第十四章 愛と遭い 一話
第十四章のタイトルを途中で変更するかもしれません。
申し訳ありませんが、何卒最後まで温かい目で読んで下さると幸いです。
よろしくお願いします。
これがダージュの過去の経緯。
マチルダはこれを読んで、ダージュの印象が百八十度、変わった。
それは、オセロと似た様な趣を感じていたのだ。
人に尽くす中で、そこに歪みがあり、誰よりも夢を追及するダージュに惚れた。
今までにないタイプの人間。
野心があり、愛があり、歪みがある。
むしろ、マチルダに取って誰よりも人間味を感じ、親しみやすさを感じていた。
ダージュの情報が書かれた紙を見終わる頃には、目をウルウルとさせていた。
見えるのか分からない涙を涙腺から零し、親指で拭う。
「どうだ。価格以上に見合った情報だろ?」
オセロは、にやつきながら上唇を舌で舐める。
「……まあね。ねえ、これ、他に知ってる人は居るのよね?」
「もちろんだ。仮にあんたがこの情報を独占したくて、知ってる奴らを皆殺しにしようとも、保険はかけてある。だから変な考えは起こすなよ」
眉を顰めるマチルダに対し、オセロは何も危機を感じていないかのように、悠々と語る。
先を読まれている事に不機嫌になるマチルダは考えを改めると、すぐにダージュの顔が脳裏に浮かぶ。
あれだけ気に食わなかったダージュだったが、ダージュの経緯を知ったマチルダは、心動かされていた。
無性にダージュに会いたいと言う思いが強くなり、すぐにダージュにメールを送ろうとする。
だが、ただ会うだけでは駄目だ。
彼に取って自分がどれだけ必要か、その材料が居る。
それを思いついたマチルダのスマホを操作する指が止まる。
「ねえ。何かダージュの身に起きうる災難とかない? 出来る事なら私の身近に居る人間が、ダージュに対して悪意を持ってるとか?」
覇気がない声音で、ダメもとでオセロにそう聞くマチルダ。
すると、オセロの目の色が変わる。
まるで餌に竜が食いついたかのように。
「へへ。あんたなら先生側に付くと思ってたぜ。だからこの情報はタダで教えてやる。俺も先生が死ぬのは避けたい。今、ダージュ・オブ・ゲーヘントが完成され、それが、ジョーン大統領に試される。出来る事なら見届けたいが、その後、ダージュ先生は殺される。ダージュ・オブ・ゲーヘントに必要な知識と材料、組み立てにおける経由を洗脳以上に惨たらしく残酷な方法で問いだたされる。ジョーンの指示によってな」
「なんですって⁉ それは本当なの?」
オセロからの新情報に驚愕するマチルダ。
更にオセロは声を潜めるかのようにマチルダの耳元に近付く。
「ああ。だが安心しろ。ジョーンはあんたに惚れてる。溺愛でもしてるぐらいにな。ここまで言えば、後は、あんたの十八番だろ? 殺し屋さん」
ねっとりとした口ぶりで、むしろ嬉々として語るオセロ。
オセロは待っていた。
国のトップが死に、今までの秘密裏に隠されていたジョーンの情報と、国の混乱を。
オセロのようなブローカーや情報屋には、これ以上ないくらいの津波。
国や世界が混乱するほど、オセロの様な職業は潤うのだ。
それを聞かされた時のマチルダも目の色が変わる。
ジョーンを亡き者にし、ダージュに如何に自分が必要な人間かどうかと言うプランを練っていた。
「……あんた、ろくな死に方しないわよ」
嫌味で言ったつもりのマチルダだったが、どこか笑っていた。
それを鼻で笑うオセロ。
「ふん。自分の死に方くらい等に決めてる。俺はこの世界の裏を席巻し、光に照らされて死ぬ。それが俺にはお似合いの死だ」
「あくまで闇に染まり切りたいのね。昔だったら貴方とは良いパートナーになれたでしょうに。でも今更ね。何せ私には恋焦がれる懸想の根源を、見出したのだから」
どす黒い漆黒の闇で瞳孔を曇らせるマチルダ。
そう言うと、マチルダはオセロに背中を向け去っていこうと歩き出す。
「なあ殺し屋さんよ。こいつは人並みの忠告だが、恋をするのは自由だ。だが、狂いながら尽くしすぎると、引かれるぞ」
何かまずい料理にでも出くわしたかのような引きつった面持ちでマチルダにそう言うオセロ。
だが、マチルダはオセロに振り向きもせず、「馬鹿ね。愛は狂ってこそ真価を発揮し、その人にとっての特別な物になるのよ。特別以外の愛なんてお断りよ」とニヤリと笑いながら口にし、その場を去っていった。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
今回はここまでです。
次回からも是非ご一読ください。
よろしくお願いします。




