7 使命
女神様はまず、深々と頭をさげた。
「すみません、私の手違いで、あんな危険なところに生き返りをさせてしまいました。それに、あなたに使命を伝える巫女すら、そこに向かわせることができませんでした…」
はーい、第一感想。
この人、ドジ?
つまりあれか、アヴェル来てなかったら本気で死んでたわけか。…あとでもう一回お礼言っておこう。
「…使命? もしかして、転生の直前に”やらなければならないこと”って言ってたの、使命だったの?」
「はい、身勝手ながら、あなたの運命を軽く曲げてしまいました」
…軽くなのか、本当に。
「あなたは本当は普通の人生をとげて、普通に生を終える人生でした。しかし、事情があって、あなたの――」
「待って!!」
今、聞捨てならないことを聞いた気がする。
「…え、つまり、あんた…私を殺したってこと?そっちの勝手な事情で?」
「う…」
女神様が目を伏せた。
「…なにそれ。それが神様のやることなの?」
「すみません…ほんとうに、申し訳ございません」
土下座をする勢いで何回も頭をさげる女神様。
やりきれない思いで、それを私は見つめた。
「ですが、あなたにはやらなければならないことがあるのです。それをしなければ、あなたの命はおろか、あなたのいた世界も、この世界も、全て消えてなくなってしまうのです」
…少ない犠牲で多くの命を救うってことか。
私は溜息をついて、とりあえず疑問をぶつける。
「…やらなきゃいけないこと、って何?」
「…はい。冥界、というのをご存知ですか?」
「死者が行く場所…ってヤツ?」
「はい、そこには、あなたのいた世界の住人も、この世界の住人も、すべて死したら行かねばならない場所です。そして、そこで今、大きな問題が発生しています」
あー、もう、どんどん胡散臭くなってきている。
同時にめんどくさそうになってきている分、余計タチ悪い。
「問題?」
「一部の人間にしか知られていないことですが、冥界で死者が国家に近いものを作って、こちらの生きし世界を攻め込もうとしているのです」
「…それはまた…」
つまり、そいつらを狩れということか。
…めんどくさいなぁ。
「でも、別に私じゃなくていいんじゃないの?もっと強い人とか、沢山居るでしょ?」
「いえ、あなたには類い稀なる瘴気への耐性があります」
「瘴気?」
「冥界に充満する、いわば毒、みたいなものでしょうか」
女神様の説明をまとめるとこうだった。
いわく、死者をまとめるリーダーのところへ行くには、必然的に冥界へいかなければならない。すると、瘴気に耐性のある者が必要となる。瘴気とは、冥界に充満する毒みたいな空気。人を魔人とし、獣を魔獣としてしまう。そして、たまたま瘴気に耐性がありすぎる私を見つけた女神様が、冥界の存在を信じられていないむこう(私がいた世界)より、こちらに引きずり込んで仲間を見つけて助けてもらったほうがいいだろうと判断し、こちらに連れてきた、ということだそうで。
ついでに、なぜ殺さなければならなかったのかというと。
「この世界とあなたのいた世界が唯一交わる点が冥界へいく道です。なので、一度死んでからこっちへ引きずり込むしか方法がありませんでした」
ということらしい。
「でも、どうして冥界の人間がこちらに攻め込んできたら世界が消滅するの?」
「それは、世界の均衡が保てなくなるからです。死したものにはいくべきところがあり、生あるものには在るべき居場所がある。そういうふうにできているんです」
めんどくさい世界だなぁ…。
「とりあえず、何をすればいいの?」
「各国の神殿を回って力を集めたほうがいいでしょうね。その道中に仲間も見つかるでしょう。…そろそろ時間です、頑張ってください」
「ああ、うん、ばいばい」
とりあえず、目的は分かったのでうなづいておいた。
フッ、と女神様の姿が消え。
私の視界が白く光り、何も見えなくなった――。
女神様、あなた…
というわけで、使命、ようやく決まりました!
頑張れ、アクア!(笑




