救出
【忘却の彼方ダンジョン】とは、本来は違う呼び名で呼ばれていたが、【あるモンスター】の出現をきっかけに失踪する事件が発生し、その事件を境に次々と失踪する者やそれを救出する為に作られた救出部隊もあえなく全滅するという事が続き、重要な資源があるダンジョンだった事もあり、その当時の最大戦力を投入しての、真相究明と救出作戦が実行されるも、その中から失踪する者や予想外の高RANKモンスターの登場により撤退を余儀なくされた。
行方不明者7,653名
負傷者3,568名
死亡者452名を生み出したダンジョンは閉鎖され封印される事となった。
そして何故【忘却の彼方ダンジョン】と呼ばれたのか?
それは失踪者が全て【ドリアード族の女性達】であり、そのパートナーのエルフ達の【記憶】が消えてしまうから
全て消えるわけでは無い
パートナーが居た事も過ごして来た日々も記憶にあるのだが、何故か【顔】と【声】だけが全く思い出せないのだ
そして、パートナーの事を強く【想い】
思い出すよう努力すればする程、心身共に衰弱していくという【呪い】が発動し身体を蝕んでいく。
そしてその【呪】を解呪の方法は無く
発動を抑えるしか無い。
そうなのだ
ダンジョンで失踪した時に
助け出す事が出来なかった【後悔】も
ダンジョンが
封印された事で行けなくなった【嘆き】も
【懺悔】する事も
【感謝】を心で伝える事も
【思い出に浸る事】も
健全に生きるには【忘れる】努力をしなければならないのだ。
顔と声以外覚えてるパートナーを忘れる努力を。
サンゴス「そんな事は無理でした、、
無理に決まってるじゃないですか!!
だからあの日から毎日毎日どうにか
出来ないか考え、模索し、
あらゆる方法を試しましたが、、、
結局はナオト様「先輩だろ?」ははっ
そうでしたね、、、
ナオト先輩が知っての通り、破滅信徒なんて
もん作って、同じ境遇の人達を集めて
狂った集団を演出する事で
誤魔化して来たのです、、、本当に狂って
仕舞えば楽だったんですけど、、、
やっぱり何処かで、、「もう良い」先輩?」
話の途中で直人に遮られたサンゴスは顔を上げて直人を見る
直人は煙魔を吸いながらサンゴスの話を聞いて居たが、その視線はダンジョンの奥へと向いていた。
直人「過去の話はもう良いよ
それより居るんだろ?
この先にサンゴス【達】の
悩みの【原因】がさ」
そう言ってダンジョンの奥を親指で指しながら
聞く直人
サンゴス「そうですね、、、
でも、、あ、いや!いや!
ナオト先輩の強さを疑ってるわけでは
無いですよ!むしろ逆です!逆!」
歯切れが悪く返事したサンゴスに眉間にシワを寄せて、オメェまさかまだ俺の強さ疑ってんのか?と言わんばかりに睨まれたので慌てて否定する
直人「逆ぅ?どう言う事だ?」
サンゴス「それは、、」
リズ「それは恐らく失踪したドリアード族がまだ
【生存】しており、しかも、問題となってるモンスターが特殊な延命方法にてドリアード族を動けない様に捕らえている様なのですが、マスターならばそのモンスターを討伐する事自体は可能なのでしょう、しかし、そうすると、解放の仕方が不明のまま討伐してしまいますと、モンスターが延命してるドリアード族まで【殺して】しまう
そんな感じでしょうか?」
言い淀むサンゴスのかわりに答えたリズ
ニースに来てから活躍の場が無く、内心しょんぼりとしていたが、このダンジョンに来てからは水を得た魚の如く、結界の修繕から始まり、ダンジョンの制御機能を利用して映像関連を掌握し、ニースの街に直人の勇姿を流した事をリズ本人が1番興奮している
しかも、そのおかげか常にダンジョンに設置してある移動型カメラをコントロールし、ダンジョン内限定ではあるが、いつでも直人を撮影可能になったのである。
直人「むむ?って事はどう言う事?」
リズを方に顔を向けて聞く
てっきり、只ちょっと強いだけのモンスターならば倒せさえすれば解決出来ると思ってただけに出鼻を挫かれた気分の直人
リズ「はい、では、今ここで口頭で説明するより
実際の場所に移動してから
ご説明致します!!」
笑顔で元気よく答える、凄く楽しそうである。
サンゴス「ええ!?わざわざ危険な場所に
行って説明するより
ここでしても良いんじゃないですか!?」
直人と規格外の強さを持っているが、リズもまた別の分野で規格外の能力を見せられたサンゴスにとって能力は疑っていないが、そんな事しなくても、ダンジョンカメラで撮影したのを見せれば良いじゃんと思うサンゴスだが、、、
直人「はぁ、、分かってないな、、」
リズ「分かってませんね」
直人とリズは大袈裟にやれやれというジェスチャーをしてサンゴスを哀れな者でも見るような眼差しでみる。
サンゴス「え?ええ?
