21 デュオ
フラムさんは私を一時的に居座るためにつくられたというテントに連れていった。
どうやらフラムさんはここで何か長期的な任務があるらしい。
何も言わず私の頭を撫でてくれたフラムさんに甘えてしまい、いつの間にか眠っていたらしい。起きたのはソファの上だった。
「あ、起きましたか?」
慌ててばっと飛び起きる。
「あ、あの、ごっごめんなさい!」
「いえいえ、いいんです。何かありました?」
その質問に、少し目をそらしながら答える。
「ちょっと、アヴェルと喧嘩しただけです」
答えたくないという意だと伝わったのだろう。そうですか、と言っただけでフラムさんはそれ以上つっこんでこなかった。
「数日間、ほとぼりがさめるまでここに居ててください」
「ええ!?そ、そんな悪いです」
「空部屋なら沢山ありますし。――デュオ」
はい、と凛とした佇まいのメイドが進み出た。
…どこから現れたの?
獣人なのか、頭からは猫耳が、お尻からは尻尾が生えている。
秋葉原とかにいそうだなー。
「この人の世話を言いつける。不自由のないようにな。客人だ。丁重に扱え」
「…分かりました」
デュオさんは綺麗に腰をおっておじぎした。よろしくという意味だろう。
「すみませんが僕は行きます。デュオのことは好きに使って構いません。また夜になったら様子を身に来ますので」
「何から何まですみません」
私がぺこりと頭を下げると、フラムさんはいいんですよという風に笑って部屋から立ち去った。
…やっぱり、いい人じゃん。
アヴェルは、どうして死神だなんて言うんだろ。
きっと、凄く喧嘩をしたんだろうな。で、あんなことを言っちゃったんだ。
そう結論づけて、一人納得する。
「あ、デュオ、よろしくね」
同年代っぽいから、敬語じゃなくていいよね。
一応世話係をしてくれるというし、挨拶してみたら、――え?
にら、まれて…る?
「ふん、フラム様もこんなみすぼらしい女のどこがいいのかしら。身の程をわきまえなさいよ、人間風情が」
「…えーっと、私、何かした…かな?」
「フラム様に関わらないでよ。後からしゃりしゃり出てきたくせに。ずるいわ」
ああ、とひらめいた。
「フラムさんのこと、好きなんだ?」
その瞬間、ボッとデュオの顔が真っ赤に染まる。
…うわあ、可愛い。
「なっどうしてそれをっ!!」
「いや見てればわかるから」
バレバレだよー。
「…とにかく、あたしはあんたなんか認めない。あんたの世話なんてしてやんない…って言いたいところだけど、フラム様の命令だもの、しょうがないわ」
はーっと溜息をつかれる。
うーん嫌われてるなぁ。
デュオは廊下に待機しているといって、出ていった。
なんか、疲れた。
ボスっとソファに身をあずけ、私も耐え切れずに、溜息をついた。
デュオちゃん…想定してきた登場じゃない(笑
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