再会1-1
本編始まります!
1.
遥か昔、世界は第一次混沌期を迎えた。
混沌期とは、魔物と呼ばれる謎の生命体が世界に蔓延り、人々が恐怖に震える時代のことだ。魔物は人を喰らい、田畑を荒らす。最初は農民の手でも倒せるような弱い魔物だけだったと記録されている。だが時が経つにつれ、だんだんと個体数が増えるのと同時に強くなり、しっかりとした訓練を受けた者でも手を出せないほどの強い個体が現れるようになった。
なぜ、魔物が現れるようになったのかはわからない。魔物の恐怖に怯える人々は、それを調べる余裕もなかった。毎日毎日、魔物に怯えて暮らしていた。
当時、世界を渡り歩いていた吟遊詩人は、魔物の登場を『完全なる世界滅亡の予兆』だと歌ったとされている。
年号が神聖歴になる前に起こった《禁忌の黙示録による世界滅亡危機》によって世界がダメージを受け、なんとか生き残った人間たちが生き残る道を模索している時に、世界は第一次混沌期を迎えた。
どこからともなく現れた魔物は必死に生きている人間たちを襲い、人間を絶滅させる勢いで世界を蹂躙した。
そして、人間たちはすがった。
力ある者に。
その力ある者は、人々から『魔法使い』と呼ばれた。《禁忌の黙示録による世界滅亡危機》が起こった以後に突然現れた、『魔力』と呼ばれる不可思議な力を使い、『魔法』と呼ばれる奇跡を起こす者たち。
その者たちに、力なき人間たちはすがったのだ。
そして、魔法使いは人々を導いた。魔物から人々を守り、人間たちに生き残る道を示した。
それから世界が《混沌期》を迎えて53年が経った頃、空に一筋の大きな光が立ち昇った。世界に光が溢れ、魔物は一瞬で姿を消した。その光を世界中の人々が目撃し、誰かが『奇跡の光』あるいは『希望の光』と呼んだ。
しばらくして、魔物をこの世界から消滅させたのは二人の勇者だということが判明した。人々は魔物が姿を消したことを喜び、二人の勇者の偉業を讃えた。そのうち、その二人の勇者の偉業を忘れないようにと語り部と呼ばれる者たちが現れ、今でも各地で語り継いでいる。
それから人々は、魔物を恐れることなく自由に生きた。そのうち、魔物を知る人間がいなくなり、魔物は古い物語の中だけの存在となった。世界中に平和が訪れ、人口が増え、有力者が現れ始めると、今度は国家が立ち上がった。その際に、神聖歴という年号が作られ、今でも続いている。
この世界には巨大な大陸が一つしかなく、その大陸に小さな国家が複数あったのだが、いくつもの戦争などにより衰退と併呑をクリ消していき、現在では二つの国が残った。
南の国は、サウス=リアクター。比較的温暖な気候で、国民性は穏やか。肥沃な土地に恵まれ、農業が盛んな国。王都には、さまざまな地方で作られた果物や野菜、温暖な海で獲れた魚などが立ち並ぶ市場が有名で、毎日たくさんの人でごった返す。勇者信仰も根付いており、特に魔法使いという存在を崇めている。そのため、多くの魔法使いの家系を有する魔法大国である。
対して北の国ノース=カイマートは、冬になれば国土の三分の一は雪で閉ざされる極寒の地。国民性としては、激しい冬に耐えるために弱いことを許さず、家族や仲間との絆を大切にする。冬の間は家に籠ることが多く、工芸品などの輸出を主な特産としている。サウス=リアクターにいる貴族や豪商などがこぞって手に入れたがるような出来栄えで、その多くが隣国へと輸出されている。こちらも勇者信仰が根付いているが、魔法使いの数の数は少なく、魔力を持った子供が生まれれば国をあげて家族ごと保護する制度がある。しかし、魔法使いが少ない分、魔鉱石などの鉱山が多いため魔法資源大国として知られている。
この二つの国は、同盟を結び、長い間、戦争が起こることはなかった。
だが、神聖歴931年に突然ノース=カイマートの国王が同盟を破棄し、戦争を仕掛けてきた。それが第二次混沌期を迎えた直後だったので、人々は魔物が国王の心を乱したのだと噂した。
同年、4月30日にのちに《レーベル大戦》と呼ばれる戦争が勃発。
かなりの数の死者を出したこの戦争は、五年後に終結した。戦争終結の理由は、ノース=カイマートの国王が正気に戻り、サウス=リアクターの国王に和平を申し込んだからだ。
戦争は終結したが、世界が平和に戻ったというわけではない。
なぜなら、世界にはまだ魔物という存在がいるのだから。
魔物が存在している限り、混沌期は終わらない。魔物が現れるようになった原因もわかっておらず、人々は魔物の存在に怯える毎日を過ごしている。
混沌期が長く続けば続くほど、魔物は強くなっていくと古文書に記されている。どこかで誰かが魔物が発生する原因を突き止めなくては世界に本当の平和は訪れないし、これから先、第三次、第四次混沌期が起こることもあり得る。
現在、人々は躍起になって魔物発生の原因を突き止めようとしているが、今もなお、誰もその原因を解明できてはいない。
その中で、世界各地の語り部は語る。
『混沌に選ばれし勇者の再来を待ち望む』
高校生の時の設定資料には、漢字にカタカナのルビがたくさん振ってあって厨二感が満載なのですが読みにくいと思い、今回はあまり使ってません。必要な部分だけ残しました。高校の時に書いた小説より読みやすくなっていると思いたい……。




