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そんな私の別人生。  作者: 久留間水樹
それぞれの出会い編
34/47

32 神無

 


 神無は全体的に白かった。

 長くて白い髪がとくにそれを際立たせるし、巫女服も下のスカートのようなものの赤色をのぞけば、真っ白だ。

 肌もとても白いし。


「貴方は、この世界の人間じゃない」


 神無はその薄い唇を開いた。


 私はビクリと震える。


「なんで、知ってるの?」


「私が、大巫女だからです」


 なんてことない風に言われましても。

 それ以上話そうとはしない。どうやら、無口の部類に入るらしい。

 表情も乏しく、何を考えているのか分からない。

 恐らく、何も考えていないのだろう。


「…アヴェルとモアは?」


「二人なら、この下の階層の巫女の間にいます」


「じゃあ、あわせて」


「駄目です」


 即答だった。

 私は眉をひそめた。


「どうして?」


「貴方が、呼ばれているから」


「誰に?」


「我が神に」


 神、ということは、もしかして風神なのかもしれない。


「風神?」


「そうです、風神。会いたい、と」


 私の予想は当たりだった。

 神無はまた黙って、今度は私に背を向けた。


「付いてきてください」


 神無は歩きだした。

 私は慌ててそれを追いかける。意外と、早い。

 私達はそれ以上言葉を交わそうとはせず、黙々と歩く。


 数分くらい歩いただろうか。神無が止まった。


「ここです。神の間。ここに、我が神がいます」


 柱が何本もたった、神聖な場所。

 中央より少し後ろの方に、玉座に似たものがある。

 神無は”神の間”にはいり、私の玉座の前に座るよう指示した。

 私が素直にそれに従うのを見届けると、自分は玉座に座り、手を組んでお祈りをするポーズととった。


 そして、目を閉じ、口を開く。


「連れてきました。我が神よ。お応えください。どうか」


 数秒、神無は微動だにしない。

 と、神無の白い神が銀色に光った。

 その銀色は、私が今まで見た中で一番綺麗で輝いた銀色。


 そして、ゆらりと神無は立つ。

 開かれた瞳には、先ほどの感情のない薄紫ではなく、髪の色と同じ銀。


「…お前が、アクアか」


 ぞわりと、悪寒。

 それから、鳥肌。


 まるで、自分よりも遥か高みにある”者”へ、対立したような――。

 そんな、気分に陥った。

 

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