ダンジョン
ニース冒険者ギルド会議室
そこには、メル、リアリナ、アリーシャ、ニアの他
各団長と秘書のドリアード達がいたが、現在この会議室にはメルとリアリナ以外のメンバーは直人が救出するであろうとされるドリアード達の対応準備に追われ、ここには居ない。
そして、現在も会議室のモニターには直人達が攻略してる忘却の彼方ダンジョンの様子が映し出されている。
メル「まいったね、、まさか、
サンゴス君にそんな能力あったとはね、、
盲点だったと言うより、
恐らくはあの事件以来自力で
編み出した技なんだろうね」
明日、甚大な被害が出る事を覚悟し、ニースの総力を上げて行う予定だった
『直人に魔法を取得させよう!』
作戦は意外な人物の活躍によって、何の被害も出す事なく達成してしまう。
ここで問題なのが、サンゴスが達成させてしまった事にある
サンゴスは破滅信徒や今回の事件の主犯格として、多くの罪状が付き、無事ダンジョンから戻ってきても一生幽閉されるか、あるいは、加護が剥奪された上に国外追放の刑が執行される事が決まっていたからである。
しかし、サンゴスの功績をメルとリアリナがモニター越しではあるが目撃した事で、無視出来ない結果に繋がり、直人もなんだかんだでサンゴスを気に入ってる事がモニターからも伝わる
罪と功績
悩ましい問題が直人の知らない所で進行していた。
【忘却の彼方ダンジョン】
直人はサンゴスの特殊技能による魔法伝授法によって【風魔法】【魔力操作】を取得した。
その恩恵は大きく、今まで消費していた魔力を効率よく運用するコツを掴む、感覚的には、平らな地面に水を流し、数m先の穴に入れる作業を行なっていた事を、水の出口と穴をホースで繋ぐ事で溢れる無駄な魔力も無くなり、必要なコストを必要な分だけ出せば良いと言う【当たり前】だが、その【当たり前】を出来てなかった直人にとってそれは衝撃的であり。
なるほど
メルが雑と言ったのは当然であり、むしろ呆れる程ヘタクソ過ぎる使い方をしていたのが今なら分かる。
ヤバイ、、公衆の面前であんなヘタクソな魔力操作もどきしてドヤ顔してた自分が恥ずかし過ぎて穴があったら入りたいレベルじゃ無くて、穴に引き籠るレベルだわ!
テレビに映るドヤ顔の自分を想像する。
やめて見ないで!
魔力垂れ流しで【本物だ!】とか!
オムツにお漏らししながらもう大人だからパンツ履きたいと泣き叫ぶ2歳児並に説得力ねぇわ!
直人「はぁ、、死にたい、、、」
俯きトボトボ歩きながらリズの指示通りに風魔法の【風の矢】を大量に作り
鬱憤を晴らすように攻撃するが、風魔法での攻撃の方がモンスターへの与えるダメージが大きく、
かなり加減した攻撃でもオーバーキル状態なので全然鬱憤を晴らす事が出来ない
なら属性魔法使わなければ良いだけなのだが、サンゴスにアドバイスを貰いながら作る風魔法は純粋に見た目が【カッコいい】ので使わないと言う選択肢は無い。
サンゴス「いつまで落ち込んでるんですか?
もう終わった事ですし、あの時やって
た事自体は凄い事やってましたから、まぁ
多少はアレ?って思った人も
居ると思いますけど気にする必要無いですよ」
フォローしてるのかしてないのか分からないサンゴスの言葉に、やっぱりヘタクソなのバレてるじゃん!と更に落ち込む直人
リズ「あ、マスター!着きましたよ!
ここです!ここ!ほらマスター!
元気出して下さい!このダンジョンを
クリアすればあの時の映像風化するぐらいの
インパクトになりますから!
みんな忘れちゃいますから!ね?」
直人「はぁ、、そうだな、、ありがとう
いつまでもウジウジしてても
仕方ねぇし、、
(そうだった!救出不可能と言われてた
ドリアードの美女達7,000人の救出
が待ってるんだったな!
流石にそれだけの人数居れば2、3人位
『抱いて!』って展開になるだろ
ムフフ、おっとイカンヨダレが!)
