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ダージュ・オブ・ゲーヘント  作者: ラツィヲ


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第十二章 命と引き換えに 二話

 料理長たちが血相を変えて来たため、ネムイは慌てて「騒がせてごめんなさい。もう大丈夫よ」と相手をパニックを起こさせない様、宥める様に口にする。


 異変を察した料理長の女性が、「大体、察しは付くよ。見なかったことにするから、もう自分たちの持ち場に戻りな。ダージュ先生が嗅ぎ付けたら厄介なことになるよ」と心配しながら言ってくれた。


 その言葉に安堵したネムイたち。


 そこでカズイが「ライア、もういいぞ」と淡白に伝えると、アホらしい事をしたな、と自分に呆れながら降りて来たライア。


 すると、思った結果と違う事に狼狽する発端の医師五人の所に向かうカズイ。


 「君たちの目論見は終わりだ。ここに居る医師や看護師たちを感情的に味方につけ、共闘してダージュ先生を殺そうとする算段だったんだろうがな。悪い事は言わない。正当なやり方でダージュ先生に勝つんだな。憎しみから生まれるのは結局、憎しみだけだ。それで手にした物に君たちは胸を張って掲げられるか?」


 少し憐憫な目を医師たち五人に向けるカズイ。


 医師たち五人は悔しそうにしながら地団駄を踏んで食堂を後にした。


 食堂から騒ぎが起きてから二時間後。


 ダージュは受け持ちの患者の診察に向かおうと、院内の通路を歩いていた。


 「ん?」


 すると、前方の通路の真ん中で少し人だかりができていた。


 「頼む! ダージュ先生を呼んでくれ! このままじゃ友達が死んじまう!」


 必死に声を上げていた一人の医師。


 その医師は先程、食堂で騒ぎを起こした一人。


 更に、そのすぐ近くで仰向けで横たわっていたのもその一人。


 男の医師は横たわっている医師の男の心臓を何度も押し、心臓マッサージをしながら、近くに居る患者や看護師に、ダージュ先生を呼んでくるよう切願していた。


 「私ならここに居る」


 「あ! ダージュ先生⁉ お願いします! 友達が急に心肺停止になってしまい! もうどうしたら良いか分からなくて!」


 ダージュは冷静さを保ちながら、道を開けてくれる患者や看護師の横を横切り、仰向けで目を瞑っている医師の男に近付く。


 蘇生させようとしていた男の医師は、これで助かったと思い、汗をかいた状態で安堵し、少し距離を置く。


 ダージュが診やすいように場所を確保する。


 ダージュがその倒れている男の医師の脈を測ろうと手を伸ばした。


 その時。


 「くっ!」


 突如、心肺停止になっていたはずの男が、クワッと目を開き、ダージュの両腕を鷲掴みにする。


 「今だ! 殺せ!」


 「うおおぅーーー!」


 けたたましい雄たけびで、先程、ダージュに懇願していた男の医師が、懐から素早くハンドガンを取り出し、ダージュの額に銃口を向け引き金を引いた。


 バン!


 「キャアアーーー!」


 発砲が鳴る寸前、患者や看護師たちがパニックになる。


 だが、ダージュは何も感じてはいなかった。


 それは患者や看護師の動揺にも、男の医師たちの意表をついてきたとしても、ダージュには動揺やパニックは感染しない。


 その鋭い眼差しから感じ取られたのは、ただの無。


 ダージュは何も感じていなかった。


 怒りや恐怖、焦り。


 全てに置いて感情をコントロールしていたダージュは必要な動きしかしなかった。


 両腕をがっしり押さえつけられた状態で、両足の反動で跳躍する。


 逆立ちの状態で宙に浮き、撃たれた弾はダージュの顔の下を通り過ぎた。


 すると、すぐにダージュは全体重を乗せ、下に居た仮病の男の医師に、両拳を上から下に乗せ付けるように叩き付ける。


 「ぐふっ!」


 「なっ⁉」


 腹部にめり込んだ拳に、思わず呻き声を挙げる仮病の医師。


 それを間近で見てた男の医師は驚愕する。


 一撃で内臓を破壊し、その衝撃で掴んでいた両腕を放した仮病の男。


 両拳を仮病の医師の腹部に押し付けたまま、逆立ちの状態で、ハンドガンを握っていた男の医師に、片膝で頭頂部目掛け、叩きつけた。


 「うがっ!」


 とてつもない鈍い音。


 その衝撃で、ハンドガンを手放し、床に顔面を叩きつけられてしまう。


 「ふん。くだらん」


 ダージュは床一面、血で覆われて、その中心に居る首謀者の男の医師たちを潮笑う。


 いつの間にか周囲に人はいなく、ほぼ無人。


 ダージュはゆっくりと、転がっているハンドガンを手にすると、ハンドガンのマガジンを、全て空にする。


 完全に、ダージュをはめるための罠。


 その演技にだまされようがどうであれ、ダージュは警戒していたのは事実。


 ダージュにとって、心を許せる人間は果たしているのだろうか?


 儚げな背中を向け、ダージュはその場を去り、担当患者の元に向かって行く。

程なくして騒ぎが収まり、すぐにいつもの日常が再開される。


 カズイたちも、その話は聞いたが、これはダージュの身における日常では特に非日常とは言わない。


 そう、何時もの事。


 ダージュは常に狙われ続け、それを民衆は既知している。


 秘密と言う秘密は全て公にされていると、これまた民衆は分かっていた。


 だが一つだけ、数少ない人間しか知らない秘密があった。


 そう、ダージュ・オブ・ゲーヘント。 


 こんなダージュはこの世界に希望の種を撒く存在となるのだろうか?


ここまでお読みいただきありがとうございます。

今回の投稿はここまでです。

次回からも是非ご一読ください。

よろしくお願いします。

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