374話 金狐と金獅子勇者
少し長いです
ゾウさんがお仲間さん達を少し落ち着かせた後、スッと何かを取り出した。
ん~? またメダルっぽいのだけど、さっきと違ってすっごいキラキラしてるわ。特別製って事かな?
「リーダー……」
「ふっ、安心してくれ。どうやらこの世界だと影響はないようだ。今まであった不快な感触が一切ない」
「でもっ!」
「まーまー、リーダーにゾッコンなのは分かるけどー、ここは見守るだけにしてあげようじゃない?」
「ぞ、ソッコンって!? ちょ、な、なに言ってるのよ!?」
……はい?
決戦前の会話みたいな事してるな何かしてるなーと思ってたのに、いきなり痴話っぽいのが始まりだしてちょっとポカーンとしちゃったわ。
しかしなるほど。どうやらイルカさんはゾウさんの事が好きなんですね。そして、それを隠していたつもりが暴露されて~ってのですか。なるほどなるほ……いや、この場でする会話なのか?
そんな痴話話も終わったようで、ゾウさんを残して他の人たちが離れていく。
ほほう? 圧倒的な戦力差があったのに1対1をご希望ですか。これはつまり、そのメダルで相当強くなるって事かな。
「いくぞ! ネオビーストメダル、セット!」
そう叫びながらさっきと同じようにメダルを銃にいれたわ。
そして、これまたさっきと同じように銃を下に構えてる。
「チェンジ! ビーストブレイバー……ネオ!!!」
うん、またまた同じで下にバシュンと撃って魔方陣っぽいのが~の流れです。
でも全部が同じというわけではないようで、魔方陣っぽいものの模様が複雑になっているのと、今着ているスーツの上に機械っぽい装備がどんどんくっついていってる。強化装備って感じかしら?
ちょっと分解とかして調べたいな~、なんて思ってたら終わったようで
「大地の覇王、ライオブレイバー!」
バシーンと決めポーズとともに叫んだわ。
ふ~む、叫びや見た目からしてゾウからライオンへの変身みたいだけど、つながりがよくわからんわね。
ゾウの進化した姿とか、伝説上のゾウになるとかでなくライオンってのがナントモカントモです。
それにしても、大陸の王から大地の覇王へと進化ですか。なんていうか、とんでもない呼称になってるねぇ。
その呼称に合わせてなのか、外見はツンツンした感じの装備が結構乗った騎士っぽい姿で、さっきまでとは世界観がちょっと違うような印象ある。
さらに色まで金だし。黄金の勇者とかそういう呼ばれ方もされてそうだなぁって感じの金ぴかです。
「先に言っておくよ」
「はい?」
変身終わったので第3ラウンドの開始かなってちょっと身構えてたら、先にそんなこと言ってきたわ。
「この状態は先ほどと比べると天と地の差、圧倒的な状態だ」
「へー?」
「なので……あまり油断しないでくれるとありがたいな」
「油断、ねぇ」
そんな警告っぽいのを言ってくるなんて、相当なのかしら?
でも確かに、さっきまでは無かった魔力のような妖力のような、なーにかの力をバシバシ感じるわ。しかも少しブルッときちゃうくらいの。
う~む、ヤバいなぁ。
情報収集とかはもうしなくて良いのだけれど、ここまで変化するなら少し力の加減とかして戦闘時間を長めに取り、お母様たちが分析しやすいようにした方がよさそうに思えてきたわ。
だとしたら……そうね、こっちもそれにあわせて行くべきだね。万が一でも負けることが無い、絶対の自信がある状態でないと。
チラッとお母様の方を見ると……うん、遠慮なくやって良いわよ~って言ってるね。
な・の・で~
「わたしもさらに力を出しちゃいます! 術装展開! 魔石に宿りし精霊よ、汝の力を我に示せ! 顕現せよ、精霊刀『月華』!」
月華を顕現させちゃいます!
全力では無いけど、かなーり力を出しちゃう状態です。
「おいおい、異世界であるこの世界にも刀、それも日本刀があるのか」
「おや? その発言って事は……なるほどねぇ」
どうやらこの人たちの世界にも異世界人、というか地球人が転生か転移してるみたいね。ほーんとどこの世界にでもいますねぇ地球人。
「まーそれは置いといて、さーさー掛かってきなさい」
「……警告は、したぞっ!」
おっと、どうやら油断してるとか舐めてるとかって思われちゃったみたいね。
でもわたし、そういうわけじゃないんですよ? 自然体で戦うのが一番効率よく、魔力と精霊力の調整だけでなく限界まで引き出すってのがすんなりできるってだけだから。
そんな事を考えてたら、ゾウさん改めライオンさんが両手に剣を取りだ……って、ビームな剣!? レイジの使うのとは少し違うけど、厄介そうなもの持てるじゃない。
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「あら、さっきよりも速い」
手始めにって感じに正面から高速で接近してくるなり、これまた様子見なのか手加減なのか、わかりやすい切り落としをしてきたわ。
回避することは余裕だけど、こうあからさまって事は回避せず受け止めて見せよって事なんだろうな。
ならば受け止めて見せましょう!
