375話 かなり強い金獅子勇者
少し長いです
「すまない、少し取り乱した」
「いいえー」
どうやらライオンさん、リーダーっぽく沈着冷静とかちょっとやそっとじゃ驚かないキャラ目指してそうだけど、中身はそうではないみたいね。わたしとしては沈着冷静キャラよりもそっちの方が良いとは思うけど。
「そして謝罪するよ」
「はい?」
「今回、模擬戦という命の危険が無い事と貴女の姿から、無意識に加減というか全力を出さずにいた」
「あー、はいはい」
よくあるよね、そういうの。特にわたし相手の場合、幼い感じがどうしてもする少女を相手にするってなるわけだし。
わたしとしてはその油断を付けるから良いんだけど。
「しかし! このままでは貴女に失礼なのと、この場を設けてくれた人にも失礼に当たる」
「まぁそりゃそうですね。全力出してのうんぬんでなく手を抜いてのうんたらだと、いい顔しない人が多そうだし」
わたしもいい顔しない一人だけどね!
どうせならライオンさんたちの全力を相手して、その情報をお母様たちにあげたいのです!
「えっと、謝罪ってその事ですか?」
「いや違う。貴女の能力に敬意を表し、こちらも全力で行く。正真正銘、本当の全力だ!」
「ほほう?」
そんな宣言するって事は、相当強くなるんですかね?
これでそこまで強くならなかったとかだったら、あまりのガッカリ感で何かしちゃうかもしれないわ。
「いくぞ! ライオブレイバー、フルバースト!!!」
そう叫ぶと、ガチャンガチャンって音をたてながら腕とか肩とか胴体の部品が移動し、さらに体中に赤くて光る線が浮かび上がってきたわ。
ふ~む、走行は冷却効果を上げるためで、体中にある赤い線は魔力か何かをさらに活性化させるとかかしら。その効果でさらに強くなる、ってことかな?
どうやらその予測はあっていたようで
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「あらま」
気合が入った感じの叫びと同時に、月華とビームな剣でバチバチ鍔迫り合いみたいな事してたのが一気に変化、ぐわっと押されて少し吹っ飛んだわ。
なるほど、確かに強くなってる。体感、1.5倍くらいかな?
「力だけではない!」
「おっと?」
顔に出ちゃってたかな?
それはともかく、ライオンさんが少し腰を落として構えたけど、まさかまーた同じ感じの突進攻撃をしてくる気?
「ライオォォォォスラァァァァァッシュ!!」
と、またまた叫びながらビームな剣を切り上げるような形に振った。その瞬間、ビームの斬撃みたいなのがバツ印っぽい形で形成され、飛んできたわ。
なるほど、必殺技みたいなものですね。
となるとー、わたしもそれにこたえましょう!
クルクルっと月華を回したあと、チャキっと構えなおす。気持ちの切り替えみたいなものね。
「ではでは。術技、烈空!」
両手の月華からそれぞれ烈空を撃ち、二つの真空の刃で応戦する。せっかくなので真正面からのガチ当たりになるよう、こっちもバツ印型です。
そんな考えで撃った烈空だけど、どうやらちょっと威力が足りなかったようね。わたしとライオンさんのちょうど中間位置くらいでビームの斬撃とぶつかると、バッシーンって少し大きめな音とともに対消滅。貫通しなかったわ。
「くっ、まさかここまでやるとは!」
「驚いてるようですけど、こっちもそれなりに驚きですよ?」
全力全開ってわけじゃないけど、今の烈空は結構な威力です。それこそエンシェントなドラゴンの首とかスパ―ンって切れるくらいです。
それと同じ威力を出せるとか、こりゃぁかなりやりますよ。
「でも、連続ならどうだぁぁぁぁぁ!!!」
まーたまた叫びながら今度はビームな剣をバシバシバシッと何度も振り下ろす。
すると振り下ろした回数分、さっきと同じような斬撃が発生。なるほど、どうやら回数制限がない必殺技って事ですね、
でもなぁ、さっきと同じ攻撃じゃ
「ライオォォォォディフュージョンスラァァァァァッシュ!!!」
叫びながらビームな剣を空に掲げた瞬間、発生していた斬撃がキュイーンって甲高いと音とともに分裂し、小さなバツ印が大量に向かってくるようになった。
なるほど、ディフュージョンの斬撃、つまり拡散する斬撃って事ね。派生技っぽいけど、それ以外にもいろんな技持ってそうだなぁ。
しかしこの数……結構多いわね。
烈空を連発しても良いけど、それだとなんか必死っぽいので嫌。
な・の・で~
「術式展開、終焉の雷!」
術式使っちゃいます!
