囚われてたドリアード達
あう直人「なんだこれ?」
通った人に合わせた強さのモンスター出て来るんじゃねぇーのかよ!
どゆこと?つまりコレはお前はこの程度で十分だとかそゆこと?
いやいやいや!
流石にねぇわ!コレでもちょっとは強いんじゃね?
って自信あったのに妙に綺麗な石コロモンスター程度ってどう言う事だよ!
殺気も闘気も無く、動く様子も無く、ただ浮いている綺麗な石ロコ?的な何か。
拍子抜けした直人は目の前のソレをひょいと軽く掴むと指先で回してみたり、掌で転がしてみたらして、観察していると、それまで淡く光っていた巨大な魔法陣が消失し、魔法陣が消失したと同時にその先にあった幾重にも重なりあった魔法陣で頑なに閉ざされていた扉が守っていた魔法陣の消失と共に扉ごと無くなり、ポッカリと空いた空間だけが残った。
直人「あれ?消えた、、、」
石コロを弄り回してたらいつの間にか通路らしき入り口が出現してた事にポカンとしながらその先の薄暗い通路を見つめる。
リズ「マスターーーー!!!」
バビューーーン!と勢いよく飛び出して来たリズが直人を呼びながら向かって行き、直人の顔の前まで来ると全身の手足をバタつかせながら称賛していた。
サンゴス「んなアホな、、、」
そんなしゃいでるリズや照れる直人を他所に、いつの間にか消失していた防御魔法陣の存在も忘れ、今だに体育座りしているサンゴスだが、巨大魔法陣も幾重にも頑強な封印されていた扉が解除された様子に、目の前で起きたにも関わらず信じられない気持ちと同時に直人先輩ならやってくれるかも?と期待はしていたが、まさか戦う事すらしないで封印を解いたの?と半信半疑の気持ちで、呆然としながら呟いた。
そんなサンゴスを放置して予想外の現状を話し合う直人達。
リズ「どうやらここまでの戦闘と
やはり魔力操作と風魔法取得の恩恵が
思いの外、マスターの戦力を数値以上の
能力を開花させたのではないでしょうか?」
リズの想定では、直人からしたら格下であるがそこそこ強いモンスターが現れる予定だったが、このダンジョンが直人の戦力を分析した結果導き出した答えは
「あれ?コイツ倒すのにもっと魔力必要じゃね?あぁ、ならこっちのも使うか、、いや、まだ足りなぁなぁ、、んじゃ、、こっちののも使うかぁ、、って、ん?ちょ、ちょっと!まだ途中なんですけど!え?なに?もう供給する魔力ありません?って?いや!んな事言ったってこんな中途半端な状態で作れないよ!?ねぇ!おい!
ねぇってば!返事しろよ!もっと魔力寄越せよ!
まだ【核】しか出来てねぇよ!おい!おーい!」
的なやり取りがあったかどうかは不明だが、結局このダンジョンのポテンシャルレベルを超えた直人の戦力に見合うモンスターが造れず、【核】だけ造って部屋の魔力が枯れてしまった様だ。
なのでリズは直人がステータス以上の戦力を持っている事に、「流石マスター!マスターは数値なんかの枠にハマらない凄い御方なのです!」とこの世界のあり方を真っ向から否定する様な事を思っていた。
直人「う〜ん、、
せっかく魔力の扱い良くなったし
風魔法の研究とか実践しながら出来るの
期待してたんだけどなぁ、、」
ニコニコ顔のリズとは違い、ややガッカリしながら話す。
リズ「そうなのですか?
