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『忘却の彼方』ダンジョン


パシン


頭を軽く叩く直人の手を軽く弾く。


直人(ん?こいつ、、、)


弾かれた手をチラリと見た後、サンゴスを見る。


サンゴス「ふ、ふん!何が先輩じゃ!

   そこまで言うなら見せて貰おうか!

   予定のダンジョンとはちと違うが

   大口叩く先輩に丁度良いダンジョンが

   あるんじゃが、、、どうじゃ?」


サンゴスは先程までのに血走った目では無く


目の奥に強い光を宿した目で、

目線を直人にしっかり合わせて問い掛ける。



直人「ふむ、、、

   困ってる後輩の頼みだからな

   何処でもかまわないぜ?」


口調はふざけた様に言っているが、

その表情は真剣そのものである。


サンゴス「ほう?

   なら攻略して貰おうかの

   【忘却の彼方】ダンジョンへ」



ドンッッ!!


アリーシャ「貴様あああああ!!!!」


ガシッ


サンゴスの言葉を聞いたアリーシャは先程とは比べ物にならない激情をあらわにすると両手に魔力を込めてサンゴスを亡き者とする直前で、

直人がアリーシャのお腹に右腕を回して宙に浮かせて動きを止める。


アリーシャ「ナオト様!!放して!!

    コイツだけはもうダメです!!

   ちょっ、う、腕!くぅぅ!

   ビクともしない!?放して下さい!!

   本当にコイツだけは!殺す!!

   分かって言っているのか!!

   あの場所は!あの場所は!!」


アリーシャは直人の腕を魔力を込めた両手で剥がそうとするが歯が立たず、同じ太さの鉄の棒でも軽く曲げられるアリーシャにとって驚愕と同時に、本気でやっても敵わない現状に歓喜しつつも、サンゴスへの怒りの方が今は勝っているので、放してくれる様に懇願する。


リアリナ「サンゴス、、

    それは禁忌指定されてるのを

    承知で言ったのですか?」


サンゴス「無論じゃ!

     その最初の犠牲者は

     我がパートナーじゃぞ!

     知らぬ訳なかろう!!!」


リアリナ「なら、その名を言ったからには

                 裁きを、」



直人「ちょっと待ってくれ

   俺は今、後輩の悩み聞いてるんだ

   少し、黙っててくれないか?」


アリーシャ「ナオト様!

   いつまでおふざけになられてるのですか!

   あの場所は冗談で済まされる

   場所なんかじゃありません!!

   って!本当に放して下さい!!」


言いながらジタバタするアリーシャ





おい、聞いたか?


やめろ!お前も裁かれたいのか!?


何考えてるだ!?


ふざけやがって!!


何それ?


ギルド内がサンゴスの言葉で混沌とした状態になる



リアリナ「ナオト様申し訳ありません

    コレばかりはナオト様のお言葉でも

    承知しかねる問題なのです。

    ご容赦下さいますようお願い致します。

    さあ!その者を拘束しなさい!!」



はっ!!!


数人のドリアード族がサンゴスを拘束しようと動き出す。



サンゴス「・・・・・」


直人「・・・・・」


サンゴスは直人を

直人はサンゴスを見つめる


直人はサンゴスの瞳に

迷いの無い【信念】を感じた。



ふっ、、。


直人とサンゴスは同時に微かに口角を上げた。



直人「全員動くな!!!!」



ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンンンン。



ピタッッッ。



直人の魔力を帯びた声により、

アリーシャやリアリナの様な強い者から民衆に至るまでギルド内にいる人々が動きを止めた。

もちろん呼吸は出来るし、瞬きも出来るのだが

身体が動かない

不器用でありながら真っ直ぐな

【想い】が【重く】全身を貫き行動を阻害する。


数千人が静止しているいう異様な光景。


直人はそっとアリーシャをその場に座らせる様に腕から解放するとサンゴスに近づき肩を叩く。



直人「案内は頼んだぞ?」


サンゴス「御意、、あ、

       いや、分かっとるわ!

            コッチじゃ!!」



直人とサンゴス以外微動だにしない中


2人はサンゴスの先導でギルド入り口の転移陣へと向かい



そのまま何処かに転移して行った。





2人が居なくなってから10分後。



メル「ちょっと目を離すとすぐ問題起こす

   だから、、ホントバカだなぁ、、」  


パンパン


う、動くぞ!


