第十一章 ダージュ・オブ・ゲーヘント 三話
カズイが、ダージュの実験結果を目にして呆然とした中、ネムイが戻ってきた。
だが何故か、両手に手にしていたのは、火炎放射器。
ボウー ボウー。
「さあ皆! すぐ近くに火炎放射器が人数分あるわ! これでここを焼き払うわよ!」
豪快に火炎放射器を天井に向け放射しながら、けたたましくアッシュたちに向け口にする。
それを見て唖然とするダージュたち。
流石のダージュでも、呆れてしまう。
「おいネムイ。落ち着けよ。ここには何か秘密がある。しかもそれはダージュ先生が満足する結果がここにはあるんだ。無暗にこの施設を焼くのは早計だぞ」
アッシュがネムイを宥めようとするが、半ば興奮状態のネムイは「キーー!」と言ってヒステリック気味だった。
「それじゃ何! この男は大量のマウスでも量産した事がそんなに満足いくものなの⁉ だとしたら、とんだド変態よ! 今すぐ、精神科医の保護施設いきよ!」
「落ち着けネムイ。ここにあるマウスは複製された物でもなければ量産された物じゃない」
怒り爆発のネムイを論理的に宥めようとするカズイの言葉に、少し落ち着きを取り戻したネムイは火炎放射器を下ろし「じゃあ何なのよ?」と訝しい瞳をカズイに向ける。
「やはりお前は優秀だな。私がここにある大量のマウスを見て、恍惚としていた意味を瞬時に理解するとは」
そんな中、ダージュは悪辣的な笑みをカズイに向ける。
しばしの沈黙が経つ、と。
「……正直、信じられませんよ。貴方がマウスを量産したり、ましてや複製する事で満足する玉じゃない。飛躍して考えてみれば、それも納得します」
二人にしか分からない会話のやり取りを見て、アッシュたちは、ただ呆然とすることしか出来なかった。
「……マウスの死骸を蘇らせた。そしてそれを貴方は人間で試そうとしている。違いますか?」
鋭い眼差しをダージュに向けながら、カズイはとんでもない事実を口にする。
その言葉に、アッシュ、ネムイ、ライアは、今までにない衝撃を受け、嫌でも表情に出てしまう。
瞳孔を開き、驚愕する表情へと。
カズイの言葉を聞いたダージュは、高笑いをした後、厭らしい笑みをアッシュたちに向け「着いてこい」と言って、さらに先に進むと、アッシュたちは躊躇いながらも後続する。
大量のマウスが収容されている中心部に、遠くからは認識できない、透明なケースがあった。
目的地の場所に辿り着くと、更に何故か、白い機器が置かれ、間にホースを挟み、その先に、黄金色の小さい皮が透明なケースの箱の中に保管されていた。
「これは?」
「これがマウスの死骸を蘇らせるための媒介だ。その黄金色の皮のように見えるが、実際は黄金色の膜だ。これに様々な難航を渡り切ったマウスを膜に纏わせ、そこにある復生気のガスを、この膜に浸透させると、一年以内に死骸となったマウスの数、体形、年齢、を操作せながら、蘇生させることが可能だ」
「はっ⁉ なんじゃそりゃ⁉」
「あの、ダージュ先生。もう少し、論理的に説明してくれませんか? いくら何でも突拍子過ぎる」
ライアとアッシュがそう促すと、ダージュは呆れる様に溜息を吐き出す。
「ハッキリ言えば、この機械は今までの副産物や過去の科学技術は一切、施されていない。私が新たにみだした、テクロノジーとガストロノミーを混合させた、発明品だ。つまりお前たちの理解できる代物ではないと言う事だ」
「へえー。食事と文化も関係してるんだ」
「納得するとこはそこじゃないでしょ」
アッシュが呆けていると、ネムイがすかさずツッこむ。
「つまりこれは神の知識と技術が組み込まれてると言う事ですか? その割には随分、簡素な外見の機器ですね」
「言ったはずだ。お前らの常識では通用しない代物だと」
カズイが嫌味で口にするが、ダージュは満足気に答える。
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