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ダージュ・オブ・ゲーヘント  作者: ラツィヲ


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第十二章 命と引き換えに 一話

 ダージュ・オブ・ゲーヘントを見てから次の日、アッシュは妹の手術が間近になる事を確認し、念のため、ルイの現時点での健康診断をする事に。


 アッシュはルイの病室に行き、笑顔でルイは迎えてくれた。


 抱き合いながら他愛のない話で盛り上がる。

母親であるサイグが、戦場から足を離れ、ギゼン国でスインの補佐役を務める事になり、前より安全な仕事に付ける様になった。


 本当ならアメリカで共に暮らしたかったが、アメリカではサイグを正社員として働かせてくれるところがなく、仕方なくギゼン国で自衛隊員として派遣され、拠点をそこに置いていた。


 ルイはサイグとビデオ通話で話すなどして、確かな喜びを感じとぃた。


 後は、ルイの脳梗塞が完治する事だけが、アッシュとサイグの願いだった。


 アッシュはルイに優しく念のための検査だと言う事を伝えると、満面の笑みで快諾した。


 CT検査、レントゲン検査、血液検査、尿検査など、徹底的に検査する。


 検査を終えた後、アッシュはすぐに結果を見る。


 これと言った以上は見当たらない。


 全神経を脳梗塞の手術に注力すると言う意気込みを改めて持つ。


 しかし、ある異変を目にしてしまうアッシュ。


 「ん? ……こ、これは!」


 CT検査の写真で、ルイの脳にある何かを見つけたアッシュは信じられない物を見たかのように驚愕する。


 場所は変わり、ネムイ、ライア、カズイが持ち場に戻ろうと、食堂から出ようとした時だった。


 お昼時と言う事もあり、満員に近い食堂。


 ネムイが人込みをうっとおしそうにして避けて進んでいくと、すぐ後ろに居たライアが違和感を感じた。


 「あれ? なあネムイ、カズイ、あそこ」


 「ん? あれは⁉」


 ライアの言葉に目を疑うものを目にする三人。


 なんと、食事中の若い男の医師数人が固まって食事をしているテーブルの上に、ハンドガンが三丁、ナイフが二本、置かれている。 


 それを目にした三人は血相を変えてその五人の医師の所に向かう。


 「ちょっと貴方たち、そんな物騒な物、食事処で出すもんじゃないわよ」


 「そうだぜ。せっかくの飯が不味くなるじゃねえか」


 ネムイとライアが間髪入れず説教する。


 だが、五人の医師たちは悪びれる事がない。


 それどころかネムイたちを睨みつけてきた。


 「お前たち、恥ずかしくないのか? ダージュの元で腕を振るう事に」


 「なに?」


 一人の医師が憐れみでも込めるかのような口ぶりでそう言うと、カズイも睨み返す。


 「もしかして、ダージュの手のひらで転がりながら、大人しく、医師として懐柔されてる事に不満なの?」


 ネムイが煽る様に口にすると、突然激怒する医師五人。


 「当然だ! 俺たちは卒業試験のグイリバナ国とギゼン国のごたごたのせいで、ダチを七人殺されたんだぞ! こんなイカレタ試験、そもそも受けるべきじゃなかった! ダージュのクソ野郎は、疲弊した国を奪い取るために俺たちを駒以下の存在で扱いやがった! 絶対に殺してやる。ダチの仇を取るためにな!」


 剣幕を突き立てる様にネムイに言いかかる医師の男。


 ネムイは唾が顔にかかり、不快な表情で、ハンカチを使い唾を拭う。


 「いやー、ほんと、ダージュ先生、恨みしか買わないんだな」

 「ああ。常に恨みを売買し、食えない人だ」


 ライアとカズイがこそこそと話す。


 騒ぎを聞きつけた他の医師や看護師たちがその騒ぎの元に凝視する。


 それに気付いた医師の男が急に立ち上がり、皆の注目さらに集める。


 「みんな! このままダージュを野放しにしていいわけがない! 俺たちでこの医療業界を立て直そうじゃないか! みんなだって不満や怒りで腸が煮えかえってるはずだ! 共に武器を取り、奴の根幹である命を奪う時だ!」


 共感してもらうために感情をとにかく爆発させる医師の男。


 医師の男たちがテーブルに銃やナイフを置いていたのはわざとだと、この時ネムイたちは思った。


 それを聞いた周囲の医師や看護師たちの拳が強く握られる。


 確かに怒りや憎しみが心に渦巻きすぎて、どす黒い汚物にでもなる勢いの憎で満ちていた。


 それも表情から見て取れる。


 ネムイたちは周囲の目の変わりようを見て、これ以上騒ぎになるとまずい。


 そう思い、何とか宥めようと「みんな! 落ち着いて!」と逼迫した声を出す。


 誰もが賛同して喝采でも起きようとしたその時。


 バン! 


 一発の銃声が食堂でなった。


 誰もが最悪な想像をする中、全員が音のなった方向に目を向けると、そこにはテーブルの上に立ち上がり、片手にしていた銃を天井に撃っていたライアが居た。


 その立ち振る舞いは獅子を思わせる圧力があった。


 「聞けお前ら! ここで感情に身を任せたら、全てが徒労以下に終わる結末を迎えるぞ! せっかく医師や看護師になったんだ! なら実力で名医になり、ダージュ先生の椅子を自力で奪えばいい! 汚い手を使って汚い奴を殺せば、今度はお前らが落ちぶれる番だぞ! 気をしっかり持て! お前たちは誰かを救うためにここに居るんだろ⁉」


 ライアの力強い説得。


 周囲の医師や看護師たちが、一体、自分たちは何を考えていたんだ、と反省する。


 それは顔にも表れていた。


 やるせない思いと喪失感でぐったりするような表情。


 しばらく沈黙が経つと、厨房から銃声の音を聞きつけた料理長と職員がやってくる。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

今回の投稿はここまでです。

次回からも是非ご一読ください。

よろしくお願いします。

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