どうなってるんだ!?


何だったんだ!?


自由だぁーー!!


ビックリしたぁぁ、、


オラワクワクすっぞ!


メルが手を叩くとそれまで静止していた人々が動き出す。


アリーシャ「はっ!メ、メル様大変です!」


リアリナ「メル様ありがとうございます

     後数分もすれば自然と解除される

     様でしたが、ナオト様があの場所へと

     行ってしまいましたので、早急に対処

     しなければなりませんので、」


メル「うん、知ってるよ

   でもね、このまま直人の好きな様に

   やらせるつもりだから何もしなくて

               大丈夫だよ?」



アリーシャ「そんな!何故ですか!?」


リアリナ「流石にそれは、、」



メル「だってほら、、アレを見てごらん

         もう、、間に合わないよ」


メルが指さす方向へと視線を向けると、その先には、ギルドカウンターの上にある巨大なスクリーンに、強固な結界が張られてる筈の

【忘却の彼方ダンジョン】の中を進む直人の姿がが映し出されたいた。


アリーシャ「結界が!?

  ナオト様はどうやって!あ、いや、

  あの方なら破って通ることが可能か、、

  って事はあの周りは今

   無防備な状態なのでは!?」


メル「うん、それなら大丈夫だよ

   多分、ナオトが結界壊した後、リズが

   修復したんだろうね

   前より強固になってる位だし、、」


リアリナ「それならば被害が外にまで

   広がる事は無いとは思いますが、、

   では、この忘却の彼方ダンジョンの

   ライブ映像は、、」


リアリナが言いかけた時、ダンジョンを進む直人から映像が切り替わり、古ぼけた煉瓦造りの壁を背景にしにサンゴスが1人映る映像に変わった。


サンゴス「こんにちは諸君。

   わしは破滅信徒大司教サンゴスじゃ」


アリーシャ「サンゴス貴様!!」


アリーシャを始めニアやリアリナ、ドリアード達、その他スズリを含む報道関係者や冒険者のエルフなどもサンゴスの登場に嫌悪感を出しながら映像に対して悪態や罵声を次々と浴びせる。

   



サンゴス「この映像は、

   ニース街のモニターと直接繋げて

   流してるライブ映像じゃ、その他、

   ファーシンア国の他の種族の

   一部モニターにも繋げておる」


リアリナ「何を勝手な事を、、

    いえ、まずサンゴスがその様な事を

    出来る事自体あり得ない、、まさか!」


怪訝な表情から、次第に驚愕した表情に変わって行くリアリナ。


メル「そうだよ、、

  おそらくこれは【リズが】手伝ってるよ、、

  マスターがアレだからね

  パートナーのリズもリズだね

  まったく何を考えてるんだか、、」


小声でリアリナの思い付きを肯定するメル。


アリーシャ「な、ならリズ様はこの

  ダンジョンの脅威をご存知なのですか!?」


近くに居たアリーシャが小声のメルの言葉を拾いもしかして知って攻略に挑んだのでは?と希望を持ちながらメルに質問する。


メル「え?知らないと思うよ?」

(まぁ、知らなくてもダンジョンの中に入れば大体のシステムとか把握しちゃうから、無理そうなら早々に撤退するだろうけど、、そうなると、このライブ映像は致命的な風評被害になっちゃうけど、、そこんとこちゃんと考えてるのかな?

リズの事だから直人からお願いされてやっただけな様な気がするんだよねぇ)


メルの心配は見事的中しており、リズは直人に絶大な信頼を寄せているのでこのダンジョンの脅威を気にして無いのが事実である。


サンゴス「皆が知っての通り、

この様な愚行はファーシンア国始まって以来の悪行と言えるじゃろう

しかし!!

最近噂される【救世主】の存在!!

疑い!苛立ち!絶望!