サンゴスさんから教えて頂いてから
沢山使われてたと思いますが?」
直人「何やっても一撃だからさ、、こう、、
イマイチなんだよねえ、、、
例えばさ、、
当たった威力に耐えたモンスター用に
そこから炸裂させるとかやりたいわけよ
でもさそんな複雑な事やろうとすると、
最初に当たった瞬間で貫通するからさ、
やりたい事の効果が見れないんだよなぁ、、
折角の風魔法なのに、、
回転する風の玉とか作りたいじゃん?」
某アニメで活躍技やゲームで見てきた魔法の数々を実際に再現出来る
しかも、サンゴスのおかげで取得した【魔力操作】でイメージと発現が理想的な形で再現出来るから最初は楽しくて仕方なかったが、結局は、直人的には極小魔力でモンスターを倒してしまう。
今でも痛いのは嫌だが、やはり多少なりとも苦戦した方が自分が強くなった事への実感に繋がるし、何より、
【戦闘形主人公みたいでカッコいい】と言う
ナルシスト的な思想に浸れる。
しかし、ファーシンア初のダンジョンでは、魔法取得前でさえ楽勝だったのに、魔力操作を覚えてからは更に楽になり、楽になって魔力消費がかなり抑えられたのは良いのだが、元の貧乏性が災いし、無駄な消費をしなくなってからは、元々持て余し気味の魔力を消費する機会が失われ
体の不調は無いのだが、(寧ろ絶好調)
フラストレーションが溜まってしまっていた。
贅沢な悩みではあるのだが、周りを気にせず力に振り回される程精神的にガキでも無いので、
【自分】で分かる範囲であればどんなに発散したい気持ちが強くても、そこに誰かの【迷惑】となるのであれば、自重するのが大人である。
1度本気を出してシャナのダンジョンの外を破壊した経験があるが故に、【理由】無く本気を出すのは憚れる。
だが、今回は【仕方無く】本気を出せるかも知れない機会に強敵との出会いに緊張と共に【期待】でワクワクしてた気持ちも大きかっただけに、何もせず終わった事に残念な気持ちも大きかった。
直人「所で【コレ】なんだか解る?」
そう言って右手の中で転がしてた、綺麗な石?を人差し指と親指で挟んでリズに見せる。
リズ「むむっ!【コレ】は!?」
角度によってその輝きを変える石を真剣な眼差しで見つめる。
直人「おっ?なんだ?
なんか凄いヤツなのか!?」
直人も何となく只の綺麗な石だとは思っていなかったので、戦闘が出来なかった分、期待が膨らむ。
サンゴス「直人せんぱーい!」
リズのマジマジと観察し、直人がワクワクしながらリズの返答を待っているとただ事では無い状況にヨタヨタ走りながら近寄って来た。
直人(うん?サンゴスか、、アレだな、、
自分で呼ばせといてなんだけど、、
見た目ジジィのヤツに先輩って呼ばれながら
近づいて来られるとキモいな(酷い)
石を摘んでリズに見せたままの姿勢で首だけサンゴスの来る方向を振り向き、軽く酷い事を考えながらサンゴスの到着を待つ。
サンゴス「はぁはぁはぁ、、」
ふざけてるとしか見えない走り方の割に遅く、大した距離を走ってないのに荒い息を吐く
直人「どうしたんだ?
別にそんな必死になる必要は、、」
戦闘としてないし、周りにモンスターの気配も感じないのに、何をそんなに焦った表情で走って来たのか理解出来ない直人であったが
サンゴス「そ、それが、、もしかすると、、」
リズ「マスター!!
早急にソレをアイテムボックスに
閉まって下さい!」
サンゴスの言葉を遮るように、リズもまた何故か急に焦った様な声音で直人を急かす。
直人「むおっ!?わ、分かった!よし!
しまったぞ!コレで良いのか!?」
最初はリズの剣幕に驚いたものの、そんなリズの態度の時は何かあると今までのリズとの付き合いで察知し、迅速に美しい模様の石をアイテムボックスに仕舞うと問いかける。
リズ「はい!ありがとうございます!
時間がありません!
詳細は後ほど説明します!
マスターはサンゴスさんを
脇に抱えて下さい。
私もルームに退避し、
最短のルートをマスターに
お知らせしますので、
マスターは出来るだけ早く
この先のダンジョンへ進んで下さい」
早口にそう言うと、シュワンと虚空に消えるリズ
直人「ふむ、了解!じゃ!サンゴス!
