第十一章 ダージュ・オブ・ゲーヘント 四話
「そう言えば、さっきカズイが言ってたけど、これを人間で試すつもり、とか言ってたよな。ダージュ先生は本当にそれを実行する気ですか? こんなの、文字通り、死者蘇生ですよ」
ライアが怪訝な目でダージュにそう言うと、それにも、満足気な表情は微塵も崩さない。
「ああ、そうだ。近々、実行するつもりだ。……お前たちの誰かでな」
満足気な表所から一変して、悪魔的な笑みをアッシュたちに向けるダージュ。
その言葉に、眉を顰め、何を言ってるか理解できないアッシュたち。
ただ、一人を除いて。
「そうか、そう言う事か」
「ん? どうしたのカズイ。そんな絶望的な表情をして。もっと喜びなさいよ。この機械を使えば、トードたちが蘇るのよ」
先程と違い、ウキウキ気分のネムイ。
トードたちが蘇る。
そう察したネムイ、アッシュ、ライアも思わずホッとし、安堵の笑みを浮かべる中、カズイだけが、黄金色の膜の皮を見て、一人だけ絶望的な表情していた。
「ほう。この死者蘇生、ダージュ・オブ・ゲーヘントのリスクをもう理解したか」
「は? ダージュ・オブ・ゲーヘント? そうか、カズイ。お前は頭が回りすぎてこの機械の名前まで分かって、そんな絶望的な表情してるんだな。まあ分かるぜ。酷いネーミングセンスだしな」
ヘラヘラ笑うライアだが、そうではない事をすぐに知る事になる。
「良いか、君たち。良く聞けよ。これはただの蘇生じゃない。生贄が必要なシステムが組み込まれている。そうでしょ? ダージュ先生」
「……ご名答」
「……は? ……いけ……にえ?」
カズイが更なる事実を口にすると、ライアたちが、呆然としてしまう。
ダージュだけが未だに誇らし気だった。
「ど、どう言う事⁉ 生贄って事は、つまり、誰かが死ななきゃならないって事⁉」
「安心しろ。生贄と言っても一人だけだ。それだけのリスクでハイリターンを得られる。これ以上ない完成結果だ」
先にネムイが必死な形相でカズイに事実確認しようとすると、ダージュがくだらない危惧をして、見たいな呆れた表情で口にする。
「何が神が生み出した機械だ! 誰かを犠牲にするなんて、欠陥品もいい所だ!」
「そうだ! 神が聞いて呆れるぜ! おまけにそんな事のために、俺様たちの生殺与奪を握って! 殺された医学生たちや自衛隊の遺族たちになんて説明して謝罪する気だ⁉」
剣幕をむき出しにして異議を申し立てるアッシュとライア。
だがダージュにはそんな言葉ですら意味がない。
「ふん。これまで人類が進化するのにどれだけの血を流してきたと思う? 戦争があり略奪があり、体罰がある。だからこそ秩序は保てる。誰かが被害者でなければ、この世界は回らない。これを黙認してきたお前らの言葉は偽善者もいい所だ。ならなぜ、これまでの不平等に目を向けなかった? お前たちが言ってるのは戯言だ。夢想家の政治家たちの方が幾分かましだ。まあ、私から見れば大差はないがな」
呆れを通り越し、少し怒っていたダージュは、睨みつける様にアッシュたちに向け口にする。
しかし、その言葉には重みが含まれ、アッシュたちは反論できなかった。
更にダージュの言葉は続く。
「稚拙なお前たちにこれだけは教えてやる。良いか。神が人を作るんじゃない。人が神を作るんだ。私はその頂きに辿り着いた。完成まで時間を費やししすぎたが、これで、不幸の一部を救済できる。お前たちではこんな世界へ向けてのギフトは到底、用意できまい」
最後にして嫌味ったらしい笑みを向けると、指をパチンと鳴らすダージュ。
すると、アッシュたちの背後から、ぞろぞろと現れて来たのは、完全武装した機動隊員だった。
数は十人越え。
手にはハンドガンらしきものを手にしていた。
それをみたアッシュたちは、今から誰かが生贄にならなければならないのか? と脳裏を過ってしまう。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
今回の投稿はここまでです。
次回からも是非ご一読ください。
よろしくおねがいします。