攻撃可能状態であるヒトガタはいたん下がらせて、振り落とされるビームな剣に合わせ月華でバシーンと受け止める。
受け止めた瞬間、バチバチバチっていうなんか電気を受け止めたような大きな音がしたのと同時に、ドスンって凄い衝撃が来たわ。
「まさか、そう簡単に受け止められるとはね」
「簡単って言っているけど、けっこー重いですよ?」
「重いだけで済むとか、とんでもないな!」
少しは驚いているようでそんなこと言ってきてるけど、わたしくらいの強さな人が相手だとしょっちゅうありえますよ? って言ってあげたいわ。
しっかし重いだけでなく結構強い攻撃だわ。おかげで足が少し埋まっちゃったよ。こりゃぁなかなかの能力強化状態ですね。
とはいえこのまま防御し続けるだけってのもあれなので、反撃しちゃいましょー。
ではでは、押し返すように力を込めて~
「えいっ!」
下から吹き飛ばすように一気に月華を振り上げる。
「くっ、簡単に押し返すとは」
「まだまだ終わりじゃないですよっと」
少し吹き飛ばしたけどすぐに体制を整え着地したようだけど、それは予想できています。なので、その場めがけていっきに接近。隙をつくっていうより、さっきの攻撃をわたしもやるみたいなものです。
あとはちょーっとだけ威力を調整して
「こっちも斬り落とします!」
上段から月華を振り下ろす。
さっきのお返しだってのはライオンさんも気付いたようで、さっきのわたしみたいにビームな剣で受け止める態勢に入った。
わたしはその剣めがけてドーンと!
「くぅっ、な、なんて威力だ。体躯との差がありすぎるぞ!?」
「ふふーん」
バシーンと受け止めたようだけど、今度はライオンさんの足が少し埋まったね。そして、小さいわたしからは想像できない威力だったようで、少し驚いてます。いいねいいね~。
情報収集の延長みたいなままだけど、せっかくなのでドンドン続けていきましょー。
タンッと少し下がってから、今度は素早さ活かして一気に背後に回り込む!
「速いが、見えている!」
「へぇ、反応速度もなかなかのものですね」
背後から薙ぎ払う形に突っ込んだけどすぐに反応して振り返り、そのまま薙ぎ払いを受け止めてきたわ。
なるほどねぇ。回避でなく受け止めるあたり、今のわたしの攻撃なら全部耐えられるって判断もあるみたいね。実際受け止められちゃったけど。
「だけど、速さの自身はこちらにもある!」
そう言うなり防御を解くと同時にシュタッと距離を取り、お返しですって感じに高速移動しながら背後に回り込もうとして来た。確かに移動に回す速度もだいぶあるので納得だけど、結構正確な位置取りも出来てそう。変な場所に移動しちゃったとかはなさそうだもの。
ではではせっかくなので、その速度に合わせ回り込まれるのを更に回りこむ様にタタッと移動する。傍から見ると二人でぐるぐる回るような形になるかな?
「!? まさかここまで」
「ガンガンいっきますよー」
「くっ!?」
わたしの速度に驚いたようだけど、反応はまだできる速度だったようね。背後に回った瞬間にすぐ合わせてきたもの。
反応できるという事は防御もできるわけで、ズバッと切り払おうとしたけどライオンさんも合わせてきて、またまたバシーンと月華とビームな剣がぶつかり合う形に。ほんと良い反応ですね。
となると……どこまで反応し続けることができるか、どの程度の速度に対応できることができるのか、調べるためにもちょっと繰り返してみますか。
月華とのぶつかりをすぐに解き、またまた少し離れてから高速移動での急接近からの切り込みを行う。
あからさまな攻撃だったからか、ライオンさんも同じような形で切り込んできたわ。同じ攻撃しあっての力比べみたいなものだね。
もっとも威力はさっきとほぼ同じに抑えてるので、月華とビームな剣がバシーンとぶつかり合うという同じ結果になる。
だけど、さっきと違うのは繰り返す前提ってこと。
ぶつかり合ったら即座に移動し、今度は別の角度からすぐに切り込む。それにライオンさんが反応し受け止めたら、すぐさま離れて再度高速移動しながら攻撃を行う。その繰り返し。当てたら逃げ当てたら逃げの繰り返しよ。
「ははっ、凄いな貴女は!」
「お褒めどーも」
「本当に凄いよ。頭をワシワシして褒めたいくらいだ」
「あっ、それは遠慮しておきますね」
そんな軽口も叩きながらもバシーンバシーンと何度もぶつかり合う。ライオンさん、やりますね。
1回から2回程度は受け止める事ができるって人はそれなりに居そうだけど、何回やっても同じ反応というのはナカナカです。
ぶつかっては離れぶつかっては離れを何度か繰り返していたけど、さすがにこのままの威力だと延々と続くわね。どうしよっかな。
「力と防御、それに素早さの差は無いというのは分かった。ならば!」
ライオンさんがそんな宣言した後、ムンッて感じに急に構えたわ。距離が離れてる状態でそんな事したけど、何をする気?
