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そんな私の別人生。  作者: 久留間水樹
それぞれの出会い編
17/47

15 認定試験

 



ここで一度自分の力をおさらいしておこうと思う。


 まず武器は剣。水を纏い、切れ味も結構鋭い。

 

 昨日アヴェルと手合わせして、まずまずの成績を収めたし。


 で、次は魔法。


 攻撃魔法は”水の弾丸ウォーター・ブリッド”と”水月”と”水地獄”。


 防御魔法は”水の防御膜ウォーター・シールド”のみ。


 感知魔法は”水の波紋ウォーター・リップル


 ”水の弾丸ウォーター・ブリッド”と”水の防御膜ウォーター・シールド”以外昨日習得した。結構頑張ったのだ。


一回戦目は草原を模したフィールドだった。対戦相手はレベル6という中々のベテランで、属性は”地”。おっさんだったゆえに容赦はしない。地面を掘り返して攻撃してきたが、”水月”を落として地面をドロドロにして攻撃力を弱め、”水の弾丸”でとどめをさした。もちろん殺さない程度に。


 ”水月”というのは、巨大な水の球体を相手に投げつける技で、”水の弾丸”は小さな水の弾を高速で飛ばすことによって銃のような殺傷力を得る技だ。


 アヴェルはずっと傍で見ていたが、一回戦目が終わり私に休憩がもらえると、駆けつけて頭を撫でてくれた。ついでにモアは別の部屋でぶーたれながらも認定試験に行ってくれた。大丈夫かな。


「良くやったぞ。属性の利こそあったもののレベル6相手にああも勝てるヤツなんてそうそういない」


「はは、ありがとー」


 そんな会話をしていると、今度は別の部屋へ連れて行かれた。二回戦目ということらしい。


 今度は森のフィールドで氷の属性を持った美少女だった。


「…お前が対戦相手か。中々面白い」


「…よろしく?」


 アヴェルによるといわゆる”雪女”と言われる種族の末裔らしく、レベルも8とさっきのおっさんより比べ物にならないほどの強者だった。


 中々くじ運悪いなー私。


 普通ならレベル4〜6くらまでの相手と戦うことが多いそうな。


 まあ、この子の顔だけは汚さずに、できれば体も傷つけずに行こう。


「戦闘を始めてください」


 その瞬間、世界は氷に包まれた。


「…!?」


「くく、私としたことが、久々に面白そうな人間と戦えそうだからな、血がのぼっているらしい」


 はー、この一体を一瞬で氷のフィールドにするとは。


 君すごいねー。


「殺さぬよう、スティーリア氏」


「分かってる、口出しをするな」


「スティーリアって言うだねー」


「…お前、恐怖がないのか?」


 スティーリアが訝しげに私を見る。


 …えーっと。


「何に恐怖すればいいの?」


 ばごん!と盛大に氷から水が吹き出した。


 スティーリアが驚いたように目を開く。


「氷も水の同類だから。少しくらいは操ることができたみたい。すこし隙間を開けて水を流し込んだら、結構溶けてくれたよ。ありがとうね、水を一々作り出す手間をはぶいてもらって」


「…はは、面白いなお前は!気に入った!」


 私はその水で作り出した”水月”を投げつけたが、スティーリアは気軽な身のこなしでよける。ならばと”水の弾丸”を打ち出したが、氷にされたりよけられたりして中々当たらない。


 彼女にとっても私にとってもお互いの力は無効に等しい。


 水を氷に変えれば、氷を水に変えられる。


 同類であるからこそ、止めをさすことは難しい。


 ――けど。


「私が使えるのは、魔法だけじゃないんだよねー」


 力強く足を踏み切って、剣をかざす。地面はまだ凍ったままなので、驚くべきスピードがでた。


 スティーリアはニヤリと笑って自身の手に氷を纏わせ、その手と剣をが交差する。


「ふむ、中々に安定した具現化だな。見事だ」


「それはそれは光栄――ねっ!」


 もう一度切りかかったが、また防がれた。


 金属音に近い、氷と水のこすれ合う音が周囲に響く。


 私が押せば向こうもお仕返し、押し問答のように力と力が拮抗する。


 この戦いは永遠に終わりそうにないように見えた――が。


 ――かかった!


 ゴボォオオオオオ!!!


 地面から大量の水が渦巻き、叫び、方向する。


 それはスティーリアの体を捉え、竜巻のように回転した。


「…水、地獄…」


 魔法名を言って、にやりと笑う。


 これは、あの水が吹き出しておいたときにトラップとしてかけておいたのだが、まさか本当にかかってくれるとは思わなかった。


 水地獄とは水の竜巻のようなもので、敵を捉え閉じ込めながら攻撃する魔法だ。威力は高いが発動するには時間がかかるので、トラップのように仕掛けるしかなかったのだ。


 水地獄が解けると、スティーリアはぐったりとしていた。


 …うわあびしょぬれ。ごめんねー。


「…ふん、なか、なかに…楽しかった。礼をいう」


「うん、こちらこそ」


 私が言うと、スティーリアは笑って、そして気絶した。


「では、アクア氏の勝利が決まったので、認定試験は――…はい?」


 テレパシーでも感じ取ったのか、審判の人が怪訝な顔をした。


「はい、はい…そうですか。分かりました。よろしいのですね?」


「…?アヴェル、どうしたのかなー?」


「さあな、だが、本当によくやった。あれだけの相手に勝てるとはな。俺も吃驚したぞ」


「結構幸運に助けられたんだけどねー」


「だが勝ったことには変わりない。よくやったぞ」


 そういってまた頭を撫でてくれた。


 アヴェルの頭のなでかたは、ちょっと乱暴だけど、結構心地いい。


 しばらく撫で続けてもらっていると、審判の方が近づいてきた。


「すみません、普通ならここで認定試験は合格となるのですが、どうしても貴方と戦いたいとわがままを言っているお方がいて…」


「…はあ…」


 なんで私と?


「なので、最上階に上がってはもらえないでしょうか。よろしくお願いします」


「最上階、だと…!?」


「はい、その…うちの上司がすみません」


 なんだかぺこぺこと頭をさげる審判の人が可哀想だったので、行くことにした。

 

 アヴェルが心配そうにやめておけと止めたけど、でもきっと行かなきゃこの人が怒られそうだし。


 という訳でまたエレベーターモドキに乗ると、なんだかすごい豪華だった。


「…?」


「よく来たな」


 キョロキョロと辺を見渡していた私に、声をかけた赤毛の女の人がいた。


「…やはり、お前か…」


「そんな顔をするな、アヴェル。――そちらがアクアか?」


「えーっと、はい…。どちら様ですか?」


 アヴェルの知り合いらしい女の人は、にやりと笑った。


 どうでもいいけどこの人美人だなー。スタイルも抜群だし。

 

 その美女さんは、私の前で度肝を抜く発言をかましてくれた。


「私の名はシャーマ。


 この支部の責任者であり、ギルドの幹部だ」


 







 

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