またかと!何度も!何度も!希望を持っては

勝手に裏切られた気持ちになるな事を考えた事は無いだろうか?」


「・・・・」

目を細め無言でモニターを見るメル


「下郎がぁぁ!!」

そう言って激昂しながらここには居ないサンゴスに殺気の篭った血走った目を向けるアリーシャ


「早々に対処すべきでしたね」

一見冷静に見えるが、血が滲むほど硬く握られた拳がその内なる心情を表してるリアリナ


「あ、あなた、、なんて事を、、」

普段のサンゴスからは想像を超える行動に驚き、戸惑い、悲しむアネスラ


「こんな奴に何故ナオト様は、、」

サンゴスに協力してるであろう直人とリズに疑問を抱くニア


「みんなが強いわけじゃない、、

  だから言ってる事は分かる、、でも、、

  【わざわざ】サンゴスさんが映る意味は?」

報道部に所属している為、サンゴスの行動に疑問を感じるスズリ


突然始まったサンゴスの中継に様々な思いを抱きながら注目し始める。





サンゴス「少なくともわしはそうじゃった!

だから匿ってるドリアード達を問いただし

同志達と共に【救世主】がその姿を現させる事に尽力した!

そしてその強き思いが身を結び今日、偽物であろう【救世主】に【試練の儀式】という名の

化けの皮剥がしを決行する瞬間が訪れた!


じゃが!この国は間も無く【破滅】する!


ならば生半可な希望はいらない!!


だからこそ!この【忘却の彼方ダンジョン】で

完膚なきまでに何処にも【希望】などはありはしない事を証明する!!


賽は投げられた!!


愚かな救世主はダンジョンへ入った!


わしはその無様な姿を見届ける!!


たとえこの身が滅びようとも!!



しかし、、、


万が一、、いや、、皆無ではあるが、、


あの者が、、このダンジョンに潜む【悪夢】に勝つ事が出来たのならばその時は、、、いや、、


そんな【奇跡】などありはしない!


そう!だからこそ!

これは我ら破滅信徒が正しいと証明する儀式でもあるのじゃ!


刮目せよ!


【救世主】と呼ばれる者の最後の瞬間を!!


ふははははははははははははははははは!!」



両手を広げ、目を見開き狂った様に笑うサンゴス


そして映像はまた切り替わり

直人がモンスターに囲まれてる場面となった。


なんとっ!


そんなっ!?


救世主さまぁぁ!!


いやァァァ!!


おのれサンゴスゥゥゥゥゥゥ!!


阿鼻叫喚とはこの事であろうか


狂った様に笑うサンゴスの次に流れた映像がモンスターに囲まれてる映像である事から、次の瞬間には直人がモンスターに無残に殺されるであろう姿が容易に想像出来るのだから。


そう、それも無理は無い、直人を囲んでるのは異形の化け物であり、

この【忘却の彼方ダンジョン】を封印する原因となったRANK4の全身が黒く所々黄色に光る線が入っており、

人の顔の様なモノが幾つもある【クラゲ】の様なモンスターが見える範囲だけでも十数体が直人を囲んでおり


RANK4といえば、

1体倒すのに英雄クラスなら数人

準英雄クラスなら数十人は必要なレベルであり

エルフ族最強のアリーシャでさえ

1体倒すのは容易な事ではないのだ

それが十数となれば結果は火を見るより明らかなのは目に見えており、少なくない人々がもうすぐ始まる残虐シーンから目を背けてたり

目を閉じ、耳を塞ぎしゃがみ込んで泣いている者さえ居た。



ライブ映像に映る直人は、モンスターに囲まれながらゆっくりした動作で右手に斬魔刀を出現させ


それを、合図にするかの様にモンスター達が一斉に叫び出した。


おおあがああああぎあおにやがおおああお!!!


うわぁぁ、、

いやぁぁ!

もうダメだぁぁ!

やだぁぁ!

た、助けてぇ!


モニター越しに聞いてるにも関わらず【恐怖】に陥る人々、殆どの人々が震え、怯えながら諦めの言葉や命乞いの言葉を言う中、強者である一部の者達。


アリーシャ「ナオト様ーー!!」


リアリナ「ナオト様、、」


ニア「ナオト様!?」


メル「直人、、」


直人をよく知る人物達でさえ、直人の置かれてる状況に希望より諦めにも似た絶望感を持ちながらモニターを見つめていた。



そして遂にモンスター達が一斉にその一本一本が人の腕程ある触手を数百本同時に直人に殺到させた。



見ている者全てが息を呑んだ瞬間だった。



その時、僅かな時間直人の顔がアップにされその顔は



ニヒルに【笑って】いた。



キィーーーーーーーーーーン!!!!


