表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
そんな私の別人生。  作者: 久留間水樹
それぞれの出会い編
24/47

22 嫌悪

 


 辺りが暗くなった。もう夜になったらしい。


 やることがないので魔法の練習(部屋を荒らさない程度)をしていたら、モアがすっとでてきた。


「…まま、血のにおいがする」


「へ?」


「いやなにおい。ころしのにおい。きらいなにおい」


 モアが今までに見たこともないような顔で部屋のドアを睨みつけた。


 そして。


水の壁ウォーター・ウォール


 鋭く言い放った魔法が、何かを跳ね返す音がドアの向こうでした。


 モアは私を守るようにドアと私の間に立つ。

 

 バン、とドアを開け放ったのは、フラムさんだった。


「いつつ…」


「あ、え!?」


 どうやらモアが血の匂いがするといったのはフラムさんだったらしい。


 モアの放った魔法にぶつかったらしき頭を抑えつつ、部屋によろよろと入ってきた。


「す、すみませんっうちの子が勘違いしてっ!!」


 私が頭を下げると、フラムさんは苦笑しつつ


「いえいいんですよ。血の匂いを落としきれなかった僕のほうに責任があります。水妖の方が正しい判断をしたといえるでしょう」


 当のモアはじろじろとフラムさんとねめつけている。


「…にんげん」


 モアが初めて、フラムさんの前で声を出した。


 静かに、怒っているような声。


「我らを侮るな。我らは神々しき神の眷属。その我らの同志を破滅に巻き込んでいるのなら、容赦はしない。くれぐれも過ちは犯すな」


「…モア?」


 舌足らずで喋っていたはずのモアが、きっぱりと難しい言葉でフラムさんを脅す。


「…くく、さすがアクアさんの水妖、一筋縄ではいきませんか。善処はします、水妖殿」


「気に入らぬな、人間。ここでお前の首を掻ききることなど造作もないことを心得よ」


 モアはフラムさんを最後まで睨みつけ、すっと私の影に入って溶け込んだ。


「…えーっと、何か、モアにしたんですか…?あの子が怒るところなんて見たことなくて…」


「…いえ、僕にはなにも。ただ水妖の方で何かあったんでしょう」


 私の勘がモアとフラムさんが何かを隠していると告げたが、聞く勇気はなかった。


 フラムさんがデュオに命令して晩ご飯を持ってきたので、二人で食べ、別れた。


 モアはフラムさんが出ていくまで私の中から出てくることはなかったけど、いつでも戦闘に入れるように魔力を循環させていたのが伝わっていた。


 フラムさんが出ていくと、モアもふわりと私の手から現れた。


「まま、ここから出よう」


「?でも夜は危ないよ?」


「大丈夫、もあ、まま守る。それにここはもあのなかまいる。だいじょうぶ」


「でも…」


「ここはいやな感じがする。あの男みたいに。だからでるの。まま、おねがい」


 モアは断固としてここから出ることを主張した。


 私は良くわからないまま頷き、テントのドアから出る。


 の前に。


水の波紋ウォーター・リップル


 気配と魔力の大きさを把握しておこう。


 扉の前にはデュオと…あと何人かメイド。


 それに、出口に続く廊下には下級騎士っぽい人たちが10人。


 出口には二人の見張り。


 出口を抜けたら、5人くらいの強者。


 …いけるかな。


「もあ、大丈夫そう?」


「うん、もあまま守る、だからいこ」


 モアが触手みたいな形の水の塊を少しあけたドアの隙間から放つ。それはメイドたちの首を叩き、一瞬で昏倒させた。


 ドアを開けると、騎士たちが群がってきた。


「”水の弾丸ウォーター・ブリッド”」

 

 私の放った水の弾が騎士たちに明確にあたりこちらも昏倒。


 ごめんねー。


 その間にモアが戻ってきた。見張りを倒したらしい。


 なんか、申し訳ないなぁ。こっちが滞在させてもらったのに。


 出口まで走り抜けると、強者っぽい人たちが、武器を構えて立っていた。


 気づかれていたのか。


 私が魔法を構築したとき。


「やはり、脱走しますか。どうやら水妖の入れ知恵みたいですね」


「フラムさん!?」


 フラムさんがこちらへ歩いてきた。横にいるモアから殺気が湧きだつ。


「えーっと、ごめんなさい。モアがどうしてもって言うんで…」


「ええ、分かっています。水妖は僕のことが嫌いでしょうから」


 フラムさんは残念そうに溜息をついた。


 ああ、罪悪感。


「…ふん、嫌いなどという類のものではないだろう。それくらいは理解しておけ、人間」


「ちょっとモア!さっきからおかしいよ!?口調とか態度とか」


 私がモアをたしなめると、モアは私の方へつい、と頭を上げて


「母様、しかしあいつは我らの同志たちを殺した、万死に値する人間なのですが」


「…同志?」


「あいつは我らの同胞、妖精を殺した。その匂いがした。同志の叫び声が我にはあいつから聞こえる。だから許さない。だが母様、そなたはあいつを殺すことを望まない。だから殺さない。だが嫌悪は抑えきれない」


「ちょっちょっとまって!?よ、妖精を殺した?どういうこと?」


 私が混乱していると、暗い笑みをもったフラムさんが、さらに近づいていった。


「そのままの意味ですよ」


 何故か、私の背中が震えた。






 

水妖のお話は大好きです!

モアはお気に入りなので、沢山出していきたいですね。

アヴェルに出番はいつ来るのでしょうか(笑

感想お待ちしておりますノ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