38 新勢力
その時だった。
神無が、バッと右手を上げ、声高々に言い放った。
「”風に舞う永久の神よ、今こそ我に力を与えたまえ 払いのけろ、邪悪なものを 退け、不埒な輩どもよ”!」
轟、と竜巻がドアをぶち破る。
そして、ドアの向こうに群がり、得物を構えていた男たちが一斉に倒れた。
「…敵…?」
「そうです、敵です。あなたを狙う輩です」
神無はあれだけの魔法を使ったというのに、顔色ひとつ変えず、無表情で肯定する。
アヴェルがそういえば、と思い出したように声をあげた。
「巫女を殺した犯人が、未だに分かっていなかったな」
「え!?フラムさん達じゃないの!?」
てっきりフラムさん達かと思っていたのに。
フラムは頭を振って否定し、
「だとしたら、お前が起きてから攻撃すればいいだろう。あいつらの目的はお前だったんだから」
たしかに、と思う。
いちいち警戒させる意味がない。
ということは。
「フラムさんとは別の勢力が、私か、あの神殿かを狙っているってこと?」
「そうなるな」
私は頭を抱えた。
ああ、なんだってこう、めんどくさいんだ。
「それは困ります。神殿は神の降り立つ神聖な場所なのに」
どこかずれているようなことを言っている神無も、一応その犯人には憤っていたらしい。
「それに、私の部下、ひいては神の使いになるはずだったものを殺した罪は許せません」
神無は少し口を引き締めて言った。
っていうか。
「どこから私が力を集めているのが漏れたのか、それが知りたい」
「たしかにな。どこか裏で何かが起こっているんだろうが…神と対等に渡り合えるものぐらいしか、神の秘密は聞けないはずだ」
ここでいう神の秘密とは、秩序の神が私に力を集めるように言ったことだ。
「例えばですが。私の同類が操られていたとしたら、どこかに漏れるということがあります」
「大巫女を操る?」
アヴェルが驚いたように神無をみると、神無は頷いた。
「神の秘密を知る者、といえば我ら大巫女くらいでしょうから」
成程な、とアヴェルは頷いたが、私にはさっぱりわからない。
「つまり、大巫女さんを操れるくらい強い人が、なんか企んでて、それが、巫女殺しにつながったってこと?」
「ああ。そうなると厄介だ」
「?なんで?」
それには神無が答えた。
「大巫女が操られるクラスの魔法使いがいれば、それだけで脅威ですし、私達が操られれば、その国の未来すら歪めてしまいます」
そういえば、大巫女は王と対等なものだった。
王様が操られていると考えたらわかりやすい。
…たしかに、やばいだろうなぁ。
そして、その人たちがさっき私達(?)を狙っていたのだとしたら。
もっと、やばい。
「多分先ほどの輩は下っ端でしょう。すぐにけちらされましたから」
「だろうな。そして、下っ端を出せるということは…」
「組織的なもの、かもね」
意外と、大事なのかもしれなかった。