ちと揺れるが我慢しろよ!」
サンゴス「へ?」
直人もまた余計な事を言わずに隣で呆気に囚われてるサンゴスを軽々と脇に抱えるとドンッッ!!と言う破壊音を残してその場から消える。
一方、ニースの街では、原因不明の意識不明者が続出し、その数は数千にも及び、街全体が混乱していた。
リアリナ「メル様、、コレは、、」
念話で意識不明者の対応を指示したりしていたリアリナがモニターでもその姿を捉えきれない程、高速で移動する直人をチラリと見た後、メルに意識不明者との関連を確認する。
メル「うん、、そうだね、、」
(直人には辛い決断をさせる事になるね、、)
目を細め、これから直人が直面するであろう出来事に申し訳ない気持ちになりながらモニターを見つめる
リアリナ(辛うじて生かされててた同胞達の繋がりが気薄になって行く、、いずれ訪れると覚悟してたつもりでしたが、、このままだとあの子達とパートナー合わせ15,306名の【命】が終わる)
目を瞑り、両手を固く握りしめて己の無力さに怒りが込み上げてくる。
一度は救出されると期待していたが、忘却のダンジョン自体が崩壊する事を厭わず強力な力を使った為、僅かな希望だったものが消えようとしていた。
そんなメルを含めドリアード達が悲しい未来に胸を痛めてる中、ルームに待機しながら、サンゴスを脇に抱えたままダンジョン内を爆走する直人に最短距離で目的地に着くように指示を出すリズ
リズ【マスター!そのまま真っ直ぐ500m
先の扉を衝撃を最小限にした状態で
破壊して下さい!!】
直人「分かった!
(って事はあの奥になんかあるんだな?
派手にやらかすとヤバイだろうから、、)」
数百mの距離を一瞬で縮めると勢いを殺す事なく、右手に出現させた斬魔刀に風の魔力を纏わせ、【斬る】事だけに特化した刃を扉に走らせるがあまりの速さに普通の人なら何をしたかなど認識出来ず、傍目から見ると直人が正面に立った瞬間に扉がバラバラと崩れ落ちた様にみえる。
直人「ん?」
??「なんてこった!全然足りねぇじゃねぇか!
役に立たないドリアード共が!!
クソったれが!折角コツコツ貯めてたのが
パァーじゃねぇか!なんたんだよ!
どうなってやがる!」
東京ドームが丸々入りそうな空間の中心には巨大な宝石が浮いており、その周辺には様々な電子機器らしきものが配置され、それらの機材を忙しなく操作しているのは、数十ある触手をウネウネさせながら悪態をついている胴体が蜥蜴で頭部は剥き出しの目玉を付けたクラゲの様なモンスターだった。
直人「うわぁぁ、、キモいなぁ、、アレ」
小声で呟く直人、ちなみに左腕に抱えられてるサンゴスはリズの防壁を付与されていたが、普通に気絶していた。
リズ【マスター!時間がありません!あのモンスターの周辺の機器に損害を出す事無く速やかにモンスターを討伐して下さい!弱点は頭部と肩、胸にある核を破壊する事で討伐出来ます!それと風魔法付与が効果的です!】
直人「了解」
サンゴスをそっと地面に下ろし、忙しく何かの作業をしている為か直人の存在を気づいて居ないモンスターに一瞬で詰め寄ると風魔法を付与した斬魔刀を最小限の動きで数十回振ると
??「あへ?」
名も無いモンスターは間抜けな声を発した後、最後まで直人の存在に気づく事なくコマ切れとなり、黒い霧となって消えて行った。
シュワン
直人が黒い霧となって消えたモンスターとは別の敵を周囲を見渡しながら警戒しているとリズがルームから飛び出し周囲の機器をその小さな体を素早く移動させながら操作して行く
その様子を周囲に他に敵が居ない事を確認した後に黙って見守る直人
リズ「ギリギリでした、、マスター!
この水晶に手を当てて、風の魔力を練った
状態で注ぎ込んで下さい」
正面にある下半分を機器に埋め込まれた水晶をペチペチ叩きながら直人に指示する
直人「あぁ、分かった」
リズが何をしようとしているのは不明だが、リズの様子から迅速に行わねばならないのは容易に判る
ならば、説明は後からでも聞けば良い今は指示された様にやるだけ
そんな事を考えながらゆっくりと水晶に手を乗せると目を瞑り、風魔力を練り上げ少しずつ放出して行った瞬間に
ズグゥン!
直人「くっ!?」
急速に水晶に吸われる魔力
一瞬全身から力が抜け、軽い立ちくらみの様な症状が発生したが、それも僅かな間で収まり、緩やかに魔力が水晶に吸われ続けていると
ウィィィーーン
ゴポゴポ、、、ガガガッ!!
