第十二章 命と引き換えに 四話
ダージュが珍しく、落ち込み数分後。
「そろそろ離れろ」
「はいはい」
そこまで嫌ではなかったのか、少しソフトに距離を取るよう口にすると、マチルダは、聞き分けよく行動し、ダージュから少し距離を取る。
「それは本当なのか? 大統領が私を殺そうとする話は?」
「ええ、事実よ。これがその極秘資料よ」
マチルダはそう言うと、背中に忍ばせていた資料の紙、数ページ分をダージュに差し出す。
ダージュは集中しながら、その書かれている詳細な内容を目にする。
そこに書かれていた内容は、ダージュの捕獲計画や、捕獲後の洗脳のための段取り。その後のバイソンクリニックの医師たちの処遇についてだった。
あまりにも非人道的な計画が練られていた。
ダージュに対する扱いもそうだが、ジョーンは、また新たに蘇生され続けるために、ダージュの育成プログラムをそのまま採用し継続させ、医師たちに更なる殺し合いをさせようと言う計画だった。
「……チッ、あのゴミめ。ここまで土地狂っていたとはな」
「いや、貴方も大概だと思うのだけれど」
怒りが表情に滲み出て口にするダージュに対し、マチルダは呆れながら口にする。
「ふん、言ってろ。だがこれで私は詰んだ。アメリカと言う規模の大国を一人で敵に回せば命はない。ここらが潮時なのかもな」
随分、傷心しているダージュ。
そんなダージュを見て、少しは可愛げがあると思ったマチルダは次なる一手を打つ。
「ふふ。まだ希望はあるわ」
「ん、何だと?」
妖艶に微笑むマチルダに訝しい瞳を向けるダージュ。
「さっきも言ったけど、私から譲渡する物が二つあると言ったでしょ? 一つはこの真相付きの資料。そしてもう一つは、私自身よ」
「は? お前は何を言っている?」
得意げに話すマチルダ。
だが、ダージュは意味不明とでも言いたげに、眉を顰める。
「私を貴方が好きに使って良いのよ」
艶やかな目でそう言うと、マチルダは、ポケットに入れておいたある物を、そっとテーブルの上に置く。
「何だこれは? ……何かのスイッチか?」
ダージュが手渡されたのは、赤いスイッチのボタンのリモコン。
さすがのダージュでも、このマチルダの言動は予想外だらけ。
だが、ネムイは更に予想外の行動に出る。
マチルダはダージュの横で、大胆にも、服を豪快に脱ぎ始めた。
面を食らうダージュは目を大きく開く。
マチルダは脱ぎ終わっても、得意げで怪しげな笑みを崩さない。
そこで、ダージュは余計な詮索や雑念は捨てて、注意深く、マチルダの裸体を見る。
すると、心臓の部分の胸に、ハッキリとした傷跡があった。
傷と言うよりも、何か縫い合わせたような縫合の後。
「ま、まさか……」
そこでダージュは驚愕する。
マチルダの取った、イカレタ行動に。
目をどんどん大きく開き、限界に達した時には、マチルダは妖艶な笑みのまま「そうよ。この心臓に爆弾を埋め込んだわ。このボタン一つで、いつでも私の命を奪える。だから私の命を貴方にあげるのよ。生殺与奪? そんの知ったこっちゃないわ。貴方に束縛されながら貴方の隣に居たい。最愛の伴侶として」
マチルダは言いながら裸体のままダージュの顔に近付く。
マチルダの甘い息を確かに感じるダージュ。
この時のダージュの思考は完全に停止してしまった。
もう一度言うが、これがマチルダに取って、純粋な愛情表現。
いくら何でも奇行すぎる。
そんなダージュの意思を無視して、マチルダはダージュの唇を自分の唇に重ねる。
豪快に、大胆に、極端な熱烈な接吻。
そこでようやくダージュの意識がぼんやりとし始めてくる。
徐々に意識の綱を握はじめた頃には、マチルダは唇を放し、近い距離を保つ。
マチルダはダージュの返答を待っていた。
マチルダの想いがダージュに届くのか?
数分が経った頃には、ダージュは意識をしっかり持ち、考えてた。
だが、考えていても、熱烈な視線をずっと向けてくるマチルダの目から目を離せない。
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