そんな疑問を持ったけど、すぐに答えが出てきた。
ライオンさんの背中からガチョンガチョンって少し音がしたと思ったら、背中からバシュバシュバシュンって少し大きな音とともに何かを3個射出し、空中に待機させたわ。
形状からして銃弾かしら? って思ったけど、どうやらそうじゃないようで。
「始動せよ! ライオアーミー!」
その言葉とともに、射出した物体が空中でガチョガチョガチョンって変形、小さいけれど銃を持った人型に近い人形になったわ。これってつまり?
「ライオアーミー、サークルアタックだ!」
そう叫ぶと、3体の人形がわたしから一定距離はとってあるけど囲うような配置になり、そこからぐるぐると回る感じに高速移動。
そしてぐるぐる回りながら、持っている銃からビームをバシュンバシュンと撃ってきたわ。なるほど、戦闘支援する機械人形ってわけですね。
ならばわたしも! って、特に身構えなくてもいっか。
待機させていたヒトガタの待機命令を解除。すると人形からのビームが着弾する前にヒトガタがシュシュッと移動し、わたしとビームの間に割り込む。そしてビームを潰すために魔力弾をぶっぱなし対消滅させていく。ふ~む、今の状態だと貫通まではできないとか、かなり強いビームって事ですね。
「まさかその紙人形は瞬間移動するのか!?」
「あー……そう見えちゃうのか。確かに超高速で移動してるからなぁ」
「だが!」
「おっと?」
ヒトガタの速度に驚いたようだけど、そこで戦意喪失とはならないね。
またまたムンッて感じに構えたら、それが合図だったのか人形の動作が少し変化。どうやら1発が駄目なら何発でもって感じに、ビームを高速で連射してきたわ。
うん、作戦としては正しいけど、わたしのヒトガタには効きません!
ぐるぐる回りながらドドドッとビームが撃たれるけど、ヒトガタはその速度に合わせての移動と、発射されるビームと同数の魔力弾を高速で射出して潰していく。
「ふっふっふ、わたしのヒトガタはやっぱり素晴らしいです」
「くっ、ライオアーミーと完全に同格な紙人形とか、とんでもないぞ!」
「またまたお褒め頂きどーも。ではではせっかくなので」
月華を構え、タンッと地面を蹴ってライオンさん目掛けて飛び出す。
当然人形も反応し、それを止める為か潰す為か陣形を変え、わたし目掛けてさらに高速でビームを連射してくるけど、全然です。
ヒトガタがその攻撃に対応し、こんどは魔力弾で消滅でなく反射型の結界を展開してビームをガンガンはじく。連射速度はヒトガタよりも人形の方がありそうだったからの判断です。
ヒトガタのおかげで防御も回避もする必要は無いので、わたしはそのまま一気に突っ込む!
そして
「斬り払います!」
「くぅ!?」
真横にズバンと斬り払おうとしたけど、ライオンさんもなかなかやりますね。ビームな剣を重ねて、わたしの月華をバチーンと防いできたわ。
とはいえ、今の攻撃方法は想定外だったみたいね。
「子機との連携とか、とんでもないぞ!」
「そうですか? ヒトガタの連携とか、考えて当然の作戦ですよ?」
「だが、それを行うためには操作をしなければ!」
「ん~? えーっと、こういう戦闘時にはわたしのヒトガタの様な援護する道具って自立稼働式で動かしますよね?」
「自立、稼働?」
「自動稼働式とかでも、まぁ呼び方はどうでもいいです。ともかく、戦闘時は余裕もあまりないことが多いので、細かい命令をしなくても自動で対応してくれないと意味ないです。そして、展開したら良い具合に援護してくれるだけでなく、連携も安心してできるようにするものじゃないです?」
「……無理だ」
「え?」
「そんな超技術、無理だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
月華とビームの剣でバチバチしてたら、大声で怒鳴られる感じにそんなこと言われたわ。
そっかー、無理なのかぁ。ライオンさんの装備は結構すごいっぽいから、おそらくその世界の最高峰なんだろうけど、それでも無理って断言しちゃってるっから、そういう事なんだろうなぁ。
これは技術の差が相当あるってことになりそうだね。ただ、人形のビームの威力は相当高いので、全部が劣る世界ではなさそうだけど。
技術の分析とかはさておき、ここまでで色々とわかったけど、魔晶精霊衣に月華とヒトガタ使うわたしとここまでやれるとか、結構強いですよライオンさん。そんじょそこらの天魔になった人とか余裕で超えるくらい強いですよ。
そして、そんな人が居る世界とか、少し興味が出てきました!
結構強いけど狐娘には勝てなそうな金獅子勇者くん