何が分かっていないと?」
破滅信徒の時とは違いまともな事を言ったつもりのサンゴスは戸惑いながら、直人とリズを交互にみて問いかける。
直人&リズ
「「ダンジョン探索はロマンだろ(です)」」
口を揃えて言う2人
リズもなかなか直人の思考を分かって来た様だ。
ポカーンとするサンゴス。
ニースの街が総力を挙げて臨んだにも関わらず撤退しなければならない程のダンジョンに
まるでピクニックにでも行く様な気軽さ
え?え?なんなの?
ちょっとリズ様の言ってる事分からなかったんだけど!
わし、、いや俺は「それは力が強ければ強い程進めない場所がある」って言おうとしたんだよ!
失踪者の現状なんて今知ったよ!!
そうなの!?生きてるの!?
ええ!?って言うか!そこまで分かるなら
ナオトさ、、先輩が進めないって事位分かるよね!?
いつ!何処で!何を説明すんだよ!
直人「お〜い!サンゴスぅ〜
置いてくぞぉ〜」
プチパニックになりながら体をフリーズさせていたサンゴスは、いつの間にか奥へと続く道の前で声をかける直人の呼び声で正気に戻り
サンゴス「ハッ!?えぇ!?ちょっ、ちょっと
待って下さいよ!今行きますから!」
慌てて転びそうになりながら直人達に追いつく。
場面はニース街に戻る
ニースの街にあるモニターは【全て】
直人が自分が本物だと宣言した後の、直人のニヒルに笑う顔のUPのまま映像か静止した。
もちろんリズの仕業である。
このニースの様々な場所にあるモニターは直人の顔が静止した状態で止まってるだけでは無く
何故かこの世界の文字で顔の右上に
【ナオト ミカゲ】
左下には
『本物』見参!!の文字があり
テレビモニターをジャックした選挙ポスターに見えなくも無い
もちろんそんな事すれば1発で御用となるが、そこは選挙とは無縁である異世界のエルフ達が住むニースの街
その圧倒的戦闘力を見せつけた救世主の出現に喜び興奮している人々は直人の映ってるモニターに向かって、歓声や中には祈りを捧げて泣いてる者までいた。
ちなみに、直人はもちろんこの事は知らない
リズからは【あの】モニターに映りますとだけ言われてるのでギルドの小さい方のモニターにでもチラッと映るだけだと思っている。
そしてその喜びは冒険者ギルドでも同様であり
冒険者らしく先程の戦闘について仲間内やパートナーのドリアードと熱く語り合っている者の他に、静止した直人のモニター画面に向かってお祈りしている者やアイドルを目の前にして恋する乙女となってしまったエルフの女性たちも居た。
そしてここにも1人直人に恋が天元突破した人物が居る
アリーシャ「ナオト様、、、」
実際の戦闘を見たアリーシャは並の冒険者では分からない事まで理解し、その強さに心酔していた自分が強すぎるが故に孤独だった事もあり、自分より強い直人に惹かれていたのは事実だが、想像を超える強さに自分の恋した気持ちは間違いでは無く、当然だったと思うと同時に恋した自分が誇らしかった。
しかし、そんな思いの中に浸っているのを邪魔する者がいた。
ニア「アリーシャ様、少しよろしいでしょうか?
ん?あれ?お〜い、アリーシャ様?
ねぇねぇ?聞いてる?あーちゃん?
ふぅぅ、、」
最初は秘書らしく小声でデキル女風に話かけたニアであったが、アリーシャが全く動かずモニターを凝視しながらぽやぁ〜としてるので、次第にぞんざいな対応となり、最終的には耳元で呼んだ後、息を吹きかける。
アリーシャ「ひぁあああ!!って!
