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373話 圧倒的な力の差

少し長いです

 さてさて、魔晶精霊衣の顕現もバッチリできたので、少しばかり強めの反撃しましょうか。

 その前に状況を確認……うん、術式に含まれている吹っ飛ばし効果のおかげで結構距離が取れてる状態ね。絡まっていた鎖も吹っ飛ばしてるわ。

 味方が居るとか術式展開中の妨害はしてこない相手の状態での顕現では省略しているけど、今回みたいな敵対者が囲んでくるような場所では安全策の術式も使ってる。結界で体を守るのと周囲の物を吹っ飛ばして距離を取るのもその効果。顕現中に何かされるは絶対に避けるのです。


「変身……だって!?」

「リーダー! まさかこの子って!」

「……同じ、ブレイバーかもしれない」


 え? ちょっと?

 冷静な分析しだしたのかと思ったら、なんかトンデモナイこと言ってますよこの人たち。

 そりゃまぁ魔晶精霊衣を顕現すると衣装が少し派手になって尻尾も9本になるけど、どう見てもそっちの姿とは別ですよね? なのに同じって、いったいどういう判断なのやら。


「ドルフィン、能力は」

「待って、今やってるから!」


 ふーむ、またさっきのアナライザーとかいのやるわけですか。慎重ねぇ。

 まぁいいや。その間にいったん展開中の3体のヒトガタを手に戻し、再接続してっと。これはヒトガタの、とゆーかわたしが使っているヒトガタ零式の欠点なんだよねぇ。

 ヒトガタ零式は術者が起動させたときの魔力と精霊力が基準となって活動する。そのため展開中だったヒトガタ零式は、わたしが魔晶精霊衣の状態でも展開時に顕現させていた魔衣の状態での魔力と精霊力基準でしか動けない。

 もっともヒトガタの壱式とかはその辺りの欠点は解消されて自動更新できるのだけれど、わたしの使う零式は途中で自動更新できないのよねぇ。零式自体は強いけれど、こういうのがどうしてもある。

 とはいえ更新自体は簡単で、一旦手元に戻して魔力と精霊力を再付与すれば良いだけ。ほんと簡単です。


「でたわ!」

「……2倍か?」

「2倍程度ならよゆーっしょ」

「それでも念のため、先ほど以上の力で行きますかね」


 ……はい?

 わたしに聞かれてもお構いなしって感じの声量でそんなこと言ってるけど、2倍ってマジ?

 う~む、どう考えてもそれはおかしいんですけどねぇ。魔衣から魔晶精霊衣への上昇両手、魔力も精霊力もかるーく数十倍から数百倍、時間経過や全力出せばさらになんだけど。

 これはあれかなぁ、魔力と精霊力の分析が正常にできていないか、強すぎると計測不可になってるかのどっちかだね。





「行くぞみんな!」

「「「「了解!」」」」


 2倍というおかしな分析結果が出た後に少し作戦を立ててたようだけど、それが決まってまた一斉に攻めてくるになったね。

 そして、さっきと同じで動きを抑えるためにイルカさんがチェーンを撃ってきた。

 サクッと避ける事も出来るけど、せっかくなので絡まっておく。魔晶精霊衣の顕現時みたいに吹き飛ばしての復帰ではなく、チェーン自体を破壊できるかの分析用です。いろんな情報をお母様に届けちゃうのです!


「相変わらず隙だらけだよー!」


 そう叫びながらサメさんが殴るように突っ込んできたけど、おっそいわ。

 これもやっぱりサクッと回避出来るけど、ヒトガタを軽く操作して~


「ふっふ~ん」

「えぇっ!?」


 パシーンと軽い音がする程度で、ヒトガタが拳を受け止める。さっきとは全然違うねぇ。


「もっと打ってきても良いんですよ?」

「なっ、なめないでよっ!」


 少し下がったあと、連打連打連打って感じに殴り技っぽいのをドンドン打ってきたけど、全然余裕です。さっきよりも速いし威力もある感じだけど、魔晶精霊衣の状態で顕現しているヒトガタには全然なのです。

 まぁちょっといやらしく、意図的な感じに拳を正面からヒトガタが受けるよう高速移動させてるけど。


「打撃に強くても斬撃なら分からんぜー!」


 そう叫びながらタカさんが上空から斬り落とし気味に来たけど、やっぱり見え見えだなぁ。

 2体目のヒトガタを後ろに回し、これまたかるーく


「ま、マジかよぉ!?」

「うふふ~」


 ヒトガタが魔力の刃を出してカキーンと受け止めちゃう。ヤッバイなぁ、余裕すぎます。

 とゆーか叫びながら突っ込むとか場所の把握楽すぎるし、しかもさっきと同じ攻撃をしてくるって、わたしの事なめてます?

 だとしたらちょっと怒っちゃうので、ヒトガタに反撃をさせて~


「なっ!? は、速すぎるぜこの紙人形!?」


 高速に移動しながら背後を取って軽く斬ったり突き刺したりと、あえて弱い感じの攻撃でジワジワと。ヒトガタの斬撃にどれだけ耐えられるか、これまた情報収集です!