ジュル、、うん、んで?ここは
なんだ?誰もいないけど?
ん?あれ?何か明るくなったな?」
直人がウジウジしながらもモンスターを討伐しながら進んでたダンジョンの内装の様子が変わっており、淡い光を放つ岩場だらけの場所から、緑色に光クリスタルが全面に大小様々な大きさや形をしたものが壁や天井から生えており、周囲を明るく照らしていた。
エロい妄想をそこそこに周囲を見渡す直人
直人達が立っている場所から数十m先には、魔法陣が幾重にも重なりあって封印しているであろう扉とその前には数十m四方何も無い空間が広がっており、広い空間の中心には巨大な魔法陣が淡い光を放っていた。
サンゴス「言い損なってましたけど
ここが総力を上げても
どうにもならなかった場所なんですよ」
そう言うと、封印されてる扉を睨みつけるサンゴス。
直人「ん?どう言うことだ?」
リズ「それは私がご説明致します!」
すかさず直人の前に現れるリズ
直人「おぉ!うん!よろしくお願いします」
リズ「はい!
向こうの扉は現在封印されており
物理、魔法共に威力を激減する術式が
施されていますが、
マスターならば恐らく破壊は可能です
しかし、扉の破壊と同時にこのダンジョンも
崩壊してしまうので
それは推奨出来ません」
直人「なるほど、、
扉の破壊が目的じゃないからな
って事は別の方法が、あるんだよな?」
リズ「はい!その通りです!
実は扉をどうこうする前に
あそこにある中央部の巨大な魔法陣を
通過する事になるのですが、
そのまま通過すると、通過した人数や能力に
合わせたモンスターが現れる
仕組みとなっています」
直人「ほう、、通る人に合わせてって事は
つまり、、、どう言う事?」
サンゴス「リズ先輩ちょっと良いですか?」
リズを先輩と呼ぶのは直人からリズも先輩と呼ぶ様に指示出されたからである。
リズも直人と同じ先輩と呼ばれる事に抵抗が無くむしろ直人とお揃いなので喜んでたりする。
リズ「はい?サンゴスさんどうしました?」
サンゴス「えっと、、扉の話は置いといて
(直人先輩が破壊出来るのかよ!
ってツッコミたいけど
今はそれどころじゃ無いし)
結局ここまで来ましたけど、、
このまま帰るんですよね?だったら、、」
リズ「帰りませんよ?このまま進みます」
サンゴス「へ?」
だったら【俺はここに残るから帰って下さい】と言おうとしたらリズの返事に間抜けな声が出た。
サンゴス「いやいや!いやいや!ちょっと!
何言ってるんですか!さっきが自分でも
【魔法陣を通る人に
合わせたモンスター出てくる】
って言ってたじゃないですか!?
そうですよ!ここは500人来ても同数の
モンスター出てくるし!
その当時の族長ですら
歯が立たないモンスター出て来たんですよ!
直人先輩みたいな強い人が通ったら
どんな化け物出てくるかわかったもんじゃ
無いじゃ無いですか!?」
老人の見た目をしたサンゴスが激昂した様子で唾を飛ばしながらリズに文句を言うが
リズ「マスターは化け物じゃないですよ!」
見当違いのセリフが帰ってきた。
サンゴス「違いますよ!
誰も先輩が化け物なんて言ってませんよ!
化け物じみた強さではありますけどね!
ってそうじゃなくて!
そんな強いモンスター出て来て、もし
直人先輩でも手に負えなかったら
このダンジョ!?「煩いです!」へぶしっ!」
別に間違った事を言っていた訳では無いのだが、何処から出したのか、リズの小さな手でも持てる程細い柄だが、30㌢位あるリズの身体より大きなピコピコハンマーでサンゴスの頭をピプゥと間抜けな音の割には強烈な威力で叩いたリズ
直人「おお!何それ!凄い!!」
リズとサンゴスのやり取りを煙魔を吸いながらボンヤリ見ていた直人だったが、サンゴスをどついたリズのピコピコハンマーを見て興奮する
リズ「えへへ、、やっとマスターの前で
使えました!実はこのハンマーは
マスターの【斬魔刀】と同じく
私のユニークスキルなのですが、効果は」
頭を押さえてうずくまるサンゴスを放置して、
リズはハンマーを握りながら次のセリフを言う【間】を溜める。
直人「ごくっ、、こ、効果は、、?」
緊張しながらリズの言葉を待つ。
リズ「効果は攻撃した対象を
【鎮圧】します!!」
ピコピコハンマーを高く掲げて声を高らかにそう
言い放つ
直人「か、、か、、カッコイイ!!
