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そんな私の別人生。  作者: 久留間水樹
それぞれの出会い編
37/47

35 再び



 死体、反応しちゃだめ。

 アれハチガう。チがうカラ。ダイジょウブだカラ。

 アレハ、×××××ジャナイカラ。

 

「ああ、アクアさん、死体が苦手なんですね」


 ぽい、となんてことないようにフラムさんは死体を放り投げた。

 体が痙攣した。

 あまりの酷さに、吐きそうになる。


「…やはり、わっちの見立ては正しかったようじゃの」


「ランル!?」


 ランルが、風を纏い私達の頭上に浮かんでいた。

 

「居なくなってたし、てっきり帰ったのかと…」


「ああ、わっちも暇ではないので帰っていたのじゃが、嫌な予感がしてな。戻ってきたのじゃ」


 フラムさんはランルをみて、それでも笑った。

 その笑いに、嫌悪を覚える。


「女王ともあろうお方が、たかが騎士の反乱で出迎えてくれるとは。豪勢なことですね」


「ふん。たかが騎士ではないことはぬしも承知じゃろう。なぁ?騎士長よ」


「…騎士長って…」


 それには、アヴェルが答えてくれた。


「騎士たちの長。女王と大巫女に次ぐ、No.3だ」


 下っ端騎士と言っていたくせに。

 私は、フラムさんを睨みつけた。


「どうして、言ってくれなかったんですか?」


「まだ貴方を信用した訳ではなかったのでね。ほら、今も敵同士だ」


 後ろで、また爆発音。

 巫女の間が、半分吹っ飛んだ。

 

「…おやめください。神殿が壊れます」


 神無がようやく口を開いた。

 言葉の端に、小さな怒りが見えた気がした。

 そして、今まで黙っていたモアも、フラムさんを睨みつける。


「そなた、我の前に表すとはいい度胸だ」


「ああ、いたんですね、愚かな神の使いよ」


 モアが殺気を隠すことなく放出させた。フラムさんはそれを笑って受け流し、私に向き直った。


「どうですか、アクアさん。この破壊をやめてほしかったら、僕のところへ来ませんか?」


「…なんで、私なんですか?」


 私の問いに、フラムさんはくつくつと笑った。

 …この人、ずっと笑っていて、気味が悪い。


「そりゃあ、あなたに惚れているから、とでも申しましょうか」


 その瞬間、後ろで何かが動いた。

 そして、金属音。


「アヴェル…っ!?」


 いつの間にか、アヴェルとフラムさんが対峙している。

 後ろで動いたのは、アヴェルだったらしい。


「ふざ、ける…なっ!」


「ふん。貴様もやはり同じか」


 ぎりぎりと押しては押され、押されては押すという攻防が繰り広げられる。

 アヴェルは、何かに怒っているみたいだった。

 それが分からず、おろおろしていると、ランルは地に降り立ち、私に命令した。


「お前は、消火をしておくれ。水神のホーリーじゃ。お手の物じゃろ?」


 私はこく、と頷き、モアと共に消火へいく。

 見ると、ところどころに煙が立ち上っている。

 私は、そちらへ向かって走り出した。


 水を精蔵し、それを上からばらまく。できるだけ火があるところにのみ。水の防御膜で身を守りつつ、私は火の中に飛び込んだ。


「まま!?」


 一緒に消火していたモアが驚いたように声をあげた。そりゃそうだ。ある意味、これは自殺行為だから。

 でも、まだ中に人がいるかもしれない。

 私は、火の中をくぐり抜け、生き残っている人たちを探しに突き進んだ。




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