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そんな私の別人生。  作者: 久留間水樹
妖精の里編
45/47

43 仕組み/大巫女とは

A,part


 中は普通の人間仕様だった。

 ちょっと残念だった。


「昔あたし、これでも人間に使えてたことがあるんだよな。そのとき結構気に入っただけだ。ま、もう一生仕えてなんかやらねーけど」


 だそうで。

 リィは私に服を差し出した。薄い白い生地をベースとした普通のワンピースみたいなものだ。

 それに着替え、今まで来ていた服を鞄の中に入れる。


「少し休んでいくか。ここからまだ姫のとこには距離あるしな」


「うん。それがいいとおもう」


 モアが同意したので、リィは奥に入って温めたミルクのようなものを持ってきた。一応私がずぶぬれ、ということもあるのだろうか。そう考えると彼女の好意は嬉しく思う。

 それをずず、とすすりながら私は質問した。


「そういえば、モアの家はどこにあるの?」


「もあ?もあのいえはね、ここから姫のとこを超えた、さらに向こう。けっこうとおいんだよ」


「そうなんだ」

 

 仲がいいから、てっきり近くに住んでるのかなって思ってたんだけど。

 それを伝えるとリィははは、と笑った。


「この里は皆が家族みたいなもんだ。人間とは違うのさ。だから遠いとかは関係ないんだ」


 そういうものなのか。

 ミルクを飲み終えると、リィはカップを持ってまた奥に入った。洗ってくれるらしい。


「今更だけど、どうしてリィは私達がここにくるって分かったんだろう?」


「んーとねー、通路アイルを使ってこの里へくるとき、感知器センサーにはんのーして、それを姫が察知して、で、試験を受けさせるの。それに合格したら、この里へはいれることになってる。そのときに、水路ワープを使って誰か一番その人に近しいものを姫は良く連れていく。察知したときにもあって気づいたから、姫はリィを水路ワープで運んだんだと思う」


「…???」


 センサー?ワープ?

 よくわからない単語がポンポン出てきて、私は首を傾げた。

 モアは私がわかっていないと察したらしく、さらに噛み砕いて説明しよとする。


「まま、”水の波紋ウォーター・リップル”ってまほー、つかえるでしょ?」


「え?うん」


 水の波紋。

 波紋状の薄い魔力を広げて、魔力とかを感知する魔法。

 

「それの同類みたいなまほーが、扉には仕掛けられている。それを、もあたちは感知器センサーと呼ぶ。ここまでは、わかる?」


「うん、なんとなく」


「で、それがもあだった。それを知った姫は、リィを連れてきた」


「えーっと、どうして?」


「ただ単に、ともだちにあわせようとしただけだとおもう」


 あれか、親切心か。

 ・・・友達、ね。

 あー、イーリスとかに会いたいなぁ、とか。


「それで、試験っていうのは?」


「人間がこの里に入るためには、姫にきにいられるしかない」


「へぇ・・・、じゃあ、私は気に入られたのかな」


「うん」モアはこく、と頷いた。「ままは気に入られた。それも、すっごく。だって、わかるもん。ままの魔力は、ままの世界は、とっても綺麗で、哀しいから」


「…、?」


 哀しい?

 どうして、ときこうとしてリィが戻ってきた。

 なんとなく、その話題は消えた。


「じゃあ、行くか」


「うん」


 モアが頷いて立ち上がったので、私も一緒に立ち上がった。

 モアの髪の毛が、何故か悲しげに揺れていた。




B,part




 結論から言おう。

 珠の主が出てこなかった。


「なんでだ」


 俺はだん、と酒をテーブルにおいた。

 神無は横でがじがじと干肉を噛んでいる。気に入ったらしい。さっきからずっとそれを食べている。


「まあ、必要になれば現れるはずです」


 そうかもしれない。だが、そうじゃないかもしれない。

 俺は溜息をついて、神無が食べている皿から干肉を頂戴した。


 あのあと、魔方陣を描き、その真ん中に珠をおき、神無にいわれるがままにキチンと”儀式”をやったはずだ。

 だが、何度呼びかけても珠の主は出てきてはくれず、むしろ神無がいうには”そっぽをむいている”ならしかった。

 なぜだろう、と思う。

 何が、主には気に食わなかったのだろうか。


「珠の主はそこらへんの妖精などとは違います。神の使いという点では同じですが。珠に込められた力は”神の力”。妖精は自然淘汰出てきた力の塊。簡単には心を開かないし、簡単には契約には応じませんでしょう」


「…そうか、そうだな・・・」


「まあ、本当に必要なときは、私の力で無理やり応じさせますが、貴方と珠の主との間に亀裂が入って欲しくないので、避けたいところです」


 ふと、考える。

 大巫女。

 それは、人間を捨てて神の器と化した、4人の文字通り神子。

 神無かんな神生かんき神座かんざ神徒かんと

 それは、それぞれの国のありようを示している。

 神無は風の国の大巫女。”神無きにして我ら在らず”――創生。

 神生は水の国の大巫女。”神が生みし我らは神聖でなくてはらなぬ”――神聖。

 神座は火の国の大巫女。”神の座を奪いし時我らの悲願は達する”――傲慢。

 神徒は雷の国の大巫女。”神の徒である我らは神に身を捧げる”――信仰。

 故に風の国では芸術が発達し。

 水の国では神聖なものが沢山作られ。

 火の国では富豪が多く。

 雷の国では狂ったような信仰が掲げられている。

 

「?どうかしましたか?」


 神無は干肉を食べる手をとめ、首をかしげた。

 考え事をしているときにじろじろ神無の方を見ていたらしい。

 すまない、と謝ると神無はまた首をかしげた。

 わからない、というように。


「お前、本当に大巫女なのか?」


「はい、大巫女です」


 神無は当然だ、というように答えた。

 俺は苦笑して、そうには見えないな、といった。

 

 こんな時だというのに、それは、すごく平和な時間だった。

 






更新めっちゃ遅れてすみませんっ!!

2回も消えて書く気力がもうすり減ってたんです(苦笑

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