28 ドロドロ
とりあえず、城の方へ走りながら話しましょう、ということで。
私たちは逃げていた。
「ああ、もうっ!なんでこんなことになってるの!?」
「はい、説明します。先日、予言がなされたのです」
「予言?」
街の路地を行き、敵を錯乱させながら城へと向かう。
何度か矢が刺さりそうになったけど、水の防御膜をはっといたおかげでそれをはじき、傷一つ負うこともない。
この際敵を全部けちらせばいいんじゃないか、と思ったけど風鈴さんたちによると、相手は一筋縄ではいかないそうな。
「まさか、大巫女か?」
アヴェルが横から口をだす。
風鈴の一人は頷いて
「はい。あの大巫女様が、です」
確か、大巫女様って、神殿の一番偉い人で、アヴェルの補足説明によると王様(この国は女王様)と並んで偉いツートップの一人らしい。
「どんな予言?」
「クリフレットにいる水妖を持つ水神のホーリーが、この国にきてこの国を繁栄に導く、と」
ほー、それはそれは。
「そこで、クリフレットにお触れを出して、それに当てはまるものを探させました」
「で、私を見つけたのね」
「…気がつかなかったな…」
私達、あんまり外のこととか気にしてなかったもんねー。
「ということは、今アクアを狙っているのはこの国の繁栄を願わない者たち、か…」
アヴェルが忌忌しげに呟く。
風鈴の一人は肯定の頷きをして
「はい。この国の内部のものなのか、それとも外の国の奴らなのかは分かりませんが」
「内部?」
「ああ。この国の繁栄を願わないのは…例えば、騎士とかか」
「…どうして?」
それには風鈴の一人が答えてくれる。
「この国は、女王と大巫女のツートップで権力は握られています。つまり、この二つが繁栄する限り、騎士達は永久に彼女らの駒にしかなれないのです」
「…つまり、自分たちも権力持ちたいから、繁栄を阻止するっていうの?」
そういうことになりますね、と風鈴の一人は頷いた。
それに、とアヴェルが付け足す。
「もしお前が来なくて、大巫女の予言が当たらないとなると、神殿の権力も弱まるからな」
…なんか、ドロドロしてるなぁ。
巻き込まれるこっちの身にもなって欲しい。
ふいに、風鈴の人たちが止まった。
「…?」
はっと目の前を見ると、そこには支部よりも遥かに大きい城が立っていた。
「ようこそ、この国の要、ジャーンズ城へ」
風鈴の人達が、揃って綺麗にお辞儀をした。