素晴らしいじゃないか!!どうして今まで
出して来なかったんだ!?」
リズ「えっ、、と、、その、、」
(マスターの浮気対策として作ったけど
マスターを叩くなんて出来なくて
使う機会無かったとは言えないし、、)
サンゴス「いてて、、何か今、凄い衝撃を
受けた気がするんだけど、、」
うつ伏せで倒れてたサンゴスがボヤける意識を軽く頭を振る事で覚醒させ、今自分の状況を確認する為、周りを見渡す。
直人「ん?もう起きたのか?
鎮圧効果も一瞬って事か、、なら
リズがワザワザ危険を冒してまで
やる攻撃じゃないなぁ、、」
キョロキョロしてるサンゴスを見ながら実用性には欠けると判断する直人
リズ「そ、そうなのです!
興奮した【人】にならある程度効果が
見込めるのですが、モンスター相手では
一瞬の隙を作る事は可能ですが、
戦闘中はルームに居なければマスターの
スピードに付いて行けないので
今まで使う機会がありませんでした!」
コレ幸いと直人の言葉に便乗して、用途をあまり使い道の無いものだと説明した。
直人「なるほどねぇ、、まぁ、でも
サンゴスみたいな奴のツッコミには
最適だからな!リズに似合ってて
見た目も可愛いし!
ドンドンコレからも使って行ってくれよ!」
見た目はオモチャだが、しっかりとした効果のあるピコピコハンマーを気に入った直人
リズ「えへへ、、ありがとうございます」
照れながらも、内心どうにか誤魔化せた事にホッとしている。
直人「それはそうと、これからどうするんだ?
サンゴスの言葉じゃ無いけど、
結構厄介な魔法陣だよな?
流石に今の俺より強いモンスター
出てくるんなら救出どころじゃねぇし」
改めて目の前に展開してる巨大な魔法陣を見渡しながら話す直人は、リズがそんな事も分からないでここまで連れてきたとは考え難いが、どんな方法でこの厄介な魔法陣を攻略するのか気になった。
リズ「マスターにはこのままこの魔法陣を
【通過】して頂きまして、【普通】に
出てきたモンスターを
討伐して頂きます」
どうです?名案でしょ?と言わんばかりのドヤ顔でそう言ったリズ
まさかのゴリ押しだった。
サンゴス「ええ!?どゆ事!?
ここは通った相手に合わせて、、
ん?、、何だろう、、
前にも同じ事を言った気がするんじゃが、」
頭に???マークを出して思案する
直人「ふむ、、リズさんが大丈夫ってんなら
大丈夫なんだろ、、んじゃ、サクッと
やっちゃいますかね
そうだ!リズはルームがあるから
大丈夫だろうけどか弱い後輩は
どうすっかなぁ、、流石に守りながらは
厳しい様な気がするし」
困り顔でサンゴスを見る
リズ「ご安心下さい!
サンゴスさんは端の方で防御陣を展開して
私がまもりますので、マスターは戦闘に集中して下さい!魔法陣を展開中は動けませんが、
その分強力な防御魔法陣なので、例えマスターの攻撃でも【数回は耐えられる】ものですから」
直人「そ、そうか、ならリズさん
よろしくお願いします」
自信満々の様子なリズの手前とりあえずサンゴスの守りを任せたが、俺の攻撃数回だけなん?とか、いつの間に防御魔法使える様になったの?とか聞きたい事はあるけど、今は【通った者】の実力にあわせて召喚されるモンスターの討伐集中しよう。
リズ「さっ!サンゴスさん!コッチです!」
サンゴス「え?え?」
リズ「早くしないと
マスターの戦闘に
巻き込まれて【塵】になりますよ!」
サンゴス「塵ぃぃ!?わ、わかりました!」
直人の後ろではリズがサンゴスを急かし入ってきた通路付近まで下がらせていた。
直人(おっ?アレがリズの防御魔法陣か、、
何かカッコいいな、、でも、、
動けないなら俺に使って貰う機会は
無さそうだな、、)
後ろを振り返ってリズの防御魔法陣を眺めていると、心配そうに顔して体育座りしてるサンゴスとその頭上で浮いてるリズが、腕を自分の頭の上で○を作り準備出来た事を知らせていた。
直人「大丈夫なのかねぇ、、」
信用してないわけじゃないけど、、
リズも俺と一緒で魔法全然知らなかったんだよな?