月華をライオンさんに向けてサクッと術式を起動し、向かってくる斬撃をすべて消滅させるよう範囲を指定。指定後は無数の雷を落とす。
断罪の雷の場合は相手を封じ込めて雷を落とすけど、終焉は単純に広範囲に雷を落とす。本来は広範囲消滅用術式ではあるけど、威力を抑えればこういう事にも使えちゃうのです。
「まだまだぁ!」
「あら、素早さもかなり上がってますね」
術式で斬撃を潰しだした直後くらいにライオンさんが高速で移動し、わたしの側面を取ってきたわ。
そこからビームな剣で切りかかってきたけど、バッチリ見えてます。
ライオンさんの攻撃に合わせて月華で防御!
「だがぁ!」
月華とぶつかった瞬間、ライオンさんの腕部分がガチャンガチャンと変形して筒……ノズルか? それが生えてきたわ。
そして、そのノズルが赤くピカッと光った瞬間、ドゴーンと何かを噴出。なるほど、ジェットノズルとかそういうのですね。
って、いかんいかん、ちょっと強いわこれ。またまた吹き飛ばされそうな感じにちょっとよろけそうになる。
よろけそうになった瞬間、スッとライオンさんの姿が消え、今度は反対側に回り込んで切りかかってきた。ほほう、押し切るでなく高速での連続攻撃か。
でもだいじょーぶ、ちゃんと見えてます。
またまたライオンさんの攻撃に合わせて月華で防御! このくらいはまだまだ全然です。
「さらに!」
「ちょっ!?」
連続攻撃なので、またこれ繰り返すんだろうなぁって思ったら案の定そうだったけど、ちょっと驚き。
1撃目よりも2撃目、そして2撃目よりも3撃目の方が早く、そして強くなってる。しかも3撃目で終わらず、4激5激とガンガン繰り返してきてる。全部防御できてるとはいえ、だんだんきつくなるわこれ。
だったら!
「今度はこっちが吹き飛ばします! 術技、烈破!」
「ぬぐっ!?」
何撃目かを受け止めた瞬間、防御していた左の月華から烈破を使い、ライオンさんを少し吹き飛ばす。そして~
「さらに落とします! 術技、烈震!」
右の月華を振り下ろし、烈震を発動。すっごく重い振動攻撃です!
「くっ、なんて重さだ!」
「そう言ってるわりに、耐えれちゃうんですね。ビームな剣を十字にしてよく受け止めましたねぇ」
「ま、まだだぁ!!」
「おっと?」
さっきよりノズルから噴射する熱というか空気が増し、わたしの烈震に耐えるどころか払いのけてきたわ。やりますねぇ。
だけど~月華は両手にあります、烈震使ったのは右手のです。
となれば当然
「もっかい術技、烈震!」
左手の月華を振り下ろし、烈震を重ねるように放つ。
「あたるかぁぁぁぁぁ!!!」
振り下ろす瞬間、ライオンさんの足部分にもノズルが出てきて、そこか空気みたいなのを射出。いっきしに加速しながら後方に避けていったわ。かなり速いです、今の動き。
おかげで左手の月華は空を切り、そのまま地面にドスンと当たってしまった。
ライオンさんが回避したことにより、またまた距離が少し離れた。さてさてどうしましょうかね。
今の軽い打ち合いでわかったけど、攻撃力も移動速度もどうやら今のわたしとガチでやれるくらいの状態みたい。すごいなぁ。
となると、う~む……
「どうやら貴女は相当強いな」
「ん? 何ですか、急に」
「そう警戒しないでくれ。なに、挑発とかじゃないさ。単純にここまで強いことに驚き、そして世界は広いなって思っただけさ」
「ほほー」
感心したってとこみたいね。
でもね、わたしよりも強い人っていっぱい居るんですよ。お母様たちが相手になると、ぜーったいに勝てないくらいの差があるくらいだし。
「ならば出し惜しみするべきじゃない、そう考えたわけだよ」
「あら、まだ隠してるのがあるんですね?」
「隠している、か。そう思われてもしょうがないが、この先は本当の戦闘時に使う必殺のもの。怪我をしたら申し訳ないが、覚悟してくれるかな?」
「かまいませんよー」
そんな忠告してくるって事は、相当強い何かかな。
まぁそんな宣言せず、さっさとドカンと使っちゃいなさいよとも思うけど、人によって考えが違うからなぁ。
わたしも全力ドカンしないでわざと時間を稼ぎ、お母様たちに情報をどんどんあげましょー作戦しちゃってるし。負けそうになったら全力ドカンしちゃうけど!