「二人とも離れるんだ!」


 そう上の方から声が聞こえた来た。ははーん、これはワシさんが上から援護射撃ってわけですね。

 案の定、ドシューンって音がするビームが降ってきたけど、それもまたまた余裕です。

 3体目のヒトガタが瞬時にわたしの頭上に移動し、そこからビームと対消滅する程度の威力に落とした魔力弾をババババっと連射。


「う、うそだ!?」

「ウソじゃなくてホントなんですよねぇ」


 ビームを全て打ち消すのは想定外過ぎだったようで、構えてる銃がプルプルと震えてるわ。

 ふむふむ、ビーム攻撃に特殊な力の付与があるのかは分からないけど、魔力に対する防御とかは特に無くて簡単に打ち消せるという情報を頂きました!

 いやほんと、力比べの模擬戦じゃ無くて情報収集目当ての模擬戦になっちゃってるわ。





 さーてと、次はゾウさんの攻撃だとは思うけど、あまり時間を掛けるのも嫌なのでもう少し先に進みましょう。

 まずはこの鎖を~


「よいしょっと」

「「「「「えぇぇぇぇぇ!?!?!?」」」」」


 フンッとちょっと力を込めると、バリパリパリーンと鎖が崩れ落ちる。それなりに強い鎖だった気はするけど、今のわたし相手だと全然ね。

 そしてそれは異常すぎる光景だったようで、向こうは5人全員叫んじゃってるよ。


 では次は~


「ひょいっと」

「は、はやっ!?」


 サメさんの目の前に瞬時に移動。わたしの速さにぜんぜんついていけないようで、構えも全然できてない状態です。

 そんな状態だけど、遠慮なくいただきます!


「えいっ!」


 お腹の部分めがけて掌打! 本気でやったらまずいので魔力を多少弱めた掌打だけど。


「うぎゃぁぁぁぁ!?」


 サメさん、防御できずに叫び声を上げながら結構吹っ飛されることに。

 ……ヤバいな、思った以上に防御力、無いわ。お腹抱えて倒れる程度の予定が結構吹っ飛ぶとか、魔力や精霊力に対する防御力なさすぎっぽいわ。


 まぁいいや、次に行きましょー。

 ぐっと足に力を入れて、ピョーンと背面側に飛ぶ。今度の狙いはタカさんです!


「おいぃ!?」


 案の定タカさんも速度についてこれないようで、あっさりタカさんの背面に移動できちゃったわ。わたし、そこまで速度上げてないんだけど、全然ですねぇ。

 とはいえ背面を取っちゃったので、少し体を落としてスパーンと回し蹴りをして後ろ側にコケさせる。


「なっ!? ちょ ま、まってく」

「まちません!」


 倒れながらそんなこと言ってるけど容赦なし、ヒョイッと少し浮く感じに飛び上がりながらスイッと足を上げて~、踵押し! お腹にズドンです!


「うごぅ」


 うん、一発でダウンだね。数発ぶちかましても良かったけど、そんな必要も無かったと。力の差がヤッバイなぁ。


「な、何なんですか貴女は!?」

「何って、見たままですよ~」


 上の方に居るワシさんがそんなこと言ってるけど、ほんと見たままですよと。半精霊の狐族が力を出すとこういうものだしねぇ。

 まーそれは良いので、ワシさんも倒しちゃいましょー。


 まずはヒョイッと飛び。


「くそぉぉぉぉ!」

「叫んじゃってますねぇ」


 力の差で焦りや恐怖心が出てきたのか、震えながらビームをドバドバ撃ってきた。それでも狙いはしっかりしてるようで当たる射線ではあるけど、回避も余裕ね。

 当たる前にヒトガタを目の前に移動させ、そのヒトガタを足場に別の方向にぴょーんと飛び! 方向換えた先にも撃ってきたら、さらにヒトガタを移動させてまたまた別の方向に飛び!

 この繰り返しを4回ほどやると、あっさりワシさんのさらに上にとうちゃーく。

 ではでは~


「おとしま~す!」

「なぁ!?」


 ヤメテくださいって雰囲気が出てる気がするけど、容赦しません。

 両手をグッと握って、そのまま頭めがけて振り落とし! ワシさんを地面に落としちゃいます。

 ワシさんは防御も出来ず、ゴッカーーンっとかなり大きな音とともに落ちていった。ほんと、一切反応できないくらいの差になっちゃってるねぇ。


 さてさて、あとはゾウさんとイルカさんだけど……あー、そうね、そういうのもあるよね。

 地面に下りながら二人を確認したけど、イルカさんは唖然としすぎちゃったようで尻もち付いちゃってるわ。あの状態だと攻撃はしにくいなぁ。戦闘の意思が薄い状態の相手まで攻撃するのはちょっと嫌なのです。

