56:答え
〇前回のあらすじです。
『ユノが旅の目的を果たす』
トン。とビビアンは杖で自分の手のひらをたたいた。お説教は終いだ。
「さ。て。と。これで私は、あなたの知りたいこととやらに答えられたことになるのかしら?」
問われてユノははっとした。ようやく判ったのだ。魔法使いのマーリンは言っていた。
――いい言葉よね。神はみずからを助ける者を助くって。
妖精のセレンは言っていた。
――あなたの行動が、この世界の未来を左右するのです。
(そうか……)
答えは既に出ていたのだ。ビビアンの言った通りに。
あれほど人間嫌いで、恨みさえ匂わせるセレンでさえ、ユノに『他者を優先しろ』と言ったことは一度もない。
(馬鹿だ。ボクは。こんなにすぐ目のまえにあったことだったのに……)
「ねー。用が済んだなら、早く帰ってほしいんだけど――」
自分の鈍さに歯噛みしているユノに精霊は言いかけて、彼のとなりで退屈そうにあくびを噛み殺している魔族の少女に視線を移した。懐かしい気配がする。
「そっちの巻き毛。なにか持ってるわね」
「うっ……。巻き毛じゃないです。……巻き毛ではありますけど」
「じゃあいいじゃない。巻き毛ちゃんで。あなた、強力なマジックアイテムを持ってきてるでしょ」
「私の名前はパンドラです」
「そう。じゃあパンドラ。ちょっと失礼するわね」
軽く断りを入れて――パンドラは了解していないが――彼女の身体を、ビビアンは杖で示した。
少女の腰帯にさがっているポシェットが開く。
ひとりでに。なかから、小さな象牙の箱が浮上する。




