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そんな私の別人生。  作者: 久留間水樹
それぞれの出会い編
11/47

9 イーリス



 ベットから起き上がって、モアを撫でつつ和んでみた。


「まーまー」


「なーんでーすかーい、子猫ちゃーん」


 ああ、可愛いなぁもう。


 犯罪者にならないよう気を付けなくちゃ。


「これでアヴェルをパパと呼んだら若すぎるご家庭の出来上がりだね」


「ブッ」


 …アヴェル、何ミルク(みたいなもの)吹き出してるの。


 こっちはこっちで可愛いなぁ。


「お、ま…っ何いって…!!」


「え?普通思い浮かばない?」


「浮かばない!」


 全否定されてしまった。そうかなぁ…


 私はともかくアヴェルならこんな可愛い娘といてもおかしくないのに。


 かっこいいからなー、この人。


 ということをアヴェルに伝えたら「お前だって」とか「恥じらいを」とかブツブツ聞こえてきたけど、なんだったのだろう。


「とりあえず、お前もその格好だけでは不便だろう。旅人用の服を置いている店がある。今日は一式それを揃えたあと、魔法の特訓だ」


「はいはーい。ねぇ、モアって服とかいるのかなぁ」


「ウィンディーネだからな、いらないとは思うが…モア、お前は欲しいか?」


「えー、もあね、ままと同じのがいー」


 にぱぁ、と一点の曇りなく笑顔を見せるモア。


 …うーん、サイズ的に置いてあるのかなー?


 ついでに、モアは最初から綺麗な少し透けたワンピースを来ている。ひらひらとフリルのついた、可愛いやつだ。


 それが超絶モアに似合っているのだから、自分の想像も捨てたもんじゃないと思う。


「じゃあ、行くか」


「はーい、アヴェルー」


「はーい、あべるー」


 モアが舌足らずの口調でアヴェルの名をマネして呼んだ。


 …旦那さん、そっぽむいてるからニヤケ面気づかれてないとでも思ってるんじゃないでしょうね?




「おー、おひるもすごーい」


 昨日帰ってきたのは夕方だったので、店も閉じ始めていたのけど、今はお昼。街は一番活気づき、夕方とは比べ物にならない。


 モアはきゃっきゃと喜んで、私の周りをくるくる回る。


「はーい、いい子のモアちゃんはじっとしてましょうねー」


「むりー」


 即答かよ。


 ま、しょうがないか。私もちょっと気分が高揚してるし。昔から屋台とかが好きだったので、こういうのは楽しい。


「どこのお店に行くの?」


「馴染みのところだな」


「アヴェルって、馴染みのところ多いねー?昨日のとこも昔馴染みっていってたし」


「…昔ここに住んでた時期がある」


 なんとなくいいたくない雰囲気だったのでそれ以上は追求せず。


 アヴェルが扉を開けたのは、割と小綺麗な可愛らしいお店。

 

「イーリス」


 アヴェルが多分店の人のだろう名前らしきものを呼んだ。


 ――と。


「アヴェルーっ!!」


 …え?


「もぅ、なんでずっとずっと来ないのさぁ!わたしずっと待ってたのに!でもいいのー、アヴェルここにいるーふへへ、アヴェルの匂いー」


 …なんでこの子、アヴェルに抱きついてんの?


 緑色の髪の毛をした美少女は、にこにこ笑顔でアヴェルに抱きついてきた。しかも、アヴェルはそれを呆れるだけで、何もしない。


 …なんか、むかつく。


「イーリス、離れろ。客がいるぞ」


「えー、もーちょっとー」


 …いらいら。


「っていうかさ、アヴェルが悪いんだよ。こーんなに女の子を待たせてさ」


「俺も忙しかったんだ、勘弁しろ」


 …イライライライラ。


「…アヴェル?なんでかな、なんでかな、私、凄く魔力が上昇している気がする」


「アクア!?お前、神の加護を受けたものホーリーの魔力の暴走はやばいんだぞ!?イーリス、とりあえず離れろ、店が潰れるぞ!」


 えーとかいいつつ、美少女は渋々離れてくれた。イライラは収まりきらないものの、魔力は少しずつ安定していく。


「アクア、こいつは俺の幼馴染でな、イーリスだ。服屋をやっているんだ」


「…うん」


 イーリスはアヴェルの腕にほっそい指をからませつつ、私をじとじと見て、


「へーぇ、アヴェルの女?」


「いや、面倒を見ているだけだ。ワケありでな」


「…ふーん」


 どうやらお互い第一印象は悪いみたい。アヴェル、女には気を付けなよー。


「えーっと、よろしくね」


 一応手を差し伸べてみる。


 イーリスはちょっとびっくりした顔で私を見ていたけど、そのあと、フッと顔を緩ませた。


「へー、なんだ、アナタ、嫌な奴かと思ったけど。大体このお人好しバカが連れてくる人にこういうのを見せつけると嫌味なことを言われたりするんだけど、見直したわ。イーリスでいいわ、よろしくね」


 …わー。


 さっきのはあれか、心の寛大さを調べるつもりでやったのか。


 露払いってやつなのかなー。ま、アヴェルみたいな性格だと悪い女にひっかかりそうだしね。


 でもイーリス、実は私もあと少しでブチギレそうになっていました。


「私はアクア。こちらこそ」


 なぜかアヴェルがほっとしたように息を吐いた。


「っていうかアヴェル、前も女連れてきたの?」


「…いや、行き倒れを見つけてだな…」


「私が知っているだけでもアナタの前に8人ほど。そのうち5人はわたしに勝負を挑んできたわね」


「…ぐ」


 …へぇ。


 なんだ、私だけじゃなかったんだ。


 …別に、ショックなんか受けてないし。


 





 

三角関係か!?…と思ったら友達フラグ。

…あれー?

でもまぁ、イーリスちゃんはいろいろと便利そうなキャラになりそうです。

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