 清潔な長衣ちょういにマントをつけ、ささ葉状はじょうみみにはイヤリングを吊っている。

 手には【霊樹れいじゅつえ】というの、朴訥ぼくとつとした、木のそのものを引きいたような形状けいじょうの杖を持っていた。

 あさは、下草したくさからたまのようなつゆかせ、の森をすすむセレンのくつらした。


 ――仲間なかま気配けはいつよい。

 しかし彼女かのじょの期待した場所ばしょに、彼女の予期よきしていたものはなかった。

(これは……)

 ひらけた場所ばしょ――と言うのもおこがましい。

 ほかよりおおきな、なにかが植わっていたようなすこけた場所。

 ともあれ。もともとあった「なにか」は、誰かによって消し去られていた。

 えた大地に不自然にのこった焦土しょうどと、地下から突き出したのだろう、幾筋いくすじもの木の残骸ざんがい

 セレンの保護ほごすべき妖精ようせいのすがたとは、見当ちがいのものしかなかった。

「……。あれほど強力きょうりょくな結界をれる人間がいるのなら、この状況じょうきょう納得なっとくだけど」

 妖精は、魔術まじゅつに長けている。

 そのなかでも、かしらとして一族いちぞくをたばねるセレンのをくらませるのは、並大抵なみたいてい技量ぎりょうではありえない。

 ゆるくかぶりを振って、セレンはまたあるいた。大地にできた、半円形はんえんけいのクレーターに近づく。

 くぼんだ地面じめん中心ちゅうしんに、チカリと白い光が反射はんしゃした。近づき、膝をって、なんであるかを確かめる。


 反射光はんしゃこうは、白い矩形くけいかどたってまたたいたものだった。

 セレンは左手で、地面じめんから小さな六面体ろくめんたいを取りあげる。

「こんなことが……」

 馬鹿ばかなことを!

 とにがく――ゆがんだがゆえに、どこか笑ったふうにさえおもえる表情ひょうじょうで、セレンは立ちあがった。

 この六面体。……小さなはこは、妖精ようせい亡骸なきがらである。

「ダフネ……」

 はこになった妖精のを、セレンはつぶやいた。

 厳密げんみつには匣は、もはや何者なにものでもなかったが、気配けはいだけはのこっていた。たましい残滓ざんし。とでも言えようか。

 セレンは、象牙ぞうげでできた小さな匣を、数瞬すうしゅんもてあました。

 はこのなかみがなんであるかを、セレンは知らないわけではない。それがどういったどういった効果をもたらすものかもまた、知らないはずもない。

 だからこそ。

 まよったすえ彼女かのじょは持ち帰ることにした。


   そして――。









       んでいただき、ありがとうございました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