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60‐a:箱のなかみ
〇前回(59:『水面下』)のあらすじです。
『精霊からパンドラの箱を受けとったユノが、ある決意をする』
ユノは顔を上げた。
意を決したのだ。
――そう。
(この箱は……)
片手に【パンドラの箱】を持ったまま、掲げる。そして軽く、ユノは上に放り投げた。
素早く、腰からブロード・ソードを抜剣する。
象牙の容れものが、ユノの目の高さに落下する。
ぱきいんッ。
剣を、下からユノは斬り上げた。
片手で振り抜かれた刀身が、乳白色の矩形をまっぷたつに叩き割る。
神殿の大理石の床に、それは、こまかな破片を散らして落ちた。
からん。
虚ろな音をたてて、衆人環視のもと、ユノの足元にころがる。
「か……」
ユノのそばで見ていたパンドラが呟いた。
ぽかりと昏いなかみをのぞかせて傾く、破壊された箱を見下ろして。
「からっぽ……?」




