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ダージュ・オブ・ゲーヘント  作者: ラツィヲ


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第十三章 無縁 六話

 オセロと落ち合うスラム街の路地裏。


 ダージュは先に到着し、黙って待っていた。


 今を生きようとする老若男女たちが、必死に出稼ぎに言っていたり、ゴミをあさっていた。


 少しすると、オセロが待ち合わせ場所に着いた。


 「よう先生」


 「来たか」


 飄々な素振りを取るオセロに対し、ダージュは素っ気ない。


 渡すものを渡して、さっさと帰りたかったダージュだった。


 だが、ダージュはオセロに言いたい事があった。


 二週間前の答え。


 それを突き付けるように言ってやらないと、腹の虫所が悪くてたまらない。


 そんな焦燥感を抑えながら、診断結果の紙を渡すダージュ。


 「診断結果は何も問題ない。強いて言うなら悪玉コレステロールがやや高い。食生活に少しは気を使え」


 「はははっ。金回りが良いと舌が肥えてきてな。野菜やビタミンが不足していたか」


 ムスッとした態度で口にするダージュに対し、笑いながら紙を受け取るオセロ。


 「で? 先生よ。答えは見つかったのか?」


 ケロッとした態度で嫌味ったらしく口にするオセロ。


 すると、ダージュの顔つきが変わり始める。


 「ふん。結局変わらん。私は尽くす相手と排他する相手を見極めきれなかった。それが前までの私だ。今度は、絶対的な地位と名誉を持つ相手を厳選し、それを取り巻く人間と、私に近付こうとする障害を排除する。今度こそ、私の存在価値を見出し、この世界を謳歌し、認めさせる」


 睨みつけるようにオセロに口にするダージュ。


 昔のダージュなら絶対に口にしない台詞。


 人に尽くすのは、ダージュに取って、本来、打ち解けあうため、寄り添い愛を分け与え、また自分もその温もりを感じるため。


 人々の幸せが、自分の幸せになる。


 医学生になる前までのダージュがそうであったが、ソルとの出会いが全てを変えた。


 だがどうであれ、今の自分を構築したのはダージュ自身。


 それをダージュは気付いていなかった。


 そんなダージュを見透かすようにしてニヤリと笑うオセロ。


 「フフフフッ、良い感じに歪んだな。それでこそ俺の商売相手だ。あんたとはこれからもいい付き合いをしたい」


 そう言いながら、今度はオセロが懐から一枚の用紙を取り出す。


 「ん?」


 「受け取りな。あんたにはあんた自身の価値を知る権利がある」


 怪訝な面持ちで、何となくオセロから何やら書かれた紙を受け取る。


 一体何が書いてあるのか?


 オセロの自分自身の価値を知る権利がある、と言う意味は?


 それは少し時間がかかってから分かる事になる。


 「ン⁉ 何だこれは⁉ 貴様。私を揶揄(からか)ってるつもりか?」


 内容を見て驚愕するダージュ。


 一変して、オセロの懐にでも入る様にグイっと身を乗り出し、睨みつける。


 だがオセロはダージュの威圧に怯みもせず、落ち着いた様子である事を淡々と語る。


 「そこに書いてあるのは事実だ。あんたは竜種と呼ばれる血族だ。そして、あんたの血は竜血浄を呼ばれ、どんな病でも直す文字通りの万能薬と呼ばれている。昔あんたの両親が殺されたろ? その犯人は元科学者。あんたが幼い頃、事故に遭って診察中についでに血液検査をして健康状態を確認しようとした時がきっかけだ。んでもって、その元科学者、ジギリ・ペンドラゴラはあんたの血を用いて、意図的に病に感染させたマウスや人間の治癒に成功している。昔、テレビやネットニュースで見なかったか? こいつがあんたの両親を殺した動機を?」


 その言葉を聞いたダージュは俯き、必死になって過去の記憶を探る。


 「……確かに見た。だがあれは奴の妄言として世界が笑っていた。私もそう思う。私の血が万能薬? あり得ない……」


 信じられないと言う思いが表情に出ながらも、心の隅では疑心を抱く。


 「二週間前、最後に尿検査したろ? あの時、あんたの手にかかった尿で直接触られた時、俺はそれをハンカチで拭った。この意味が分かるか?」


 「ま、まさか貴様。私の尿で検査したな? 私が竜種であるかどうかを?」


 流暢に語るオセロに動揺しながら聞くダージュ。


 あの時すでに、オセロの術中に、ダージュは、はまっていたのだ。


 それに気付いた時、再び資料に目を向けるダージュ。


 そこには尿で科学的に検査した結果が一覧され、医師としてのダージュには偽造されている物ではないと痛感した。


 ダージュは脱力し、放心状態になってしまう。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

今回の投稿はここまでです。

次回からも是非ご一読ください。

よろしくお願いします。

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