43 仕組み/大巫女とは
A,part
中は普通の人間仕様だった。
ちょっと残念だった。
「昔あたし、これでも人間に使えてたことがあるんだよな。そのとき結構気に入っただけだ。ま、もう一生仕えてなんかやらねーけど」
だそうで。
リィは私に服を差し出した。薄い白い生地をベースとした普通のワンピースみたいなものだ。
それに着替え、今まで来ていた服を鞄の中に入れる。
「少し休んでいくか。ここからまだ姫のとこには距離あるしな」
「うん。それがいいとおもう」
モアが同意したので、リィは奥に入って温めたミルクのようなものを持ってきた。一応私がずぶぬれ、ということもあるのだろうか。そう考えると彼女の好意は嬉しく思う。
それをずず、とすすりながら私は質問した。
「そういえば、モアの家はどこにあるの?」
「もあ?もあのいえはね、ここから姫のとこを超えた、さらに向こう。けっこうとおいんだよ」
「そうなんだ」
仲がいいから、てっきり近くに住んでるのかなって思ってたんだけど。
それを伝えるとリィははは、と笑った。
「この里は皆が家族みたいなもんだ。人間とは違うのさ。だから遠いとかは関係ないんだ」
そういうものなのか。
ミルクを飲み終えると、リィはカップを持ってまた奥に入った。洗ってくれるらしい。
「今更だけど、どうしてリィは私達がここにくるって分かったんだろう?」
「んーとねー、通路を使ってこの里へくるとき、感知器にはんのーして、それを姫が察知して、で、試験を受けさせるの。それに合格したら、この里へはいれることになってる。そのときに、水路を使って誰か一番その人に近しいものを姫は良く連れていく。察知したときにもあって気づいたから、姫はリィを水路で運んだんだと思う」
「…???」
センサー?ワープ?
よくわからない単語がポンポン出てきて、私は首を傾げた。
モアは私がわかっていないと察したらしく、さらに噛み砕いて説明しよとする。
「まま、”水の波紋”ってまほー、つかえるでしょ?」
「え?うん」
水の波紋。
波紋状の薄い魔力を広げて、魔力とかを感知する魔法。
「それの同類みたいなまほーが、扉には仕掛けられている。それを、もあたちは感知器と呼ぶ。ここまでは、わかる?」
「うん、なんとなく」
「で、それがもあだった。それを知った姫は、リィを連れてきた」
「えーっと、どうして?」
「ただ単に、ともだちにあわせようとしただけだとおもう」
あれか、親切心か。
・・・友達、ね。
あー、イーリスとかに会いたいなぁ、とか。
「それで、試験っていうのは?」
「人間がこの里に入るためには、姫にきにいられるしかない」
「へぇ・・・、じゃあ、私は気に入られたのかな」
「うん」モアはこく、と頷いた。「ままは気に入られた。それも、すっごく。だって、わかるもん。ままの魔力は、ままの世界は、とっても綺麗で、哀しいから」
「…、?」
哀しい?
どうして、ときこうとしてリィが戻ってきた。
なんとなく、その話題は消えた。
「じゃあ、行くか」
「うん」
モアが頷いて立ち上がったので、私も一緒に立ち上がった。
モアの髪の毛が、何故か悲しげに揺れていた。
B,part
結論から言おう。
珠の主が出てこなかった。
「なんでだ」
俺はだん、と酒をテーブルにおいた。
神無は横でがじがじと干肉を噛んでいる。気に入ったらしい。さっきからずっとそれを食べている。
「まあ、必要になれば現れるはずです」
そうかもしれない。だが、そうじゃないかもしれない。
俺は溜息をついて、神無が食べている皿から干肉を頂戴した。
あのあと、魔方陣を描き、その真ん中に珠をおき、神無にいわれるがままにキチンと”儀式”をやったはずだ。
だが、何度呼びかけても珠の主は出てきてはくれず、むしろ神無がいうには”そっぽをむいている”ならしかった。
なぜだろう、と思う。
何が、主には気に食わなかったのだろうか。
「珠の主はそこらへんの妖精などとは違います。神の使いという点では同じですが。珠に込められた力は”神の力”。妖精は自然淘汰出てきた力の塊。簡単には心を開かないし、簡単には契約には応じませんでしょう」
「…そうか、そうだな・・・」
「まあ、本当に必要なときは、私の力で無理やり応じさせますが、貴方と珠の主との間に亀裂が入って欲しくないので、避けたいところです」
ふと、考える。
大巫女。
それは、人間を捨てて神の器と化した、4人の文字通り神子。
神無、神生、神座、神徒。
それは、それぞれの国のありようを示している。
神無は風の国の大巫女。”神無きにして我ら在らず”――創生。
神生は水の国の大巫女。”神が生みし我らは神聖でなくてはらなぬ”――神聖。
神座は火の国の大巫女。”神の座を奪いし時我らの悲願は達する”――傲慢。
神徒は雷の国の大巫女。”神の徒である我らは神に身を捧げる”――信仰。
故に風の国では芸術が発達し。
水の国では神聖なものが沢山作られ。
火の国では富豪が多く。
雷の国では狂ったような信仰が掲げられている。
「?どうかしましたか?」
神無は干肉を食べる手をとめ、首をかしげた。
考え事をしているときにじろじろ神無の方を見ていたらしい。
すまない、と謝ると神無はまた首をかしげた。
わからない、というように。
「お前、本当に大巫女なのか?」
「はい、大巫女です」
神無は当然だ、というように答えた。
俺は苦笑して、そうには見えないな、といった。
こんな時だというのに、それは、すごく平和な時間だった。
更新めっちゃ遅れてすみませんっ!!
2回も消えて書く気力がもうすり減ってたんです(苦笑