耳鳴りの様な音が鳴り響く。



え?



と誰かの声が恐怖心に囚われ騒がしいギルド内に不思議と響いた。


そう

モンスター達の一斉攻撃は直人を中心に2m手前で全て消失しており、360°からの攻撃が一向に1つも直人に届いて居なかった。


10分後


一向に終わらない戦闘

アリーシャ「す、凄い、、」

リアリナ「近接技術は凄まじいですね、しかし」

ニア「全く見えないわ、、」

メル「これほどなのね、、」


        


20分後


触手が消失する度に再生し、再生するとまた鋭く太い触手が攻撃するのを繰り返す


流石に様子がオカシイと1人また1人とモニターを見つめる。


当たってないのか?

んな筈ねぇだろ!全て防いでるんだよ!多分。

凄いけどヤバイんじゃないのか?

防いでるだけで手一杯だよな、、




30分後


変わりばえのしない戦闘ではあるが、直人が時折ラグジュアリースモークを吸ったり


え?余裕なの?

おい!あれを見ろ!

何をしているんだ?

何という技量と体力だ、、


ほぼ全ての人々が恐怖状態から回復し、直人のライブ映像に釘付けとなる



40分後


直人は魔力で作った剣を2本作り、その剣が縦横無尽に動き回りモンスターの触手を切り飛ばして行く、一見2本の剣は宙に浮いてる様に見えるが

実はモニターからは確認出来ない程細い魔力糸が剣の柄から伸びて、直人の背中に繋がっている。


う、浮いて?

何処から出したんだ!?

アレは魔力剣?

出力が大きすぎる!もたないぞ!?

RANK4だよな?

あぁ、、その筈なんだけど、、

全く寄せつけて無いな、、




50分後


更に4本剣を作り攻撃に参加させる

合計6本の剣が暴れまくるが


直人は欠伸をしていた。


おいおい、ありゃぁどう言う事だ?

魔力量が桁違いだ!?

でも

「「「「魔力が勿体ない!!!!」」」


そう、技量、力、量、全てが規格外の強さを見せつけているが、魔力の扱いには無駄が多く、魔力技量が高いエルフ達やドラアード達から見ると凄く贅沢で勿体ない使い方をしているのが分かる。


2時間後


ギルドだけではなくニースの街の様々な場所で直人のライブ映像が流れ、やるべき業務を忘れ大勢の人達が注目していた。


直人は更に剣を増やし、合計100本の剣を操り、モンスターの攻撃を突き、切り、払う

最初は高速過ぎて見えなかったモンスターと直人の攻防も、魔力剣の数が増えた事で、子供から大人までその圧倒的な戦闘風景を理解した。


それまでモンスターをボンヤリ見ていた直人がニヤリと笑うとカメラの方向へ顔を向ける。



そして。



直人「俺の名前は【ナオト ミカゼ】

  アホな後輩サンゴスが自分を悪者にして

  俺が【本物】の【救世主】だって事を

  証明する為、この攻略不可能とされてた

  ダンジョンに俺をワザワザご招待した

  らしいが、、、バカだよな、、、

  そんな事しなくても」



再度虚空から斬魔刀を出す直人。



その周りでは100本の魔力剣が舞っている。



誰もが息をするのも忘れて映像に釘付けとなり

直人の言葉を待つ。


ズドッ!!シュバアアアアアアァァァァァン!!


何をしたのか分からない


でも


そんな斬撃音と共に全てのRANK4クラゲ型モンスター達が細切れとなり、衝撃で吹き飛ぶ。


斬魔刀を軽く振るった直人


その背後には巨大な翼の様に形造って綺麗に宙に浮かびながら静止している魔刀剣。


その姿は神々しく


誰もが言葉を失って見つめる中


カメラに向き直り、笑いながらこう言った。


直人「俺は【本物】だよ」



その瞬間


ニースの街が人々の叫び声の様な歓声で揺れた。






     

     

   


          



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