10 友達
アヴェルがこいつに服を用意してくれ、と私を指さして言ったら、なにをどう思ったのか、イーリスが店の奥へ私をひっぱった。っていうか手、痛い。力強すぎだってば。
「勝手に選んでくれていいのに」
「なーにいってんの。アンタみたいな可愛い子の服にはわたし、結構燃えるのよね」
…可愛い?
それはイーリスの方じゃない。
と、それを伝えたら、イーリスはふふんと笑って
「そんなの当たり前じゃない。わたしは可愛いわよ。でも、アンタもなかなかね」
…うーん、なんかなんていえばいいのか。
イーリスは大量に服を選び出し、私に突き出した。
「…?」
「着るのよ、早く。きーるーのー」
凄い剣幕で言われたので、渋々着替えることにした。
…あれ?
「…なんかカーテンとかは?」
「は?女同士なんだから気にしないわよ」
バッサリ切り捨てられてしまった。うーん、まぁいいか。
上着を脱ぎ、Tシャツ姿になったとき、イーリスはぽつり。
「…初めて見たわ、ここまで凄いまな板は」
そんなイーリスはキチンと出ていたので、私は何も言えず。
ま、気にしてないけどねー。戦うとき邪魔だし。
着替え終わると、イーリスはふぅん、と意味ありげに笑った。
「まぁまぁかな」
「…なにそれ」
「褒めてやってんのよ、感謝しなさい」
へーへーありがとー。
ついでにそのあと、3時間くらい着せ替え人形のように服をとっかえひっかえされた。
「…遅かったな」
店の奥からイーリスに服を包装してもらった私が出てくると、アヴェルが辟易したように出迎えた。
「ままーおそいー」
モアもぷぅ、と頬を膨らませて抗議する。ごめんよー。
どうやらアヴェルが待っている間ずっとモアの相手をしていたらしい、今もなんか水の玉とか浮かんでるし。
「ごめんねー、なんか、イーリスが張り切っちゃって」
「なによ、そのかわりアンタに似合うさいっこうの服選んであげたんだからね。むしろ感謝しなさい」
その言葉を聞いたイーリスは店の奥から姿を現し、どーんとある胸を張る。
アヴェルは苦笑しつつ、
「ありがとうな、イーリス。いくらだ?」
「あー、いいよアヴェル。別にお金なんて」
「いや、幼馴染とはいえ、それはさすがにまずい」
アヴェルが否定すると、イーリスはにやりと笑った。
あ、嫌な予感。
アヴェルがなおも払う払うと言っているのを無視し、ぐいっ、とイーリスが私の腕をつかんだ。
「その代わり、お代はこの子ってことで」
「…は?」
アヴェルがポカンと口を開けた。
「今日一日、この子貸してね。それでちゃらにしてあげるわ。いいわね、アクア?」
「え…まぁ、いいけど」
アヴェルに払ってもらうお金も減るし。
アヴェルはもう一回ポカンと口を開け、
「…珍しいな、お前がそこまで他人を好きになるなんて」
「ま、ねー。なーんかこの子、気に入ったわ」
いや、気に入られても困るんだけど。
…まぁ、いっか。
初めてのお友達げっとー、って感じかなー。
3日で50ポイント!ありがとうございます!お気に入り登録、評価、嬉しいです!
もっともっと頑張りますので、よろしくお願いします。