機器がけたたましい音を鳴らし、機器から伸びる数百を超える管が淡く光を放ちながら地中にどんどん光を送り込み、その光はやがてドーム程ある空間の地上全体に広がって行った。
すると、直人達が今居る中央部の機器以外は、大小様々な枯れ木の様だった何千という木々達が一斉に光出し、萎れてる枝木が生命力溢れ、凄まじい勢いおいで葉や花を咲かせ再生して行く。
リズ「マスター頑張って下さい!
現在のままでは直ぐまたダンジョンに
魔力エネルギーを吸われ枯渇してしまいます
それを防ぐには、
マスターが更に魔力を込め、私が
【彼女達】の抵抗力を上げつつ
ダンジョンから切り離します!」
そう言ってリズもまた水晶に両手を添える
直人「リズ、、良いのか?」
ちょいと本気出しても良いのかと先の立ちくらみを忘れたかの様な笑みのまま聞く
リズ「はい!やっちゃって下さい!!」
リズも笑顔でそう答える。
直人「よし!じゃぁ!本気で行く!」
水晶に左手も添えて、水晶が割れない様に練り上げた魔力を両手から放出し始める直人
直人(理屈はわからねぇ、、でも、周囲の木々達がおそらくはドリアード族の女性なんだろうな
俺の魔力で救えるってんならやってやろうじゃねぇか!出し惜しみはしねぇ!死ぬ気でやってやんよ!)
真剣な表情となった直人は歯を食い縛り全力で魔力を放出した。
その直後。
ゴゴゴゴゴゴゴコゴゴゴッッッ!!!!
ダンジョン全体が激しく振動し、機械が悲鳴を上げる様に甲高い駆動音を鳴らすが、ギリギリの所で壊れない様にリズが魔力を調節し、機械の保護、ドリアード達に送る魔力の調整、その魔力を吸収しようとするダンジョンへの抵抗、様々な役割をその小さな体でこなしていた。
リズ(出力ルート調整完了!
くっ!キツイけど流石マスター私の
キャパ内で出来るギリギリのラインで放出
してくれてる!後はドリアード達の
【上書き】作業ももう少しで終わる!
ダンジョンからの侵入もこの程度なら
問題ありません!後もう少し、、、
78%79%80.81.82.83.
84.85....90%オーバー!)
数千ある木々達が光を放ちながら形状をどんどん変えてパイナップルの木の様に各木々の天辺から一際太い人の胴程あろうかと言う枝が伸び、そこから1mを超える薔薇の様な華が咲き、一つの幹から一つの巨大な華が次々と枝が伸びては咲き伸びては咲きを全ての幹から薔薇に似た華を咲かせた。
直人(うぐっ、、流石にキツイな、、だけど
何となく終わりが近い気がする、、)
歯を食い縛りながらチラリとリズの方を見ると、リズもまた直人の目を見ながら
リズ「マスター!
ラストスパート!
最大出力でお願いします!!!!」
リズの言葉に頷くと、ゆっくり目を閉じた後カッと目を見開き
直人「おうよ!!!
コレが俺の全力ダァァァァぁぁ!!」
ゴガガガガガァァァァァァァァァ!!!!
ピシピシピシッッッ!
パリィィン!!
部屋全力が更に激しく振動し、地上から出る光もまた一際強くなり、数千を超える満開の華が美しく輝き、その輝きも次第に強くなると光が華を包み込む様に凝縮し、全ての華が光の球体へと姿を変えた瞬間に、それまで直人の魔力にリズのサポートでなんとか持ち堪えてた機器や水晶から亀裂が走り、やがて耐えられず破裂した。
ズオオオオオオオオオオオオオオオンンッッッ
部屋全体に直人達を中心に強風が吹き荒れるとやがてそれも収まり、それまで目が眩むほど眩しいかった部屋全体が壁や天井から出てた淡い光から出る光以外が消え、振動も収まると、静寂が空間を支配した。
直人「かはっ!はあはあはぁはぁはぁ、、」
両膝を地面につけながら脱力すると目を瞑り、顔を上に向きながら荒い息を吐く直人
リズ「はぁはぁはぁ、、、」
リズもまた、地面に女の子座りをし、そのたわわな胸に手を乗せながら呼吸を整えようとしていた。
荒い息を吐き続ける直人とリズを囲む様に周囲には数千を超える枯れた木からまるで宝石で出来たエメラルドグリーンに光パイナップルの様な実が実っていた。
その光景を驚愕の表情でモニター越しに見つめるメルとリアリナ。




