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そんな私の別人生。  作者: 久留間水樹
それぞれの出会い編
36/47

34 弱さ



「…どうして、アヴェルが…?」


 私の声は震えていた。

 今更だとは思っている。だけど、あんまり巻き込みたくなかった。

 それに、リスクがあると風神はいった。

 リスク――それは、なんとなくだけど、命に関わるものだと思う。

 だったら、尚更、駄目だ。


「…駄目」


「アクア?」


「アヴェルが守り手になるのは、駄目」


 神無は表情の無い顔で私を見つめ、首をふるふると横に振った。


「予言を変えることは認められません」


「…駄目。絶対、駄目」


「貴方の一存で決まることではありません」


「それでも、駄目!」


 私はキッと神無を睨みつけた。

 神無は何も言わず、私をじっと見つめ続ける。


「何を恐れているのですか?」

「…恐れて、なんか」


「誰かを失うことですか?」

「…うるさい」


「誰かを巻き込むことですか?」

「…うるさいって言ってる」


「それとも、あの時のように、誰にも――」

「黙れっ!!!」


 神無の胸ぐらをつかみ、私は激昂した。

 アヴェルが驚いたように私を見る。私は、気にしない。

 嫌いになればいい。

 そして、離れてくれればいい。


「お前が何を知っているのかはしらない。そんなの知ったこっちゃない。でもね、私はあの時のことを、誰かに話されるのは嫌。あれは私の問題だ。口を出すな」


「……貴方は、弱いですね」


 神無は、胸ぐらをつかまれながら、それでも感情を表さず、静かに言う。

 その言葉にじくり、と胸がいたんだ。


「そして、脆い」


「…うるさい」


 私は神無から手を離し、壁にもたれかかった。

 神無はまだ、じっと私と見つめている。


「傍にいるのに、見られない寂しさが、わかるわけ、ない」


 言葉を区切って、自分に言い聞かせるように。

 だから、私は、誰にも心を許さない。許したくない。

 神無は私を見つめるのをやめ、溜息をついた。


「…貴方は、本当に、弱いです」


 知ってるよ、そんなこと。

 私が一番、よく知っている。


 その時だった。


「また会いましたね、アクアさん」


「…え?」


 後ろで、爆発音がした。

 嫌な予感が、体中を駆け巡る。


 後ろを、振り向いた。


「…フラム、さん…?」


 そこには。

 死体を抱えた、フラムさんがいた。


 

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