「感謝するよ。それじゃぁ始めようか、最終ラウンドを!」
そう言った後なぜかビームな剣のビームを止め、グッと握ったまま両手を前に突き出してきた。
まさか剣術でなく格闘術をする気?
「ブレイブランチャー、スタンバイ!」
らんちゃーって大砲ですか? って思ったら、ライオンさんの突き出した両手付近に機械がガシャガシャと出てきて、角ばった感じでメカメカしくデカイ大砲に変化していったわ。
あーこれってあれですか、やっぱりビームな砲弾ですかね。
「すぐに退場とならない事を祈るよ」
「へー、ずいぶんな自信ですね」
「それだけこれは強力なんだ。だが、貴女ならもしかしたら……」
ふ~む、大砲の生成完了したっぽいのにすぐ撃たずそんなこと言うとか、よっぽどなのかしら。
まぁわたしも撃ってくるまで待っちゃ手るけど。情報収集がんばっちゃうよーの気持ちが全然抜けません!
とゆーわけで
「さーさー、かかってきなさい!」
「貴女こそずいぶんな自身だが、いつまで冷静でいられるかな! ブレイブランチャー、バァァァニングショォォォォォット!!!」
またまた叫びながらだけど、ついに最終兵器っぽい大砲からの一撃が来るわけね。
銃口が赤く光ったのが見えた次の瞬間、そこからぶっとくて真っ赤で巨大なビームがドバーンと発射される。
ふむふむ、見た感じとさっきの台詞からして火属性のビームか。しかもかなりぶっといくせにだーいーぶ速い。これは回避しきるの難しいかな?
ならば撃ち消しましょう!
両手の月華に魔力と精霊力をうーんと込めて~、着弾するまでの距離を計算して~
「今! 術技、烈氷八連!」
片方四連、合わせて八連の烈氷をビームにぶつける! 巨大な氷の塊と巨大な火のビームの真っ向勝負です!
「わたしの魔力と精霊力に勝てるか、正面ガチバトルよ!」
「くっ、刀で防ぐとは。だがまだだ! ブレイブランチャー、ディフュージョンレェェェザァァァァァ!!!」
「うわっ!?」
ライオンさんの大砲の側面が少しパカパカパカッと開き、そこからビーム、いやレーザーか? それがドバドバドバーと降ってくる。
仕方が無いので少し移動しながら避けるけど、そんな事をしたら当然で押さえるのも無理になる。烈氷を一瞬解除して移動し、また火のビームが着弾する前に再度烈氷を放つを繰り返す状態になる。
このままではまずいので、ライオンさんの人形とバカスカやっていたヒトガタを戻し、レーザーを防御する盾に。
ヒトガタががんばってる間に、わたしは烈氷を更に叩き込んで~火のビームを対消滅よ!
だけどこうなることは予想されてたようで
「決着を付けよう! ブレイブランチャー、ファイナルモォォォォォド!!!」
そう叫ぶと、ライオンさんの使っていた人形がガチャガチャンと変形しながら大砲に合体、何とも厳つい感じの大砲になりました。
そして
「ブレイブランチャー、ライオチャァァァァジ!」
と、今度は大砲の先端に巨大で金色な光を発生させ、それにエネルギーを送って貯めてるような状態に。
あれは……ヤバいな。レーザーの防御に回したヒトガタも結構ボロボロだし、火のビームを撃ち消すため烈氷を何発も撃ったってのに、今度はそれを超えるビームが来るって事でしょ? 術技の連発で防げるかだいーぶ怪しくなったわ。
となると、う~ん……。
策はあるにはあるけどそれ出して良いのかは悩みどころなのと、情報収集的なのもあらかた終わってるのでケガをしないようここで棄権しちゃってもいいわけで。でも棄権するってのもなんだかなぁ。
わたし、負けるのけっこー嫌いだもの。特に力の差が拮抗してたらなおさらだもの。
でもどうしようかなぁと少し考えながら、チラッとお母様の方を見ると……あー、うん、そうだよね。ニコニコして、絶対にわたしならそれを破れるわねって顔してるもの。わたしよりもわたしの実力を把握してるから、そういう判断もすぐできちゃうんだろうなぁ。
な・の・で~
「さらにもうちょっとだけがんばっちゃいます!」
月華を正面に構えて~勝負です!
次回、金獅子勇者との決着の予定




