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そんな私の別人生。  作者: 久留間水樹
妖精の里編
43/47

41 リィ/予言



A,part


 バッシャーン!

 勢い良く水が飛び散って、そこには水も滴るイイ女が!

 …じゃなくて。


「うげ。びしょびしょだ」


 扉をくぐり抜けたと思ったら、噴水みたいなところへ私は尻餅を付いていた。

 目の前を見ると、モアがぽかんと口を開けて私を見つめていた。

 そして、瞬間、お腹に衝撃が。


「ままーっ!!」


「うおうっ!?」


 モアが半泣きで私に抱き着いてきた。

 あーうん、とりあえず離れて欲しいかも。モアも濡れちゃうし。


「よかったーっ!もあ、心配してた!姫がもしままのこと嫌って消しちゃったらどうしよーって!!」


「姫…って、”なまえのない、このさとのおひめさま”?」


「うん!まま、あったでしょ?」


「まあ、うん。なんか、不思議な子だったね」


「えへへー」


 なんで君が照れるのかなー?

 …って、アレ…?


「なんか、生えてる…」


 モアの背中には、いわゆる妖精の羽みたいなのが生えていた。

 それは淡く蒼色に光って、きらきらと日光を反射していた。


「うんっ!ほんとはね、もあね、この里での本当のすがたにもどろうかなって思ったけどね、ままがわかりにくいかなって思ったからこのままにしといたの!」


 ほー、それはありがたやありがたや。

 

「でも、さすがに羽は消せなかったからしょうがないの!」


 何がしょうがないんだろうねー。

 とりあえず、噴水からあがろうか。

 噴水からあがると、妖精の里の景色が辺り一面に広がる。


「…うわぁ…っ」


 光の世界。

 すべてのものが息づき、鼓動する。

 花は大きく花びらを開き、湖は水面を輝かせ、そこは、なんて。


「綺麗…」


 幻想的でありながら、現実味を帯びた、不思議な感覚。

 モアが隣でにっこりと笑った。


「うんっ!」


 そのとき、目の前に金色の髪をした妖精が現れた。


「よっ!えーっと、今はモアだったっけか?久しぶりだな」


「わわっ!リィ、お久しぶりっ!」


 嬉しそうにモアはリィと呼んだ、短髪の男勝りな口調の女の子(もちろん妖精)に抱きついた。

リィはうりゃーっ!とモアの頭を掻き回した。

 …なんか、イーリスを思い出すなぁ。なんでかわかんないけど。


「・・・と、こちらさんはモアの契約者か」


「あ、うん。アクアっていうの。よろしく」


「へーぇ。こいつが世話になってんだな。あたしからもよろしく頼むぜ」


 どちらかというと、姉御、なのかもしれない。

 リィはモアを引きはがすと、ついてこい、と笑った。


「?どーして?」


「まずおめーの契約者はびしょ濡れだ。あたしたちはともかく人間は濡れてると風邪をひくと向こうで習った」


「ほーほー」


 リィの説明に成程ー、とモアは頷く。


「そして、おめーが戻ってきたっていうことは、なにかあるんだろ」


「うん、せーいかいっ!」


 モアはまた大きく頷いた。

 リィは今度は私に向けて笑った。


「こいつの契約者だと大変だろ?」


「・・・ま、それなりに、ね」






B,part






 しかし、どうやって敵勢力を調べよう。

 俺が悩んでいる時だった。


「予言をしましょう」


 宿につくなり神無がそう言った。 


「……あ、ああ」


「もしかして、何も考えもせずにあの依頼を引き受けたのですか?」


 彼女にしては珍しく、呆れたように溜息をついた。

 そして、がさごそと持ってきた荷物から水晶を取り出す。


「予言、か。初めて見るな」


「普段は神殿で行われていることですから」


 その水晶を神無は風を使って宙へ浮かし、目をつぶって真言マントラ、俺たちに例えると詠唱を呟いた。

 俺達の使う言語とは違い、真言は古代の言葉、古語から成り立っているので、覚えるのが凄く難しいのだそうだ。

 その真言を、神無はすらすらと唱えた。さすが大巫女、神の器とでもいうべきか。


「・・・敵の主力者を、調べればよろしいのですね?」


「ああ。よろしく頼む」


 神無はすっと息をつき、カッと目を開いた。

 通常の紫の瞳ではない。銀色の、光輝く瞳だ。

 それと同時に、水晶から光がほとばしる。


「・・・見つけました。・・・この人は・・・見たことがあります。雷の国から少しばかり離れた、中型の国、ヴェテアの王、です」


 そこまでいって、コロン、と水晶玉が宙から落ち、同時に、神無が崩れ落ちた。


「大丈夫か!?」


「・・・神殿以外で使うのは、初めてでしたから。神殿だと、神の力を借りやすいので予言はここまで困難ではなかったのですが・・・すみません」


「いや、いい。主力者が分かっただけでも十分だ」


 どうやら、やはり大巫女の力の根源は奉っている神――神無なら風神――のようだ。その力を受けにくいほど、つまり遠く離れれば離れるほど、力は弱まる。


 しかし、ヴェテアか。

 ここからだと、少し、いやかなり遠い。

 アクアの存在もある。アクアが帰ってきてからの方が行くのはいいのかもしれない。

 ――いや。


「アクアが帰る前に、終わらせよう」


「…わかりました。すぐに、ヴェテアへ向いましょう」


「ああ、そうだな」


 それだけ意図は伝わったようだ。

 神無は水晶を荷物袋に戻し、支度をし始めた。


 もしアクアが目的ならば、アクアに行かせるのはまずい。あいつなら、もし危険に陥ったとき、自分を囮に逃げろ、と言いかねない。


 俺はアクア宛てに伝言を残し、神無に見習って支度を始めた。


 



一個一個が長いので、更新遅くなると思います

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