俺が使える様になったから覚えたのかな?
でも、アレ風魔法じゃなくね?
よく分からんな、、まっ、、いっか、、。
リズが色々出来るのは今更だしな。
さて、、と、、。
気持ちを切り替える直人、今までで一番の強敵となるのだろうか?
リズの様子からシュナのダンジョンより詳しくこのダンジョンを把握してるみたいだし、他所様のダンジョンの方が索敵得意とかリズが優秀なのか、シュナがコロコロ変え過ぎだったのかは不明だが、とにかく
そんな強敵が来る無さそうな雰囲気だったが、ファーシンア国初のダンジョンにして
初の【ボス戦】
否応無しに気合いが入る。
何となく煙魔を吸う事は止めて
斬魔刀を右手に出現させるとゆっくりとした足取りで巨大な魔法陣の中は入って行く
そのまま魔法陣の中央部付近までたどり着いた瞬間に魔法陣から光が立ち昇り、あまりの光の強さに中央部付近に居た直人の姿までもが見えなくなり、魔法陣の外から見守っていたサンゴスがあまりの眩しさに両手を交差させながら顔を背ける。
サンゴス「ちょっ!?何ですかコレ!?
何でこんなに光んですか!?
【前】はこんなに光んなかったですよ!?」
リズ「マスターなら当然です!」
腕を組んでふんす!と鼻を鳴らすリズ
サンゴス「いや!説明になってないし!」
ってか!リズ先輩さり気なくサングラスしてるし!この防御魔法結界サラッとやったけど!
コレって国覆ってる結界より強くない!?
戦略級何発でも耐えられそうなんですけど!?
ん?戦略級?はて?じゃぁ、何か?
戦略級魔法を完全に防げるこの結界でも直人先輩の攻撃は数回しか持たないって事???
うわぁ、、、マジどんだけだよ
もうね、、直人先輩もリズ先輩も凄すぎてちょっと優秀だったと思ってた自分が恥ずかしいね
威厳保つ為のジジィ言葉ももう出ないし、、
んな事より!いつまで光ってんの!?
アレって一瞬だったよね!?
光っぱなしでモンスターの出てくる気配も無いし!!
なんなの?そろそろ目が痛いんですけど!
ちょっとリズ先輩!俺にもサングラス下さいよ!
え?ダメ?なんでですか!サンゴスさんにはまだ早いって?いや!意味分かんないっすよ!
むしろ遅い位ですよ!このままだと目が焼けそうなんですけど!?ってあれ?でも、、
なんだかだんだん徐々に光が薄らいで来た?
巨大な魔法陣から放たれていた光が外側から中心に向かい収束し始め、斬魔刀を出したままの自然体で居た直人の目の前には収束したペットボトル程の太さまで細くりそれは地上から天井まで伸びていた。
直人(なんだ?
ドンドン凝縮してったと思ったら
随分とまぁ、細くなったなぁ、、
でも、、まだだな)
直人は感覚的に、それがまだ途中である事が分かった。
直人の予想通りに、今度は地上と天井の光が中心に向かって収束していき
それはやがて直人の目の前で直径10㎝程の光の球体となった。
直人(え?いや、、何コレ?
流石に小さすぎなんだけど?)
斬魔刀を消した直人は腕を組んでマジマジと光の球体を見つめていると、球体の光も徐々に消えていき、やがて目の前にには数センチの【クルミ】の様な少し歪でありながら色鮮やかな物が目の前で浮かんでいた。




