1 転生
「…はー」
とりあえず、やることがないので草原でぼーっとすることにした。
ここはどこなんだろう、という疑問はまぁ、誰かきたら聞けばいいや。
これは私の悪い癖だ。めんどくさがるっていうか、なんていうか。
「綺麗な空…」
ぼーっと空を見上げて、あれ?と首をかしげる。
なんか、目にちらちらとうつる髪の毛みたいなのが黒じゃなくて蒼なんですけど。
「…へ?」
慌てて腰まで伸びた髪の毛を目の前に束ねて持ってくると、そこにあったのはまぁ見事な空より綺麗な蒼。
…本格的にどこだここ。
蒼の髪って聞いたことない。っていうか染める以外にありえんのかコレ。
…もしかして、だけど。
コレって、生き返りじゃないよね?多分、転生、とか…だよね。
私元々髪の毛黒いし。生き返りだったら黒いまんまだよね、ふっつー。
で、蒼の髪…いや、まさか。
異世界、とか…?
「…それは勘弁してほしい」
自分の嫌な想像に身悶え、はっと気がついた。
「…制服じゃない…なんだコレ」
フード付きの黒い上着。下に来ているのは髪の毛と同じ青色のシャツ。そして短パン。
女神様が用意した服なのだろうか。割とセンスいいじゃん。
それに、体の年齢は死ぬ前と同じ15歳程度。…なんとなく元から小さかった胸がさらに小さくなっているような気がするのはさておき。
とりあえず立ち上がってみた。どこまでも続く広い草原に、めまいがした。
後ろには森があるけど、さすがに入っていく気にはならない。動物とかに襲われたら怖いし。
「…街とかないんかー…」
つっこんでみた。女神様、もう少し場所を考えて転生させてください。これじゃ人一人っ子こないし!ここで野垂れ死にとか嫌だよー…服は用意してくれたのに、タベモノとか水とか用意されてない。
ボテボテと歩いてみる。あ、裸足だ、と今更ながらに気づき、苦笑した。私ってほんといろんなものに無頓着。
フードをかぶり、きょろきょろと辺を見渡した。
「おーい、誰かいないー?」
ここがどこか、それとできればタベモノとかをくれそうな人を探してみるけど、まず第一、人がいない。うーん、これはなんというか、野垂れ死に決定?
そのとき、森の方からウォオーーンという、狼が吠えるような声が聞こえた。
「…え?」
そして、森の方から狼に似た、でもなぜか色が金色で雷っぽいのを帯びた生物が現れた。
ガルルルル、と唸りながら…なんで私の方へ来るのかなー
えーっと、もしかして、私この子たちの餌に…なっちゃうんだろうなぁ。
「…はぁ」
呆れて溜息をついた。転生して早々食われて死ぬんですか、女神様?
一応運動神経はいい方だし、剣術も習っていた。だから、武器さえあればなんとかなったのかもしれない。…あれば、ね。
狼モドキたちは私のほうへずんずんと歩いてくる。私は何をするでもなく、ぼーっと突っ立っていた。恐怖を感じていないところが私らしいと思う。
そして、その狼モドキの一匹が私に向かって跳躍してきた。…死ぬな、コレ。
少し、あの時と同じ気持ちになった。
交通事故で死んだあの時。
トラックが突っ込んでくるのは見えた。必死で躱せば助かったかもしれない、そのとき。
私は、”死んでもいいや”。そう思って、わざと、死を選んだことを。
来る。
私が死(しかも二回目)を覚悟したときだった。
「伏せろ!」
そんな言葉が聞こえて、私はその言葉に素直に従った。
ザクッという音が聞こえ、私の前に血肉が大量に飛び散った。
私は呆然と呟く。
「…助けられ、た…?」
「お前、こんな危ないところでなにしてる!」
私を助けたのは、銀髪の美形少年。…っていうか青年。18歳位かな?
…助けられたところ悪いんだけど、ここに私を転生させたのは女神様だからねー?