 となると残りはゾウさんだけど、そっちはやる気まだるみたいね。グッと構えてるわ。


「いいねいいね~。受けて立ちますよ~」

「くっ、ずいぶんと余裕なようだけど、甘く見ない事だよ!」


 ゾウさんが少しイラっとした感じで返したけど、やっぱそう見えちゃうか。

 だけどね、ここまで差があるとどうしてもねぇ。


 決してこの人たちが弱いってことは無い。むしろ普通の天魔な人くらいの実力はあるし、たぶんアリサだと少し厳しいかもだし前世の幼馴染組であるコータとトースケとかは瞬殺されちゃうくらいの強さだし。

 だけど、魔晶精霊衣を顕現した状態のわたしとの差ってなるとねぇ。存在がとんでもないのもあってか、差がデカすぎるのです。


「いっくぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


 なんてことを思ってたら、ゾウさんがさっきと同じ台詞で叫びながら突っ込んできたわ。技名みたいだねぇ。

 となると、どうしようかなぁ。ヒトガタで受け止めても良いけど、せっかくなら


「かかってこーい!」


 わたしが直接受け止めてあげましょう。その方がお母様が取れる情報は多いはずだもの。

 両手を前に出し、わたしの準備は万端です。


「舐めるなぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 あら、緩い感じに受け答えしたのが気に食わなかったようで、少し怒りながらきたわ。

 だけどそれもさっきと同じ斬撃、上から斬り落とすような攻撃なので、むしろこっちこそ舐めてます? って思っちゃうんですけど。同じ攻撃だと不意を衝くとかも無いので、回避も余裕なんですよ? まぁ受けちゃうけど!


 勢いよく受けから叩き付ける感じに降ってくる2本の剣に対し、前に出した両手でそれぞれバシッと捕まえちゃう!


「な、なんだってぇぇぇぇ!?」

「あはは、かーんたん」


 両手はちゃんと魔力で覆ってるので剣には直接触れず、膜のような物を発生させて捕まえてるけど、ほんとかーんたんに捕まえる事ができちゃったわ。向こうの表情は分からないけど、反応からして相当驚いてそうだなぁ。

 力はそれなりだけどわたし程では無いね。剣にも何らかの力があったかもしれないけど、そっちもわたしの魔力を破る程では無かったみたいだね。


 さてと、あとは


「えーっと、一つ聞きたいのですけど」

「こ、こんな状態で!?」

「はい、こんな状態で。えーっと、そっちの装備って壊しても大丈夫なんですか?」


 ここはちゃーんと確認しておかないとね。

 模擬戦なので装備の破損は無い物としていました、とか後で出てきたら問題ありだもの。


「そ、それは問題ないが」

「りょーかい。じゃ、壊しますねー」

「なっ!?」

「えいっ!」


 握っていた剣をそのままグシャッと握りつぶす! バッキーンとちょっと大きな音がしたけど、簡単に粉砕です!


「「「「リーダー!?」」」」

「う、うそだろ!?」

「おやおや、相当衝撃的だったみたいですね。初めてだったのかな?」


 衝撃的な光景だったのかゾウさんはプルプル震える感じの、他4人も倒れてたりぐったりしてたりするのに、ゾウさん心配するような感情入りで大声で叫んできわ。すぐに心配するあたり仲の良いチームなんだろなぁとも今ので思えたけど。

 それにしても砕いて分かったけど、ゾウさんの剣ってわたしが欲しくなるような物じゃ無かったな。それなり良い物だったかもしれないけど、惹かれるような材質も無いし目を引くような技術も無い剣だったわ。魔道具ですらなかったかな?


「は、ははっ、とんでもないな、これは」

「お褒め頂きどーも」

「褒めてはいないのだが……」

「それはそれで! で、どうしますかー? 参ったしますかー?」


 リーダーであるゾウさんの武器まで粉砕したんだから、これ以上続けてもただの負け戦になるって考えるはず。戦力差が圧倒的すぎるだからねぇ。

 そもそもこれはただの模擬戦、死に物狂いで何かしなければならないものではないので、ちょうどいい幕引きになるとは思うんだけど。


 そして、少し考えてる感じのするゾウさんもとに4人も集まってきた。


「リーダー、残念だけど、もう」

「このお嬢ちゃん、ヤバ過ぎよ!」

「変身後、こちらは完封ですし」

「このまま続けても負けって感じになるぜー?」


 うんうん、状況わかってるようで良かった。

 じゃぁ終わりで


「みんな、最後にあれを試したいんだが、いいか?」

「「「「リーダー!?」」」」

「分かってる、無茶するなって言いたいんだよな」

「あたりまえです! あれは、あの力は!」


 あら? なんか終わらないような展開になりそうなんですけど。

 しかもイルカさんがすっごい怒ってゾウさんに訴えてるあたり、相当ヤバい力がまだあるのかしら。ちょっと気になるなぁ。

尻尾が9本になったら圧勝しちゃう狐娘

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