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そんな私の別人生。  作者: 久留間水樹
妖精の里編
46/47

44 妖精の里/作戦



A,part


 30分ばかし歩くと、そこには大木があった。

 リィの小屋がある木よりも大きな、とても大きな木。


「ふわぁ…でっかいねー」


 私がそう呟くと、リィはニヤニヤ笑って木の中に”消えた”。


「…え?」


「まま、はやくー」


「え?いや、ちょ、待って!?なんか、消え、たよ!?」


「いいからー」


 ぐいぐい、とモアは私の背中を押し、大木へと近づける。


「ちょ、ま、っ、」


 そして、ぐにゃり、と通り抜ける感触。

 一瞬視界がくらくなり、そして、次の瞬間には綺麗な世界が広がっていた。


「…う、わぁ…」


 ぺたん、と脱力したように私は尻餅をついた。

 すると、リィが目の前にニヤニヤと笑って近づいてくる。


「どうだ?吃驚したか?」


「吃驚、っていうか…その、わけわかんなかった…」


 そうだろ、とリィが笑う。

 そこで、どし、と背中に体重がのしかかり、私は前につんのめった。


「ままー!びっくりした?びっくりした?」


「うんうんした。だからどういうことか説明しなさい」


 モアはえーっとね、と人差し指を顔に寄せた。なんだそれ可愛すぎる。

 

「ここはね、姫の住む、ままでいうきゅうでんってやつ。こここそが、本当の妖精の里」


 そして、リィとモアは二人で方を並べ、私に手を差し出した。


「「ようこそ、妖精の里へ」」



B,part


 

 そろそろヴェテアの王がこちらにくるだろう、と神無と話し合い、王の護衛という役割で謁見に立ちあい、隙を見ていろいろ尋問しよう、ということになった。

 なので、今は宮殿に向かっている。


「ところでアヴェル様」


「なんだ?」


「王とは旧知の間柄のように伺えましたが、それはどうしてですか?」


「…、・・・」

 

 少し、言葉がつまった。

 あの頃のことを、思い出した。


『どうせ、みんなわっちを殺すつもりなのじゃ!』


 あの王の言葉に、イーリスがぶっ叩いたことも。

 三人で、遊んだことも。


「昔、イーリスと一緒に王の世話役みたいなのをやっていたんだ。それだけだ」


「そうですか…」


 納得がいかなそうな神無だったが、それ以上は突っ込んでこなかった。

 そうしているうちに、王の元へとたどり着いた。


「アヴェル!神無!どうしたのじゃ?」


 王が俺達に気づくと、嬉しそうに声を上げた。


「近々ヴェテアの王が謁見にくるのではないですか?」


「おお。・・・なぜじゃ?」

 

 その問いに、神無が答えた。


「ヴェテアの王が、巫女殺しと襲撃の犯人です」


「…!?なんと・・・」


 王は驚いたように声をあげ、それからうーむ、と考え始めた。

 

「それで、ぬしらは何が望みじゃ?」


「その謁見で、護衛を」


「・・・成程の」


 それだけで理解したらしい。

 相変わらずの聡明さだ。


「わかった。よかろう。謁見は明後日じゃ。それまでにくれぐれも気をつけよ」


 はっと俺はその命に応じた。

 神無もこく、と頷く。 

 帰ろうとした俺達に、王がそうじゃ、というように声をかけた。


「イーリスに、いつか、会えるかの」


 それは、あの頃のような声音。

 王ではなく、”ランル”としての、問いかけだった。

 だから俺も、あの頃と同じように応じる。


「ああ。また、きっと会える」


「そうか!」


 ”ランル”は嬉しそうに笑った。

 それ以上は何もないようだった。

 神無と俺は、また、街へと戻った。

 

 


 


 

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