何するんだ!ニア!!ビックリする
だろうが!変なことするなよな!!」
身体をびくっとし、その爆乳を揺らしながら飛び
退く
ニア「はいはい、ごめんなさいね
でも、何度も呼んだのにナオト様に夢中で
返事しなかったアリーシャ様も悪いのよ?」
悪びれた様子もなく、逆に呆れるように注意する
アリーシャ「夢中って!いや!ただちょっと
あの強さについてだな、、その、、私なりに、、あれだ、、参考になる事無いかな?とかやっぱり魔力の扱いは無駄が多いからな、、明日の作戦は成功させなくてはとか、、後は、、」
両手の人差し指同士をちょんちょんと弱く触れさせながら俯き加減でゴニョゴニョと言い訳してるアリーシャ。
ニア「なるほどね、それは良いんだけど
ちょっと緊急の案件があるから
ナオト様とお話しした会議室まで
来てくれない?もちろんその案件は
【ナオト様】絡みよ、、、」
戯けた雰囲気を霧散させ至極真面目な表情でそう言ったニア
アリーシャ「!?!?わ、わかった、、
急いで向かおう、、、」
ニアのただならぬ雰囲気に息を飲むアリーシャであったが、事を急ぐ必要を感じ迅速に行動を起こした。
会議室にて
そこには既に、メルやリアリナの他エルフ族の各分野の団長とそのパートナーが揃っており、モニターには、直人達がリアルタイムで進んでるであろう忘却の彼方ダンジョンの様子が映し出されていた。
ニア「遅くなって申し訳ありません」
出入口を閉めるとメルやリアリナ団長達に向かって謝罪した。
アリーシャ「遅くなりました!
申し訳ありません!!」
アリーシャはニアに続きメルに向かって慌てて謝罪した後、リアリナや団長にもそれぞれ謝罪した。
メル「うん、でも、大丈夫だよ
みんなも集まったばっかりだし、
直人達もまだそこまで進んでる訳じゃ
無いみたいだしね」
そう言って優しく笑うメル
リアリナ「では、アリーシャも席に着いて下さい
はい、、では、現在ニースの街と他の街の一部で放送された映像ですが、先程解除されそれぞれニュースなどに変わっており、先程のナオト様ご自身のことや先の戦闘などを取り上げたいます」
アリーシャとニアが席に着いたのを確認すると、モニター脇に立っていたリアリナが説明をし始めた。
リアリナ「ですが、
このモニターを見て分かる通り現在直人達
一向は忘却の彼方ダンジョンを攻略する為、
進行中であり、この映像はリズ様が
この場所だけに発信しており、
その事をメル様に念話で直接伝えたそうです
理由は至って単純
生存が絶望的とされ、
失踪していたドリアード達7,653名の生存
が確認されたそうです」
ガタガタッ!
まさかっ!?
そんなっ!?
本当なのか!?
えぇええ!?
メルとドリアード達以外のエルフ全員が驚愕し驚く
リアリナ「本当のようです。
そして、現在ナオト様は【何故】か
サンゴスを伴いながら救出に向かって
居ます。
そして、、、わ、我らが、、ふぅぅ、、
失礼しました、、我らが諦めた、、くっ、
ドリアードたぁ、達を、
【必ず全員救出する】すると
リズ様からメル様に連絡が来たそうです」
冷静沈着なリアリナが言葉を詰まらさせながら話す。
メル「リアリナありがとう
ここからはメルが話すね
リズから連絡来たばっかりだし、
ドリアード達の姿も確認してないし
それよりも、そこまで辿り着くには
【あの】モンスターをどうにかしなくちゃ
いけないし、そもそも彼女達をどうやって
助けるのかって言うより生きてるのか
分からないってのが本音だし、
仮に生きてたとして、
本当に助け出せるのか?って疑問に思う
だけどさ、、、自分じゃ出来なかったクセに
偉そうだけどね、、てもさ、、
あのカッコ付けの直人がさ、、、
「ん?出来るだろそれくらい」ってさ
言うんだよね
だから、、だからね、、
今から7,653名全員を迎え入れる準備します!」
ドッ!!!!
音にならない歓声が上がる
過去総力を上げての救出劇を完敗した。
しかし今回は
たった1人とパートナーの妖精と荷物
であるが
総力を上げて向かった時より
全員【希望】に満ちた目をしていた。




