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第3章―6

 ソラとマリルは罠に注意しながら、遺跡の奥深くへとずかずか足を踏み入れていった。それはもう、他人から見れば躊躇してしまうほどのスピードで突き進んでいったのだ。

「なあ……こんなにすいすい進んで大丈夫なのか?」

「大丈夫とは……?」

 さすがに肝のすわったマリルでも不安になってしまう。

「迷う心配はないのか? それに……」

 もう一つの懸念を口にする前に、ソラが飄々と答える。また腹が立つ。

「ああ、大丈夫、大丈夫。迷う心配はないから」

 ――どうやったら、そんなに自信満々でいられる……?

 青年はすぐにその理由を教えてくれた。

「探索の魔法で地形は把握してるんだ。天井の上も通路の下も全部丸見えなんだ」

 そう言うとソラは唐突にバックパックを下ろし、中をごそごそ探り一冊のノートを取り出した。

「メモしなくてもいいんだけどね、万一のためマッピングはしてるんだ」

 冊子をマリルに手渡す。ページをめくると、確かに遺跡の地図らしきものが描かれている。

 ――でも、何だろう……。

 何か変だ。違和感を覚える。

「なあ、これって……」

「そうなんだよ、すごく面白いよね」

「いや、面白いって……。どう考えても変だろ、これは……」

 ページには理路整然とした迷路が描かれていた。こんなに整えられた構造物があっていいものか。何者かの――もちろん、このダンジョンを作った何者かだ――常人を逸した、計り知れない意図を感じる。

 ――本当に、この遺跡そのものが罠なんじゃないのか……。

「壁の厚さも測ったように一様で――」

 ソラが好奇心の押し売りみたいに、前のめりに説明をし始める。

「とりあえず自分が探索できた範囲での話なんだけど、この迷路、縦も横もきれいに正方形を二十マス並べたようにできていて、それが上下に――あ、地下の七階まであるってことは、今のところ確認できているんだけど――それが上と下とで、もう全然ズレることなく重なっているんだよね」

 よく喋るなと、マリルは呆れていた。突然、人が変わったみたいに、ぺらぺらと次から次へと興味のない話を繰り出してくる。青年の勝手な興奮をさえぎるように、マリルがつぶやいた。

「こんな遺跡、見たことも聞いたこともないよ。整いすぎている……」

「そうだよね、なんだかゲームみたいだ……」

 ――んっ?

 マリルの関心は一瞬で持っていかれる。いや、警戒に近しいものであったというべきか。少女のはるアンテナに、聞きなれないワードがふわっと触れたのだ。まったくの予告もなしに。

「ゲーム……?」

 ソラは「あっ……」という顔を見せた。すぐに両手を振り、取り繕う。

「いや、なんでもないんだ……」

 マリルの鋭い目線が青年を射抜く。避けるようにソラはふいと視線を外し、「さあ進もう」と、言い終わらぬうちに自身はもう歩き出していた。

 その背をマリルの目は射抜き続けていた――。


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